怒る福田康夫!<本澤二郎の「日本の風景」(4134)

<本心は法務大臣・上川陽子への常識人らしい檄か>

 穏健派の元首相・清和会本流の福田康夫が、久しぶり吠えた。彼の標的は安倍晋三に対してだ。ぶっちゃけて言うと、同傍流の「神の国」信仰者のカルトによる、森友事件に関連した赤木俊夫さん(近畿財務局職員)自殺を強いた安倍という魔物を「許すな」と怒ったのだろう。国民の受け止め方である。

 

 彼は、我が国の公文書制度の確立に汗をかいてきた。正確な国の記録が民主主義の基礎である、との信念から、上川陽子らと共に公文書管理法の制定に取り組んできた。彼のパートナーが現在の法相である。

 

 筆者は、偶然に一度きり彼女と名刺交換したおりに、彼女から熱心にそのことの説明を受けた。上川の政治姿勢を評価した。ある時、宏池会の生き字引の事務局長・木村貢にも「何者か」と尋ねたほどである。

 この時の場所は、宏池会の集金パーティー会場だった。岸田文雄が主役の会だった。立ち話だったが、彼女は公文書の重要性について語ってくれた。いま思うと、不思議な光景である。

 

 彼女の素晴らしい資質を救い上げた福田を評価したいが、もう一人彼女を悪役に仕立て上げた人物が、史上最低の首相となった安倍だった。彼女はオウム事件当事者の大量死刑執行を断行して、安倍を喜ばせた。「安倍のための検察」問題にも関与させられた。

 

 今回福田康夫は、赤木俊夫ファイルが裏付けた、安倍夫妻の重罪を「無視するな」と法相に釘を刺したものと思えてならない。

 

<福田家と宏池会の宮澤家と上川陽子の政治姿勢>

 宏池会創立者・池田勇人の政権に噛みついたのは、岸信介や佐藤栄作を背後に控えていた福田赳夫であるが、福田は政権を担当すると、池田側近の宮澤喜一を起用した。彼の語学力だけではなく、護憲リベラルに信頼を置いたものである。福田の日中平和友好条約の締結である。

 

 康夫は小泉内閣の官房長官になると、真っ先に宮澤の下を訪れて、苦手な外交を学んだ。日本外交の恥部である靖国参拝のことを、とことん教え込まれたのだ。彼は「戦争神社」と恐れられている靖国神社ではない、無宗教の記念塔のような施設建設に走った。

 

 首相の小泉が、繰り返し靖国参拝する中で、官房長官の康夫は公然と反靖国を貫いたのだ。アジア・欧米の歴史認識に耐えうる非宗教的な慰霊碑建設計画に脱帽したものだが、そこには宮澤・宏池会の戦後民主主義の信念が踏襲されていたのであろう。その宮澤を尊敬して宏池会に所属した上川陽子のはずである。推認だが、的外れではあるまい。

 

 宮澤を挟んで、康夫と上川は身内関係にあると分析できるだろう。

 

<検事総長・林真琴への以心伝心を恐れる安倍晋三か>

 すっかり安倍と麻生に赤子のように手玉に取られてきた岸田文雄は、前回の参院広島選挙での安倍の宏池会壊滅作戦に目を覚ました。菅内閣誕生で、これまでの不甲斐なかった対応を猛省して、現在は安倍退治に動き始めた。

 

 1・5億円事件追及では、幹事長の二階と連携した。保守本流・宏池会と自民党の大黒柱による安倍逮捕への布陣である。宏池会の上川もブレーキを掛けることは出来ない。

 

 林検察は、もはや休眠することは許されない。自民党金庫番の元宿が、二度目の菅との会見を行った。検察の動きを証明したものだ。安倍は、針のむしろの日々を送っている。1・5億円事件のみならず、公文書偽造事件を放置することは、民主主義の崩壊につながる、との福田康夫の警告である。

 

