だから、自民党としては、特別委員会を設置して、与野党各党から、質問を受けても、安倍晋三首相はじめ関係閣僚が、答弁できることが限られているので、まともな質疑にはならないと考えている。
それどころか、安倍晋三政権は8月22日からブルネイで行われる第19回目の会合でも、「とくに主張しない」と意味不明なことを表明している。それは、一体どういう戦略なのか?
◆「TPPの交渉会合で、日本政府が参加各国に示す最初の関税撤廃案が18日、明らかになった。関税をなくす品目数の割合を示す『貿易自由化率』は最大で85%程度とする一方、関税を守りたいコメなどの農産品は、態度を明らかにしない『留保』とする」と朝日新聞が8月19日付け朝刊「1面」で報じている。これは、「コメ、牛・豚肉、乳製品、麦、砂糖の原料の『重要5項目』(586品目)」=「6.5%」といういわゆる聖域を守るための作戦のように受け取れる。だが、この記事は、外務省が「最終的な自由化率は『96%以上になる』」と言っているのは、極めて困難な状況を暗示している。つまり、外務省は、TPP交渉のなかで「農業」について、ほとんどが合意済みになっていることを承知しており、守秘義務ギリギリのところで、これからの交渉の絶望的な結果を漏らしているのである。
要するに、自民党は、大票田であるJAなどの農業団体に対して、「聖域は守る」と約束して、参院議員選挙を戦ってきた手前、「約束を果たそう」と懸命に努力している姿を示さなくてはならない極めて苦しい追い詰められた状況に立たされている。
しかし、安倍晋三首相、石破茂幹事長、甘利明経済産業相ら首脳陣は、おそらくは「聖域を守ることは絶望的だ」とすでに察知しているはずである。それどころか、TPP参加が、いまや日本にとっては、至上命令であり、しかも「例外なき関税ゼロ」を絶対に受け入れなくてはならないにことも十分に承知している。
それは、世界支配層(主要ファミリー)が、完全自由な貿易体制を築こうとしているからであり、これに逆らうことはできないからである。貿易のルールは、「国際標準」に統一され、具体的なビジネスの方法もIT化により「統一」される。つまり、ネットで交わされる文書は、すべて「英語」で行われ、契約書や認証方式なども統一される。「英語」と「ネット」を駆使できない者は、これからの世界、社会では生きていけなくなるのだ。
◆だが、安倍晋三政権は、「英語」と「ネット」について、これが「国際標準」に対応するのに必要不可欠であるという言い方をしていない。あくまでも、「戦後教育の見直し」の一環である「教育改革」のなかに位置付けて力説しているにすぎない。だから、本来は、TPP参加と教育改革は、一体になって連動しているにもかかわらず、国民の多くは、その意味と意義を十分に理解しているとは言えないのである。
従って、たとえば、農業について言えば、マスメディアが、最近「パソコンとインターネット」を駆使した農業「スマートアグリ」について相次いで放映されているのは、これからの日本の農業のあり方について新しい方向に誘導しようとする意図が感じられる。
NHKが5月20日午後7時30分から8時の「クローズアップ現代」で、「オランダの『農業革命』スマートアグリに学ぶ」というタイトルをつけて放映したのが、代表例である。
もしかしたら、安倍晋三首相ら首脳陣は、農業団体に「聖域を守る」と言いながら、実は、「聖域はもはや守れない」と覚悟を決めて、努力するフリをしながら、徐々に「スマートアグリ」に代表される「農業革命」に誘導している感がある。
【参考引用】産経新聞msn産経ニュースが8月19日午後3時、「TPP交渉控え会談 甘利氏、米通商代表と」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「甘利明・環太平洋連携協定(TPP)担当相は19日、来日中の米通商代表部(USTR)のフロマン代表と東京都内で会談した。22日にブルネイで開幕するTPP交渉会合をめぐり意見交換。会談は米側の希望で実現。甘利氏とフロマン氏は、交渉会合に合わせて22~23日にブルネイで開かれるTPP閣僚会合に出席し、それぞれ米国、日本以外の各国と2国間の会談も行う。TPP交渉参加の12カ国は、10月の基本合意と年内の妥結を目標に掲げている。甘利氏は会談後、記者団の取材に応じ『2013年中の妥結のために、日米両国が作業を加速することを確認した』と語った」
朝日新聞DIGITALが8月19日午前5時34分、「関税撤廃品目、最大85% 政府、TPP交渉で提示へ」という見出しをつけて、次のように配信した。
「【藤田知也】環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉会合で、日本政府が参加各国に示す最初の関税撤廃案が18日、明らかになった。関税をなくす品目数の割合を示す「貿易自由化率」は最大で85%程度とする一方、関税を守りたいコメなどの農産品は、態度を明らかにしない「留保」とする。
TPP特集ページ
TPPは、太平洋を囲む国々が輸入品にかける関税をなくすなどして、モノやお金が自由に行き来する経済圏をつくる取り組みだ。米国やオーストラリアなど11カ国がすでに交渉に参加しており、日本は今年7月から遅れて加わった。22日からは、ブルネイで日本を含む12カ国が参加する19回目の会合が開かれる。TPP交渉では、どれぐらいの品目について関税を撤廃するのかが焦点だ。交渉のさいに、各国は、関税撤廃案をつくり、自国の貿易品目のうち、関税をなくす品目を列挙する。関税をなくす品目の割合を示す「自由化率」は、貿易自由化に向けた各国の姿勢を示す重要な数字だ。TPP交渉では関税の引き下げ交渉は主に2国間で進められている。日本は交渉に参加するほかの11カ国それぞれと撤廃案を互いに見せ合い、交渉を進める。関税をなくす品目や自由化率は、相手国によって変えることができる」
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本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
天皇皇后陛下が安倍晋三政権の東日本大震災復興の遅れをご心痛、三菱グループも独自に復興事業に取り組む
◆〔特別情報①〕
皇太子ご夫妻が8月20日に、東日本大震災で被災した宮城県を訪問される。平成23年8月の岩手県以来、約2年ぶり。宮城県は震災後、2度目のご訪問となる。大震災から2年5か月も経つのに被災地の復旧復興が遅々として進んでいないことに天皇皇后両陛下は、心を痛めておられ、しばしば被災地を訪問されていることに倣ってのご訪問である。これは、安倍晋三政権に対する痛烈な批判とも受け取られている。財界では、三菱グループが、独自で寄付金を集めて、復旧復興に乗り出しているという。
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第20回 板垣英憲「情報局」勉強会のご案内
平成25年9月8日(日)
消費税増税は、日本の経済の成長にどう影響するか?
~成長に影響なしか、足を引っ張るか?
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【板垣英憲(いたがきえいけん)ワールド著作集】
『愛する者へ遺した最期のことば』(1995年6月10日刊)
目次
◆官僚たちの死 ①
パスポートを用意しておけ
吉村仁さん・五六歳
――肝硬変で死亡
「啼くだけ啼かせてもらった、今日で啼きやむ」
これは、厚生省の事務次官を務めた吉村仁さんが、昭和六一年六月に退官のとき、厚生省の職員を前にしての別れの挨拶の中で述べた言葉である。吉村さんは、昭和二八年に厚生省に入って以来、三三年の官歴に終止符を打った。