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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



<スポーツ雑感+ 2024/10/8>
東京五輪汚職疑惑のKADOKAWAルート、角川歴彦被告の第1回公判を傍聴した。2022年9月に逮捕されて2年以上が経つからだろうか、東京地方裁判所の一番大きな法廷のひとつ104号法廷に73枚の一般傍聴券が用意されたが、希望者が60名程度だったため、抽選なしで傍聴券を手に入れることができた。東京五輪汚職疑惑、談合疑惑事件は、現在においてもスポーツ界に大きな影響を及ぼしているが、事件自体は風化しつつあるようだ。
はじめに、検察が「贈賄罪」の起訴状を朗読。それに対して意見を求められた角川被告は、用意した原稿を読むかたちで、起訴内容は「検察がつくった虚構」だとして完全否認。自分は無罪であることを主張し、さいごに「令和の袴田さんにしないでほしい」と裁判長に訴えた。弁護人も、「検察の言い分には客観的な資料はなく、まさにえん罪事件だ」とした。
なお、角川被告は、逮捕された後、否認を貫き、すべての供述調書に拇印を押さなかったことで、結果的に226日間も拘留された。その詳細は、「人間の証明-拘留226日と私の生存権について-」(発行:株式会社リトルモア)に綴られている。
その後、検察側の冒頭陳述では、すでにKADOKAWAルートで有罪が確定している芳原元担当役員、馬庭元室長のときのおさらいのように、高橋元理事らに対する贈賄の経緯を読み上げた。要は、角川被告は、芳原元担当役員、馬庭元室長と共謀し、スポンサー契約を有利に進めるために高橋元理事に賄賂を渡したとした。
それに対する弁護側の冒頭陳述。弁護人が裁判長に相対する証人席に立ち、法廷内の大型画面に要旨を投影しながら、角川被告の無罪の根拠を、まさにプレゼンテーションした。これまで東京五輪関連の公判を何度も傍聴してきたが、初めてのやり方で、原稿を読むよりも、はるかに説得力があった。
その弁護側が主張した無罪の主な根拠は、角川被告は会長ではあったものの、すでに代表権限はなく、決済のライン上にいなかったため、特に「贈賄」のリスクに関する情報は共有されていなかった。業務執行は、当時の松原社長、井上副社長、芳原担当役員がおこなっていた。そして、検察は、同じ時期に捜査をしていたAOKIが、会長主導で贈賄をしていたことから、KADOKAWAも会長だった角川被告ありきの誤った見立てをし、証言(供述)を集め、立証しているとした。
この日の弁護団は総勢11人。角川被告とともに真っ向対決の姿勢があらわれていた。今後、どんな展開が待っているのだろうか。
次回公判は、明日10月9日(水)。芳原元担当役員が証人として呼ばれている。


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