Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

tak's Movie Awards 2014

2015-01-01 | tak's Movie Awards
中学3年の年末に、映画好き友達と「ロードショー」や「スクリーン」誌の真似して年間ベストを選んでから34年。いち映画ファンによる映画愛表現の手段として、今年も個人的べスト作品を選出します。とはいえ、若い頃と違っていろんなことで忙殺される日々。フットワーク軽く映画館に行ったり、レンタル店に通い詰めるなんてできない。それだけ観る映画を自分で厳選する嗅覚がますます必要になっているのだ。

そして若い頃とは違って日々のいろんなことに悩まされる日々。今年は些細なことから深刻なこと、私的なことからお仕事のことまで悩んでしまうことの多かった年だった。何を信じていいのかが疑われる出来事が、世間でも自分の身の回りでも次々と起こった年だったようにも思う。世間の情報や見てくれに踊らされずにいることの難しさ。

そんな2014年に観たすべての映画から、私takが選んだ私的映画賞がこちら。国際映画賞の結果なんぞ関係なく、あくまでも個人としてグッときたかが基準。特に今年は自分を励ましてくれる映画が多かった。いや、映画がもつ力とともに、いろんな事に励まされ続けた年だったよな気もするのです。感謝。(昨年の結果はこちら

★対象は2014年に観たすべての映画(劇場、DVD、VTR、地上波、BSすべて含む)。新作、旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に撮られた映画を対象とする。いわゆるVシネマ、OVAなどビデオリリース目的のものは含まない。

■作品賞=「きっと、うまくいく/3 Idiots」(2009年・インド)

今まで敬遠してきたマサラムービーだったが、いやはや参りました。あっという間の3時間。途中に入った5分間の休憩時間が邪魔に感じるほど、先が観たくて仕方なくなった。人情喜劇、青春ドラマ、お約束のミュージカル場面、成長物語、謎解き、涙・・・映画に求められるエンターテイメントをてんこ盛りにしながらも、決して無駄がない。エンドロールを観ながら「すげえ」と口にしてしまった映画、これまで何本あっただろうか。そして悩み多き日々を送る僕らの背中を、ドーンと強烈に押してくれるような前向きさと優しさに満ちた映画。世間的には2013年公開作。だけど、小倉昭和館で今年この映画に巡り会ったのは、僕にとってとても意味のあることのように思えたのでした。傑作エンターテイメント。

今年の10本
「思い出のマーニー」(2014)
「紙の月」(2014)
「きっと、うまくいく」(2009)
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014)
「ジャージー・ボーイズ」(2014)
「ゼロ・グラビティ」(2013)
「そこのみにて光輝く」(2013)
「her/世界でひとつの彼女」(2013)
「マダム・イン・ニューヨーク」(2012)
「LIFE!」(2013)


■監督賞=アルフォンソ・キュアロン「ゼロ・グラビティ」(2013)

上映時間の間ずっと椅子にしがみついていた(恥)。これはまさに"映像体験"だった。だが「ゼロ・グラビティ」はただの見せ物娯楽映画ではない。困難に立ち向かうヒロインの姿に気づくと勇気づけられている。ラストシーンで大地に立ち上がるサンドラ・ブロックに涙が出た。ただ立ち上がるだけなのに。この物語を観たこともない映像で表現したキュアロン監督の手腕に素直に感動。

今年の10人
アルフォンソ・キュアロン「ゼロ・グラビティ」(2013)
市川準「トニー滝谷」(2004)
ウディ・アレン「ブルー・ジャスミン」(2013)
クリント・イーストウッド「ジャージー・ボーイズ」(2014)
呉美保「そこのみにて光輝く」(2013)
フランソワ・オゾン「危険なプロット」(2012)
ペドロ・アルモドバル「オール・アバウト・マイ・マザー」(1998)
ベン・スティーラー「LIFE!」(2013)
ラージクマール・ヒラニ「きっと、うまくいく」(2009)
吉田大八「紙の月」(2014)


