どうも第一巻に乗って行けないので第十四巻(岩浪文庫)の最後の百ページほど流し読み。
非常に抵抗なく読める。調べてみたら、原著で六巻以降はプルーストの遺稿に基づいて弟や出版社が手を入れたらしい。どうりで読みやすい、常識にかかっている。
しかし、これを読むとフランスの私小説だね。登場人物がべらぼうにおおいのが日本の私小説との決定的な違いだ。没落貴族、成り上がりのブルジョワの社交生活がほとんどだからおびただしい登場人物が出てくる。
もう一つの違いはわざとさえない貧乏な私が前面に出てくるのは日本の私小説だが、「失なわれた」のほうはワタシは最後まで名乗らない。表に出てこない。おそらく、これは決定的な違いだろう。
それだから、あるいはそれなりに、歯ごたえがある。ゆっくり読んでみよう。