10月17日 18:30
お風呂で赤ちゃんっこは危険? 「世尿症」という大人のおねしょ
(Mocosuku Woman)
執筆:南部 洋子(看護師)
監修:坂本 忍(医師)
“子どものおねしょ”と聞くとかわいい感じがありますが“大人のおねしょ”となると深刻な問題です。誰にも相談できず、困っている人もいるのではないでしょうか?
大人になったにも関わらず、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
詳しく見ていきます。
◆ 「おねしょ」ではなく「夜尿症」
幼児期(小学校入学前)の夜尿を「おねしょ」といい、入学後以降の夜尿を「夜尿症」といいます。7歳以降も夜尿が続く場合は、適切な対策をとったほうがいい場合が多いため、病気を意味する「夜尿症」と言われているのです。
◆遺伝も関係? 夜尿症の原因とは
一般におねしょは3〜4歳頃には消失し、遅い子どもでも小学校入学頃にはなくなると言われています。夜尿をしてしまう子どものうち約9割は、両親が夜尿症になったことがあり、遺伝体質だと言われています。
また夜尿症は大きなストレスがかかることにより、漏らしてしまうことが多いです。これはストレスにより自律神経が乱れてしまい、就寝中に分泌される抗利尿ホルモンの分泌が抑制されることで尿の生産量が増加し、漏らしてしまうことが原因です。
夜尿症には一次性と二次性があります。
一次性は幼少時からの夜尿症が継続している場合のことをいい、二次性は一時期治癒していた夜尿症が半年〜数年以上置いて、再発した場合を言います。
夜尿症の80〜90%は一次性に当てはまり、二次性はあまり多くありません。
二次性夜尿症を誘発してしまう因子としてあげられるは、「過度の緊張状態やストレスを持続的に受け続けたとき」「引っ越しなどで生活環境が変わったとき」など心理的なものが原因で起こることが多いものです。
腎臓や膀胱、尿道の括約筋が病気その他で弛緩している場合、そして一度の飲酒でひどくよっているにもかかわらずアルコールを摂取し続けた場合、などもあります。
また勘違いされがちですが、夢や睡眠の深さと、夜尿症との関連はありません。
◆夜尿症の治療法
夜尿症を防ぐためには「焦らない」「起こさない」「怒らない」。この3つが大切。夜尿症の人は、幼少時から「おねしょをしてしまった」という自覚が強いため、精神的に追い込まれやすい状態です。
一次性夜尿症は、膀胱の容量が少なくて尿をためることができない、また抗利尿ホルモンの夜間の分泌量が少なく尿量が増える、など排尿に関わる機能が成長過程にあることが原因です。
そのため成長するに従って自然によくなっていくことが多いです。治療としては、薬物治療やアラーム治療があります。薬物は、膀胱機能を落ち着かせる抗コリン剤や尿量を減少させる抗利尿ホルモン薬などを用います。
ア ラーム治療は、下着にセンサーを付けて、センサーが尿を感知するとアラームが鳴ります。これは夜間に覚醒させるためではなく、排尿をコントロールする訓練 でもあります。これを長期間続けると夜間にアラームが鳴っても朝まで我慢できるようになり、最終的には夜尿の消失や膀胱の許容量を増大させる効果があると 考えられています。
二次性夜尿症の治療としては、カウンセリングを受けること、他の病気と関連があれば、病気を治療する必要があります。
◆夜尿症を予防する方法は?
・お風呂で排尿しない
お風呂で排尿する習慣がある人は夜尿症になりやすいと言われています。お風呂の暖かさと布団のぬくもりが似ているため、睡眠中に反射的に排尿してしまうことが原因ではないかと考えられています。風呂場で排尿する習慣がある人は直しましょう。
・寝る時間を意識する
昼夜関係なく不規則な生活をしていると抗利尿ホルモンの分泌のバランスに悪影響を与えます。昼夜逆転などにならないようにしてください。
・骨盤底筋群を鍛える
尿 道は男性が8センチ、女性は4センチで短いです。更に女性はお産を経験することで、排尿をコントロールする骨盤底筋が伸びてしまい、しっかりと尿道を締め ることが出来なくなります。それが尿漏れを起こす原因ともなるのです。夜尿症は、尿漏れ対策と同じで、骨盤底筋群を鍛えることが有効とされています。骨盤 底筋体操を行いましょう。
・お酒を飲みすぎない
膀胱に尿がたくさんたまっているのに深酒のせいで目が覚めないことがあります。飲酒はほどほどにしましょう。
これらのことのほかに、ストレスや疲労を減らすことも大切です。日頃から気を付けておけば夜尿症になることはないでしょう。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
赤ちゃんは、風呂にはい入ると気持ちがよくなり排尿する事は有ります。
大人の夜尿症は、現代の生活の中での『ストレス』も影響しているのではないでしょうか。