■主演男優賞=ベン・スティラー「LIFE!」(2013)

冴えない顔したベン・スティラーが、物語が進むにつれてだんだん自信にあふれてくる。日頃の憂さを忘れさせるような広大な風景がスクリーンに広がる。ショーン・ペンに手招きされて大きな一歩を踏み出す主人公は、スクリーンのこっち側でその一歩を踏み出せずにいる僕らの心をムズムズさせてくれるのだ。彼の監督作「リアリティ・バイツ」から年齢を経て、ベン・スティラー自身の映画人としての成長を感じさせる秀作だった。

今年の10人
ウォルター・マッソー「サブウェイ・パニック」(1974)
ジェームズ・コーデン「ワン・チャンス」(2013)
ジェフリー・ラッシュ「鑑定士と顔のない依頼人」(2013)
ジョン・ホークス「セッションズ」(2012)
ジョン・ロイド・ヤング「ジャージーボーイズ」(2014)
ファブリス・ルキーニ「危険なプロット」(2012)
フォレスト・ウィティカー「大統領の執事の涙」(2013)
ベン・スティラー「LIFE!」(2013)
ホアキン・フェニックス「her/世界でひとつの彼女」(2013)
丸山明宏「黒蜥蜴」(1968)


■主演女優賞=宮沢りえ「紙の月」(2014)

今年は、舞台「海辺のカフカ」で宮沢りえの演技を生で観る幸せに恵まれた。舞台で高い評価を得ているりえちゃんだが、映画では「たそがれ清兵衛」や「父と暮らせば」「トニー滝谷」あたりが代表作。どこか玄人受けする地味な印象がある。吉田大八監督が角田光代の原作に挑んだ本作では、重いテーマの中に日々の生活にちょっと疲れた顔、年下彼氏とかわいくはしゃぐ顔、緊迫した場面のシリアスな顔と、今の彼女だからできる様々な表情を見せてくれる。間違いなく代表作となる名演。

今年の10人
池脇千鶴「そこのみにて光輝く」
エイミー・アダムス「アメリカン・ハッスル」
オドレイ・トトゥ「ムード・インディゴ うたかたの日々」
ケイト・ブランシェット「ブルー・ジャスミン」
サンドラ・ブロック「ゼロ・グラビティ」
シュリデヴィ「マダム・イン・ニューヨーク」
ニコール・キッドマン「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」
ハ・ジウォン「ハナ 奇跡の46日間」
ミア・ワシコウスカ「イノセント・ガーデン」
宮沢りえ「紙の月」


■助演男優賞=ハリソン・フォード「エンダーのゲーム」(2013)

助演ながらハリソン・フォードがSF映画に出てくるだけで映像がビシッと締まってしまうのは、僕らが「スターウォーズ」育ちだからだろうか。ゲームに卓越した才能をもつ少年少女をヴァーチャル兵士に育て上げる軍人を見事に演じておりました。最近脇役でいい仕事が多い。これもそのひとつ。

今年の10人
アンドレ・デュソリエ「美女と野獣」
オマール・シー「ムード・インディゴ うたかたの日々」
クリストファー・ウォーケン「ジャージー・ボーイズ」
ゲイリー・オールドマン「ロボコップ」
ダニエル・ブリュール「RUSH プライドと友情」
ティム・ロス「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」
ハリソン・フォード「エンダーのゲーム」
ベン・キングズレー「エンダーのゲーム」
リー・ヴァン・クリーフ「怒りの荒野」
ロバート・ショウ「サブウェイ・パニック」


■助演女優賞=エイミー・アダムス「her/世界でひとつの彼女」(2013)

人格を持つOSに恋をした主人公を見守る女友達役は、他の映画でキラキラと輝く彼女とは大きく違うやや冴えない役柄だ。しかし、主人公の本当の理解者であるこの映画の彼女は、自分にもこういう理解者がいてくれたらと思わせるに余りある素敵な存在。今年は「アメリカン・ハッスル」でもセクシーで気丈ないい女を演じてくれた。これからも応援したいハリウッド女優。

