2014年の作品。
冒頭からインド各地の風景が映るので、
旅行好きにはたまらない。各地を知っている人なら、
ここはラジャスタン、ここはラダック、ここは・・・と
思い出に浸れるし、知らない人なら、この風景もあの風景も、
みんなインドなのか? と思うだろう。インドは広い。
全編を通してアーリヤ・バットとランディープ・フーダの
二人芝居的な感じで進んで行くのだが、この二人の演技力に
恐れ入る。アーリヤは当時21歳、恐ろしいまでの才能。
それに引けを取らないランディープも凄い。
「ラブ・キチュリ」みたいなチャラけた作品じゃなくて、
個人的にはもっと意味のある作品に出るべきだと思う。
<ストーリー>
舞台はデリー。結婚式の買い物をしている様子、
設営をしている様子がホームビデオで映し出される。
式を翌日に控えたヴィーラ(アーリヤ・バット)は家を抜け出し、
新郎ヴィネイ(アルジュン・マルホトラ)の車で、
つかの間のドライブへ出かけた。式の前夜とは思えないほど、
二人とも冷めている。それもそのはず・・・・
親が決めた上流階級の結婚に愛はなかった。
給油で訪れたガソリンスタンドは強盗に襲われており、
ヴィネイは抵抗しないまま車を奪われてしまう。
ヴィーラは4人の犯人にそのまま連れ去られてしまう。
名前からヴィーラが政治家の娘だと解り、
辿り着いたアジトの仲間たちは混乱する。
マハヴィール(ランディープ・フーダ)は仲間たちと、
ヴィーラを連れ出し車を乗り換えながら移動する。
最初は逃げ出そうとしたヴィールだが次第に旅が楽しくなり、
人前で顔を隠したり、検問で見つからないように、
荷物に隠れたり協力的になる。そしてマハヴィールに、
自分が9歳の時、叔父から性的虐待を受けた事を打ち明ける。
母親はそれを知っても黙っているように言った事も。
いつしか二人の間に信頼関係が出来て行く。
デリーではヴィール誘拐が大事件となっていた。
一味から身代金要求の電話は、SIMカードの操作で、
発信地はインドのいろいろな場所からだった。
仲間の所へも捜査の手は伸び、マハヴィールの手配書も
各警察署へ発信され、各地で検問が行われるが、
逃げていると言うよりは旅を楽しんでいる様子だった。
マハヴィールも子供の頃に家出をし、
現在に至っている事を思い出す。そしてヒマーチャル・
プラデシュ州のある町で警察にヴィールを連れて行き、
自分は立ち去るが、ヴィールは拒否し後を追う。
二人はラダックへとたどり着く。
ヴィールの夢の一つは山の上に小さな家を持つ事だった。
マハヴィールは現地の人に掛け合い一軒の家を借りる。
ヴィールは家を気に入り部屋を整え食事の用意をする。
その様子を見たマハヴィールは母親の事を思い出し涙する。
翌朝、家を取り囲んでいた警官たちが静寂を破り発砲し、
マハヴィールは撃たれて死んでしまう。ヴィールは鎮静剤をうたれ、
デリーへ移送される。自宅へ戻ったヴィールは家族の前で、
母親の制止を振り切り叔父が自分にした事を話し始める。
ヴィールは家を出てマハヴイールと一緒に旅した道を辿る。
数年後・・・缶詰工場を管理するヴィールは、
丘の上に家を建てて住んでいる。子供の頃を回想すると、
そこには子供の頃のマハヴィールがいた。
アーリヤ・バットの為の映画だったけど、
ランディープ・フーダも良かった。
過去の出演作品を観て思うのは、彼の持ち味は、
抑え気味の演技である。オーバーアクションにならず、
(臭くないって事)派手ではない、嫌味のない演技。
あと私は旅好きなので、こう言うロード・ムービーは、
大好きである。景色や街並み、人々の生活が垣間見れる、
それだけで満足してしまうのだった。
二人の関係は同志的なもので恋愛感情ではなかった。
追手が来るのが数日遅れ、二人の生活が続けば、
関係に変化が起きたかもしれないが・・・。