2014年9月24日(水)20:25
(産経新聞)
「子育てに失敗した」「子供のことが分からない」。子供が不登校になると罪悪感を抱え、関係をこじらせてしまう保護者は多い。保護者は子供にどう寄り添えばいいのか。当事者の声から探る。
「学校に行きたくない」。東京都北区の浦野了琴(りょうこ)さん(18)は小学3年生の冬休み明け、母親(49)にそう訴えた。
クラスの女の子からずっと陰口を言われていたこと。それを教師に相談すると、当事者から話を聴かないまま2人を引き合わせ、お互いに謝らせて終わりにしたこと。母は浦野さんの話を最後まで聴いた。
そして、「迷っているなら行かなくていいんじゃない?」。選択を委ねた。「途中で遮らず、最後まで聴いてくれてうれしかった」
◆最後まで聴いて
不登校は比較的すんなり認めてくれたが、母との関係は常に良好だったわけではない。イライラをぶつけ合った時期もあった。家は狭く、お互いの生活は丸見
え。家の片付けや夕飯などささいなことでけんかになった。「おはよう」「行ってらっしゃい」。当たり前の会話がなかった。
けんかに疲れ、次第に関係は改善した。しかし、「今思うと、私が家にいることで母の時間を前より奪っていた。私も家にいることに罪悪感があって積極的にコミュニケーションが取れなかった。もっと普通に接することができたらよかった」。
プレッシャーを感じたこともあった。「今日はどうやって過ごすの?」「どこに行くの?」。心配からきている言葉。しかし、「いつまでこのまま学校に行かないでいるの?」と言われているように思えた。
不登校が始まって10年。浦野さんは現在、高卒認定試験に向け、勉強をしている。さまざまな出会いや経験を経て、母に対する思いは変わってきた。
「不登校やフリースクール通学という特殊な道を選んだ自分を、ほどほどに黙って尊重してくれた。私の生き方を否定しないでくれたことに感謝しています」
◆理由はいらない
NPO法人「フリースクール全国ネットワーク」の事務局長、松島裕之さん(32)は小学5年から不登校になった。
3、4年ほど引きこもっていたが、16歳になり、焦りと不安からアルバイトを探し始めた。しかし、どのアルバイトも不合格。10ほど落ちたとき、「バイト
くらいしなきゃいけないのは分かっているけれど、雇ってくれる所がない。18歳まで猶予をください」。父親(63)に話した。
父の言葉は予想外のものだった。「中学生とか高校生とか、働いていなくちゃいけないとか、この家にいるのに理由はいらない」。父は「この家にいることにひけ目を感じさせていたとしたら悲しいことだ」と考えていたという。
不登校の子供は「自己肯定感」が満たされていないケースが多い。「父の言葉に本当に救われた。いろいろなことが少しずつ楽になりました」
「将来どうするの?」。つい、子供に聞いてしまう例は少なくないだろう。だが、子供は子供なりに「学校に行かないとどうなるのか」を真剣に考えている。
親子であっても、考え方も生きる道も人それぞれだ。「不登校になった人でも多くは時期が来れば学歴を得たり、企業で働いたりしている。そういった道を選ばなくても、それぞれのやり方で生きている人の例もたくさん見てきました。まずは休むことが大事なんです」(松島さん)
■6年ぶり増の11万9617人
文部科学省が8月に発表した平成26年度学校基本調査(速報値)によると、平成25年度に学校を長期欠席(30日以上)した小中学生のうち、「不登校」が理由だったのは計11万9617人に上った。前年度より約7000人増え、6年ぶりに増加した。
不登校の内訳は、小学生2万4175人(前年度比2932人増)、中学生9万5181人(同3932人増)で、中等教育学校(前期課程)に通う生徒261人(同64人増)だった。』
不登校になる原因は、学校嫌いも有ると思います。無理やり学校に行けと言うよりも心に余裕を持って、静かに見守ることが大切では有りませんか。保護者も学校へ行かないと子供が、絶対駄目になると思い込まないことが大切では有りませんか。学校教育への戦前からの保護者の妄信です。子供も保護者も人生それぞれの道が有り、人と比較せずに自分の歩むべき適した進路を見出せると思うべきです。親は子供を信じるべきです。子供を信じる親は、救われます。