今年の10人
エイミー・アダムス「her/世界でひとつの彼女」
エマニュエル・セニエ「危険なプロット」
小林聡美「紙の月」
ジェニファー・ローレンス「アメリカン・ハッスル」
ジュリー・ウォルターズ「ワン・チャンス」
ジュリアン・ムーア「フライト・ゲーム」
ペネロペ・クルス「オール・アバウト・マイ・マザー」
ヘレン・ハント「セッションズ」
余貴美子「あなたへ」
ルーニー・マーラ「her/世界でひとつの彼女」


■音楽賞=ボブ・クリュー/ボブ・ゴーディオ「ジャージー・ボーイズ」(2014)

フォーシーズンズの栄光と挫折を描いたブロードウェイミュージカルをクリント・イーストウッドが監督するなんて誰が予想しただろう。キャストたちがオリジナルに負けない熱唱を聴かせてくれる。人生と歌が重なるクライマックスは何とも言えない余韻を残してくれる。今年も旧作のノミネートが多いこと。

今年の10人
井上尭之「太陽を盗んだ男」
エンニオ・モリコーネ「鑑定士と顔のない依頼人」
坂本龍一「トニー滝谷」
周防義和「舞妓はレディ」
ジム・オルーク「私の男」
バーナード・ハーマン「北北西に進路をとれ」
ボブ・クリュー/ボブ・ゴーディオ「ジャージー・ボーイズ」
宮川彬良/宮川泰「宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟」
村松崇継「思い出のマーニー」
リズ・オルトラーニ「怒りの荒野」


■主題歌賞=Step Out (Jose Gonzalez) 「LIFE!」(2013)

世間的には今年の映画主題歌と言えば「アナ雪」の"レリゴー"なんだろうけど、僕は人生の応援歌のようなこの映画のサウンドトラックにノックアウトされた。予告編でも使われたホセ・ゴンザレスの"Step Out"のわき上がるような高揚感。サントラは他にもデビッド・ボウイの"Space Oditty"(本編でも使われ方は最高だった!)やホール&オーツの"Maneater"の見事なカヴァーを収録。今年の主題歌賞は大激戦。

今年の10曲
BLUE (水樹奈々)「宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海」
Fine On The Outside (Priscilla Ahn)「思い出のマーニー」
Let It Go (Idina Menzel)「アナと雪の女王」
Live And Let Die (Paul McCartney & Wings)「アメリカン・ハッスル」
Space Oditty (David Bowie feat. Kristen Wiig)「LIFE!」
Step Out (Jose Gonzalez)「LIFE!」
Sweeter Than Fiction (Taylor Swift)「ワン・チャンス」
This Woman's Work (Kate Bush)「結婚の条件」
シネマタイズ(映画化)(特撮)「ヌイグルマーZ」
ヌイグルマーZ(特撮X中川翔子)「ヌイグルマーZ」


■ベストアクション映画=「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)

日本のライトノベルをハリウッド映画化したSF活劇。アクションがどうだこうだというよりも、見せ方の面白さこそがこの映画の魅力。トム・クルーズのSF作品はハズレがないよな、悔しいけど。

■ベストコメディ映画=「WOOD JOB!神去なあなあ日常」(2014)

矢口史靖監督は新作が常に楽しみな映画作家のひとり。今回はオリジナル脚本ではなく、三浦しをんの小説を映画化。都会人から見た山村のカルチャーギャップをおもしろおかしく描いている映画じゃないところが素晴らしい。

■ベスト恋愛映画=「たまこラブストーリー」(2014)

アニメだからってナメたらいかん。卒業を控えた高校生の恋心を描くだけではなく、親世代の心をもキュン!とさせる見事な作品。「だいすき」って何気ない言葉がこんなにも心に響くなんて。

■ベストミステリー/サスペンス=「イノセント・ガーデン」(2013)