 赤木ファイルに世論は、怒りで沸騰している。そこを福田が後押ししたことになる。上川法務・林検察は、前進するほかない。目がトロンとしている菅もまた、安倍一辺倒どころか、逃げ出している。

 

 細田派を安倍に衣替えする壁は、厚すぎて乗り越えることは不可能である。解散が長引いたことで、検察の捜査はやりやすくなっている。安倍逮捕予測の記事は、ネットで氾濫している。負けじと安倍は、都議選応援で無意味な戦いに汗を流しているのが痛々しい。

 

<目前のコロナ五輪の惨状=改憲軍拡派の原子力ムラに抵抗!?>

 他方で、五輪開催ができるのかどうか、予断を許さないコロナ感染拡大である。外国特派員協会の記者団は、本国からの応援団を迎えて、コロナ五輪狂騒曲に火花を散らせ始めた。

 

 変異株に効果あり、効果なしの報道が、一段と派手になっている。菅も都知事の小池もよたついて、シャンとしていない。明日の都議選結果は? 

 第一、開会式に参加する各国元首は、目下一人もいない。参加選手の落馬報道も次々と出てきている。

 

 新型コロナが、内外世論の怒りの反発を歓迎したかのように、勢いがいいのも気になる。フクシマ放射能隠しの五輪開催は、果たして実現するのかどうか。原子力ムラも打つ手なしだ。巨大利権のニンジンを目の前にして、人びとはコロナと改憲軍拡・原子力ムラの攻防戦に一喜一憂の今である。

 

<「日本は破局に向かう」とも安倍・日本会議に警鐘を鳴らしてきた康夫>

 もう大分前になるが、福田康夫は「日本は破局に向かっている」といって、安倍の改憲軍拡・原発再稼働に警鐘を鳴らした。

 

 このことは、福田赳夫の清和会と、岸・安倍の犯罪・清和会は、全く別物であることを裏付けている。一枚岩では全くない。清和会を創立した福田赳夫のそれが、正統派である。

 

 福田赳夫の外交指針は、等距離外交であってワシントンの属国外交では全くない。「神の国」の森喜朗や、日本会議・神道政治連盟の極右と異なるものである。岸・安倍の戦争傾斜の政治路線は、再び日本を滅ぼす元凶である、との福田予言は正しい。

 

 岸・安倍に魅入られた戦争体制・原発日本に、前途はない。筆者も同意できる。上川も林真琴も理解するに違いない。安倍・自公の原発再稼働・五輪強行に大義はない。子供たちに未来はない!

2021年7月4日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)

 

 

NHK公文書管理の強化に取り組んできた福田元総理大臣は、財務省の決裁文書の改ざんについて「行政的には決着したと言われているが、簡単に割り切れるか政治も考えなければならない」と述べ、一連の政府の対応に苦言を呈しました。

総理大臣在任中に公文書管理法の制定に取り組むなど、管理の強化に取り組んできた福田元総理大臣は、東京都内で開かれた国立公文書館の開館50周年を記念する式典で講演しました。

この中で福田氏は、公文書管理の重要性について「健全な民主主義を進めるためには国民が真実を知ることが大事だ。作成すべき文書が作成されず、保存すべき文書が保存されていないのであれば、国民に対する背信と言わざるをえない」と指摘しました。

そのうえで、財務省の決裁文書の改ざんについて「極めて遺憾な問題で、公文書管理法の制度も理念も覆すような事件だった。行政的には決着したと言われているが、そう簡単に割り切れるものなのかどうか、政治としても考えなければならない」と述べ、一連の政府の対応に苦言を呈しました。

赤木雅子さんに傍聴席から拍手「疑惑や不信を招く行為をこれ以上続けないで」 森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記(日刊ゲンダイ… 赤かぶ (asyura2.com)

<「私が菅に五輪を押し付けた」と安倍晋三が明かした?>

(毎日)安倍晋三前首相は発売中の月刊誌「Hanada」で、東京オリンピック・パラリンピックについて、「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」と批判した。具体的には共産党や5月の社説で中止を求めた朝日新聞を挙げた。