穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

永井荷風の女主人公

2023-10-28 11:15:50 | 書評

いずれも墨東奇談(岩波文庫)数字はページ数

*94 わたくしはこの東京のみならず、西洋にあっても、売笑の巷のほか、ほとんどその他の社会をしらない。

*96 正当な妻女の偽善的虚栄心、公明なる社会の詐欺的活動に対する義憤は、彼をして最初から不正暗黒として知られた他の一方に馳せおもむかしめた唯一の力であった。

*96 投げ捨てられた襤褸の片にも美しい縫い取りの残りを発見して喜ぶのだ。正義の宮殿にも往々にして鳥やネズミの糞が落ちているのと同じく、悪徳の谷底には美しい人情の花とかぐわしい涙の果実がかえって沢山摘み集められる。 



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