スマートフォンのストラップが首に絡みつき、1歳の男児が意識不明の重体になる事故が今月、兵庫県伊丹市内で起きた。ストラップだけでなく、ブラインド のひもやカーテンの留めひも、かばんの持ち手、充電ケーブルなど子どもの首に絡む恐れのあるものは家の中に多く、保護者からは「どうしたら事故を防げるの か」と不安の声が上がっている。(貝原加奈)

 今回の事故は、クローゼットの取っ手に掛けられていたストラップの輪が男児の首に引っかかった後、男児が床に座り込むなどして首が絞まって起きたとみられる。

  消費者庁によると、家庭内でブラインドなどのひもが6歳以下の子どもの首に絡まる事故は、2007年から13年までの約7年間に10件あり、うち3件は窒 息による死亡事故だった。中には、ベッドに寝かせていた生後6カ月の男児が寝返りをして転落し、ブラインドのひもが首に巻き付いたとみられる事例もあっ た。

 こうした事故を受け、経済産業省は昨年12月に「家庭用室内ブラインドひもに関するJIS」を制定。子どもの手が届く範囲にひもを付けないことや、一定の重量でひもが分かれる機能を持たせることなどを製品に求めている。

 主なブラインドメーカーでつくる「日本ブラインド工業会」(東京都)は、子どものいる家庭向けに、使わない時はチェーンをクリップで束ねておく▽そばにベッドやソファなど台になるものを置かない−などの注意を呼び掛ける。

  一方、保護者からは、ブラインドやカーテンのひも以外にも、「危険な“ひも”は家中にいっぱいある」との声が上がる。神戸市垂水区の主婦(37)は「3歳 の娘が高窓の開閉チェーンにぶら下がろうとする」といい、「『首に引っかかったら危ないよ』と言い聞かせてはいるけれど…」と不安そうだ。

 同市東灘区の3児の母(42)は「2歳の息子が姉のポシェットの小さい輪っかに首を通していたことがあり、ヒヤッとした」。かばんの持ち手にも危険があるとする。

 そのほか、就寝中に枕元で充電していたスマートフォンのコードが、翌朝子どもの首に巻き付いていたケースもあった。よだれかけやネックレス、水筒に注意が必要という人もいた。

 どうすれば、家庭内での事故を防げるのか。元保育士で大阪教育大准教授の小崎恭弘さん(49)は「高い場所ととがったもの、ひもは、子どもにとって危険なものの三大例」と指摘。その上で、「子どもの目線で安全な環境かどうかをいま一度、見直してほしい」と話す。

 さらに、「特に3歳頃までは、長時間目を離さないのが基本」と小崎さん。「事故は大人が目を離した隙に起きる。子どもは常に予想できないことをする生き物だと心得て」と強調する。