ドイツにはこれまで行ったこともないし、
人生であまり接点がありませんでした。
途上国の現場でドイツ人と知り合った程度で、
ドイツ自体に興味があまりありませんでした。
あとは戦間期(第一次大戦と第二次大戦の間)に
ワイマール憲法下でナチスが誕生した経緯につき、
少し勉強したことがあるくらいでした。
ドイツは詳しくないのが正直なところです。
そこでドイツの基本の基本みたいな本を探し、
政治や経済、社会をにわかに勉強してます。
日本とドイツが大きく異なるのが戦後処理です。
ドイツは敗戦により大幅に領土が削られました。
日本で例えると九州と中国地方を失ったくらい、
大幅に領土面積が減少した感じだと思います。
日本が失った朝鮮半島や台湾は植民地でしたが、
ドイツが失ったのはドイツ人が多く住む本国です。
旧プロイセンはドイツ領ではなくなりました。
しかも東西ドイツの分裂の悲劇を伴いました。
その中で、戦後の戦争犯罪の追及にあたっては、
連合国の戦犯裁判が終了した後になってからも、
ドイツ司法自らナチスの犯罪を追及しました。
ドイツは過去の戦争犯罪を謝罪してきました。
ナチスを肯定するドイツ人は極めて少数派で、
ナチスを肯定すれば公職を追われます。
ドイツの国会議員が「ユダヤ人もロシア革命の
革命指導層にかかわり、大量の『階級の敵』を
粛清したので、『ユダヤ人も手を汚す行為を
おこなった民族だ」という趣旨の発言をすると、
党首のメルケル首相から党を除名されました。
直接的にナチスを擁護したわけでなくても、
いわば「悪いのはドイツだけではない」と
主張しただけで、党首にクビにされました。
その発言に同調した軍の高官も更迭されました。
ナチスを肯定することは、それ自体が罪です。
罰則もきちんと整備されているそうです。
ドイツの刑法には以下の項目があるそうです。
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以下の者は3年未満の自由刑もしくは罰金に
処せられる。
公然とあるいは集会において、ナチスの暴力・
恣意的支配を承認、賞賛、正当化等をすること
によって、その犠牲者の尊厳を傷つけるような
かたちで公共の平和を乱す者。
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*自由刑とは、懲役、禁錮、拘留のこと。
受刑者の自由をはく奪する刑。
わが国の某閣僚のナチス肯定発言などは、
ドイツだと罰せられる可能性があります。
3年未満の禁固刑の可能性がありました。
当然ナチスを否定するのはドイツだけではなく、
被害を受けたポーランドやフランス等の隣国も、
ドイツ並みかそれ以上にナチスを否定します。
グローバルな社会で生きる国会議員にとっては、
ナチスに対する欧州各国の認識を知らないと、
とんでもないミスをして、国益を損ないます。
こういういわば「政治的教養」に全く欠ける人は、
国会議員にはならない方がよいと思います。
また、今は「政治的教養」が十分ではなくても、
身に着ける努力を惜しむべきではありません。
陣笠議員ならまだしも、閣僚や幹部になる人には、
国際社会に通用する「政治的教養」が必須です。
私も無名議員の今のうちにきちんと勉強しておいて、
将来は「政治的教養」の持ち主になりたいです。