浅野秀哉未来創案
一国2制度で繁栄を続けているとされるマカオを訪れ、在住の友人や関係者に中国との関係を聞いてみた。
習近平体制で、中国政府の徹底監視で本土からの大金持ちの来訪は激減している。にわか成り金は来るらしいが、こういう連中は共産党や地区有力者と のパイプが細く無防備。そして後からビジネスに影響が出て初めて監視に気付く。党にコネがある連中はいち早く国外に裏から金を持ち出し、摘発の恐れあれば 即刻脱出する。
大陸本土からみれば香港やマカオは単なる外国からの集金場所であり、中国で現地法人の組織を作る時は軍や党へのコネが必要だ。日本の中小企業が工 場進出しようとすれば、現地の弁護士を交渉窓口とし、裏金を含め相当の金がいる。中国は既に人件費も高騰し新たな進出企業も少なく、世界中の企業が撤退を 始めている。もっともベトナムやミャンマーなど東南アジアに工場移転しても結局は権力者へ裏金がなければ、ビジネスにならないのは同じ事だ。
加えて習近平でさえ恐れる軍部の意向は無視できない、その軍も結局は裏金次第。日本の弁護士は言葉の壁があり、中国人弁護士はどこに通じているか知れたものではない。よほど語学堪能な日本人が交渉したとしても、彼らの手の内は完全に読み切れない。
日本や英国など先進国は法律に基づく法治国家であるのに対し、中国やベトナムなど共産主義で自由経済の国は、窓口の権力者の意向で内容がコロコロ変る人治国家だ。
マカオのカジノは、一時「本場ラスベガスをしのいだ」と言われたが、一気に景気が冷え込むと雇用などにも大きな影響が出る。日本の観光産業は、イ ンバウンド景気にわき「まだまだ伸びる」と強気だが、円安に支えられた外国人客の大半は中国人中産階級だった。彼らは、本国の関税率変更で既に日本で高価 な貴金属や電化製品の爆買いをしなくなった。彼らが買い求めるのは、ドラッグストアでの生活必需品が中心で、日本でアテが外れたラオックスや百貨店の免税 店は既に閑古鳥が鳴いている。維新の松井知事が熱望していた「カジノを大阪に」なんてとんでもないと、強く感じた。