パク・チャヌク監督のハリウッド進出第1作はおどろおどろしい雰囲気が極上のスリラー。思春期の不安定な心と異常心理を融合させた見事な展開。この映画は記憶として残らない。背筋に感覚として残るのだ。

■ベスト人間ドラマ=「あなたへ」(2012)

今年は昭和の名優が亡くなった年でもある。地元北九州ロケ作品でありながら、公開当時スルーしてしまっていた高倉健の遺作「あなたへ」。訳ありの男たちが織りなすエピソード。あと10年若かったらこの映画の良さはわからなかったと思うのだ。ありがとう、健さん。

ブログランキング・にほんブログ村へ blogram投票ボタン
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

tak's Movie Awards 2013

2014-01-01 | tak's Movie Awards
中学3年の年末に友達とノリで年間ベストを雑誌の真似して選んでから33年。いち映画ファンによる映画愛表現の手段として、今年もべスト作品を選出します。世間が一緒に盛り上がったり、アツくなったりする出来事が多かった印象の今年。ドラマから生まれた流行語や東京オリンピック招致、経済政策や改憲論、法案の賛否・・。物事に関心をなくしたらいろんな意味で終わりだな、というのを痛感した1年でもあったかな。そんな2013年に観たすべての映画から、私takが選んだ私的映画賞がこちら。国際映画賞の結果なんぞ関係なく、あくまでも個人としてグッときたかが基準です。(昨年の結果はこちら

★対象は2013年に観たすべての映画(劇場、DVD、VTR、地上波、BSすべて含む)。新作、旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に撮られた映画を対象とする。いわゆるVシネマ、OVAなどビデオリリース目的のものは含まない。

■作品賞=「タイピスト!/Populaire」(2012年・フランス)

これっ!こういう映画が観たかったんだよ!。エンドロールの後で思わず拍手。楽しくって、ロマンティックで、スリリングで、わくわくして、ドキドキして。そのまんまの勢いでシアターを出て、映画館スタッフに挨拶して帰っちゃうくらいの楽しい気持ちになれた(笑)。レトロな色彩、素敵な役者、クラシック映画への愛。この映画の言葉を借りるなら、ビジネスで映画をつくるのがハリウッド、愛でつくっちゃうのがフランスなのかも?

今年の10本
「かぐや姫の物語」(2013)
「風立ちぬ」(2013)
「人生、ここにあり」(2008)
「ジェーン・エア」(2011)
「タイピスト!」(2012)
「パリの恋人」(1957)
「マリー・アントワネットに別れを告げて」(2012)
「許されざる者」(2013)
「ル・アーブルの靴みがき」(2011)
「ローマでアモーレ」(2012)

■特別賞(ベストクラシック)=「パリの恋人」(1957)

「スクリーンビューティーズ」と題された全国規模の特集上映で、今年はヘプバーン、ドヌーブ主演作のデジタルリマスター版がわが街のスクリーンに(嬉)。恥ずかしながら「パリの恋人」は初鑑賞。くーっ!この世にはまだこんな素敵な映画があるんだ、と大感激の2時間。貴重な機会、ありがとうっ!思えば中学時代からオードリーの主要作はほぼ映画館で観ている。

■監督賞=宮崎駿 「風立ちぬ」(2013)

今年引退を表明した宮崎駿監督。アニメでしかなしえない見事な描写とファンタジー。戦前戦中の不安な時代を写し取った見事な描写。監督が込めた空への憧れ。他の誰にこんな作品がつくれるだろう。そう思いながらスクリーンに向かい、ユーミンのひこうき雲が流れた後。スクリーンのこちら側に残るのは、何とも言えない切なさ。僕は席をしばらく動けなかった。

