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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 




※2015年1月に「TVステーションWEBサイト」に掲載したものを再録しました。

[5]2020年大会のスポンサー募集が始まる

■ 2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、あと2020日
 2015年の成人の日、1月12日は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開幕まで2020日にあたる日だった。あと約5年と半年。長いようだが、特に関係者にとっては、あっという間のことになるにちがいない。組織委員会で働いている友人も、すでに「もう、死にそう!」と言いながら年末を乗り越えていた。
 2020年大会へのロードマップ(工程表)では、2015年はまだ基礎計画段階にあたるが、とはいえ、「2020日前」のような国内向けPRイベントもはじまり、2月には大会の基本計画をIOCに再提出しなければならない。大会ロゴマークの決定や日本国内での事前合宿候補地の募集もはじまる。オリンピック改革案「オリンピックアジェンダ2020」が採択されたことで、開催地独自の追加種目の座を狙って多くの競技団体がアピール活動をしている。様々な思惑がからむなか、競技を絞るのは難儀だろう。
 リオデジャネイロ・オリンピックの前年である今年は、各競技で五輪出場をかけた予選も行われる。その予選大会やリオ・オリンピック本番時には、東京や2020年大会の海外向けPR活動がある。リオ・オリンピック閉会式の最後を飾るパフォーマンスも企画しなければならない。などなど。
 さらに、社会一般には、「2020年東京オリンピック・パラ大会のために」「2020年大会を機会に」という掛け声で企画、計画されていることは無数にあるし、これからどんどん増えるだろう。一体誰が、どう進めていくのか。オリンピックの裏側を少しだけ覗いたことのある筆者には、気の遠くなるような話だ。しかし、時間は過ぎていく。
 そんななか、2020年大会の運営の資金を集める方法のひとつである、オリンピック・スポンサーの募集方法に関する報道が、先日、あった。

■ オリンピック・スポンサーの枠組み
 オリンピックのスポンサーは、大きく3種類に分けられる。IOC(国際オリンピック委員会)のスポンサー、各オリンピック競技大会のスポンサー、そしてNOC(各国のオリンピック委員会)のスポンサーである。
 IOCスポンサーは、「ワールドワイドパートナー」と呼ばれ、その名の通り全世界でオリンピックのシンボル(五輪マーク)などを使った広告・販促活動ができる権利をもつ。2014年12月の時点で、アトス、オメガ、コカ・コーラ、サムスン、GE、ダウ・ケミカル、パナソニック、P&G、ビザ、ブリヂストン、マクドナルドの11社が契約している。
 各大会のスポンサーは、大会ごとに組織委員会が募集するスポンサーで、大会のマークやマスコットを使える。
 NOCスポンサーとは、日本で言えば、JOC(日本オリンピック委員会)のスポンサーであり、「がんばれ!ニッポン」という言葉やJOCスポンサー用のマークなどを日本国内で使える。
 もちろん、それぞれのスポンサーには、多額な協賛金の対価として、ここに挙げた以外にもさまざまな権利が提供されるがここでは割愛する。また、NOCスポンサーや各大会スポンサーは、協賛金額や権利を行使できる地域等によっていくつかのカテゴリーに分かれるのが通例である。さらに、重要な点は、これらのスポンサーは、業種が重ならないこと(=1業種1社)を原則としているということだ。これは、1984年ロサンゼルス・オリンピックで考案された仕組みだが、これについては別の機会に解説する。

■ 2020年東京オリンピックの協賛金額
 オリンピックの3種類のスポンサーであるが、オリンピックが開催される国(地域)においては、大会スポンサーとNOCスポンサーをセットにして募集することが義務付けられている。これを「ジョイント・マーケティング」という。競合する企業が大会とNOCのスポンサーになってしまっては具合が悪いこと、提供できるメリットを集約して効率よく協賛金を集めるためと思われる。
 その2020年東京オリンピックのジョイント・マーケティングの内容の一部である協賛金額が明らかになったと報道された。
 それによると、2020年東京オリンピックのスポンサーは3種類に分かれ、その協賛金額は次のとおり。
 最上位のスポンサーである「ゴールドパートナー」が150億円以上、2番目の「オフィシャルパートナー」が60億円以上、3番目の「オフィシャルサポーター」が10~30億円。期間は、契約締結時から2020年12月末までで、最長6年間である。
 ランクによって違いがあるものの、このスポンサーになれば、これまでのJOCスポンサーの権利、すなわち2016年リオデジャネイロ、2018年ピョンチャン(冬季)、そして2020年東京の3大会に参加する日本代表選手団を利用した広告・販促展開に加え、2020年東京オリンピックのマーク、マスコット、スローガンなどを商業的に利用できる権利などを得ることできるわけである。はたして、この金額が高いのか、安いのか、妥当なのか。
 次回は、オリンピックに協賛することの中身について、もう少し掘り下げて考えてみたい。




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