北海道・知床半島沖で乗客乗員26人を乗せた観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、1日の陸揚げの際、ブルーシートの隙間から見えたカズワン後部の船底には、穴や亀裂のような損傷が見られた。ただ、カズワンは4月23日に消息を絶つ直前、「船首が浸水している」「エンジンが止まった」と連絡していた。今回の損傷について、沈没の原因につながるかどうか、専門家は慎重な見方をしている。

 元海上保安監の伊藤裕康・海上災害防止センター理事長は「座礁した場合はもっと大きなこすれた跡や穴が残るはずだ」と話す。カズワンは5月23日、事故現場の水深約115メートルの海底からつり上げられ、翌24日にえい航されていた際、水深182メートルの海底に落下した。伊藤理事長は穴のような損傷が落下でできた可能性に触れ、沈没は「何らかの原因で船首に水が入り込んだ後だろう」とみる。

 船舶事故に詳しい神戸大海事科学部の若林伸和教授は、海水が船内に入り込んだ可能性を指摘する。開口部の密閉が不十分だと、機関室に海水が入り込み、エンジン停止につながる状況も生まれやすいという。「船首部分にはハッチがあった。ここから水が入り込んだのでは」としたうえで、「通常なら船内の隔壁で全体への浸水を食い止めるが、船体の老朽化や構造の問題で機能しなかったという見方もできる」とする。

 日本水難救済会の遠山純司・常務理事は事故原因の究明について、「船体の傷を一つ一つ精査する作業が必要。かなりの時間がかかる」としている。』

観光船「KAZU I(カズワン)」が、沈没してから、何を言っても亡くなった乗客、乗務員は二度と帰ってきません。後の祭りです。