家の前が田んぼなので電柱がない。冬は風があるので凧上げにもってこいだ。
空をあおいでいると、自分まで上がっていくような錯覚におちいる。気持ち良くてついつい調子に乗って、糸を継ぎ足したら上空の風は予想以上で、するするというより、がぁーーーと容赦なく糸が飛び出していって、左の人差し指の第一関節が、糸で擦り切れた。
おまけに、上がり切った凧を降ろすのは大変だ。凧糸を足で踏んで巻き上げる。つりざおのリールがあるとよいのにと思うくらいだ。
危うくここでまた「凧上げが弓道の射に及ぼす影響」と、書かなくてはならなくなる。次回は軍手をはめてあげることにしようと孫にいう。孫の指でなくてよかった。
不思議に切れたところから血が出ていなくて、孫はそれを見て「年寄りは血が出んのやね。」と、真剣にいうので返す言葉がなかった。