今年の10人
アキ・カウリスマキ 「ルアーブルの靴みがき」(2011)
石井裕也 「舟を編む」(2013)
今村昌平 「復讐するは我にあり」(1979)
ウディ・アレン 「ローマでアモーレ」(2012)「人生万歳!」(2009)
クエンティン・タランティーノ 「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012)
スタンリー・ドーネン 「パリの恋人」(1957)
高畑勲 「かぐや姫の物語」(2013)
ベン・アフレック 「アルゴ」(2012)
宮崎駿 「風立ちぬ」(2013)
李相日(リ・サンイル) 「許されざる者」(2013)

■主演男優賞=テレンス・スタンプ 「アンコール!!」(2012)

愛する妻の死後、彼女が参加していた高齢者コーラスグループで歌うことになった頑固爺さんの一大決心。怪しい変な役が多かったテレンス・スタンプ(僕がそういうものしか観ていないせい?)が、嫌だけど愛すべき爺さんを好演。クライマックスで歌うのは、ビリー・ジョエルのLullabye (Goodnight My Angel)。それは不器用な男の子守歌。

今年の10人
アンソニー・ホプキンス「ヒッチコック」(2012)
アンドレ・ウィレム「ルアーブルの靴みがき」(2011)
ダニエル・ディ・ルイス「リンカーン」(2012)
テレンス・スタンプ「アンコール!」(2012)
トニー・レオン「グランド・マスター」(2013)
フレッド・アステア「パリの恋人」(1957)
マチュー・アマルリック「チキンとプラム」(2011)
松田龍平「舟を編む」(2013)
ラリー・デビッド「人生万歳!」(2009)
渡辺謙「許されざる者」(2013)


■主演女優賞=グレン・クローズ 「アルバート氏の人生」(2011)

今年は素敵なフランス女優さんやベテラン勢の貫禄の演技、体をはった熱演に出会えて素敵な年だった。2013年を語る上で選ぶならデボラ・フランソワ嬢かもしれないが、主演賞に選ぶ上ではやはりグレン・クローズ。舞台でも演じ続けた難役を自ら製作した映画でも演じきったその心意気には心底感動。あの頃「危険な情事」でスゲーと思ったけど、「アルバート氏の人生」は年齢を重ねた今だからできるいい仕事。

今年の10人
オードリー・ヘプバーン「ティファニーで朝食を」(1961)「パリの恋人」(1957)
カトリーヌ・フロ「大統領の料理人」(2012)
グレン・クローズ「アルバート氏の人生」(2011)
田畑智子「ふがいない僕は空を見た」(2012)
壇蜜「わたしの奴隷になりなさい」(2012)
デボラ・フランソワ「タイピスト!」(2012)
ヘレン・ミレン「ヒッチコック」(2012)
ミア・ワシコウスカ「ジェーン・エア」(2011)
宮崎あおい「舟を編む」(2013)
レア・セドゥ「マリー・アントワネットに別れを告げて」(2012)


■助演男優賞=クリストフ・ヴァルツ 「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012)

マカロニウエスタンへのオマージュに満ちあふれたタランティーノ監督作で、主人公ジャンゴがかすむような存在感と印象を残した名演。ウエスタンではよくある師弟関係、バディ的な男の友情をこの21世紀に再現。この役柄、個人的には「イングロリアス・バスターズ」よりも大好き。

今年の10人
アラン・リックマン「モネ・ゲーム」(2012)
板尾創路「私の奴隷になりなさい」(2012)
柄本明「許されざる者」(2013)
加藤剛「舟を編む」(2013)
ケビン・コスナー「マン・オブ・スティール」(2013)
クリストフ・ヴァルツ「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012)
トミー・リー・ジョーンズ「リンカーン」(2012)
三国連太郎「復讐するは我にあり」(1979)
モーガン・フリーマン「オブリビオン」(2013)
ロベルト・ベニーニ「ローマでアモーレ」(2012)


■助演女優賞=ジュディ・デンチ 「007スカイフォール」(2012) 「ジェーン・エア」(2011)
 
ダニエル・クレイグ扮するやんちゃなボンドを見守る上司Mは、大活劇たる「007」に人間ドラマの風格を与えた。「ジェーン・エア」の家政婦頭役は貫禄だった。それにしてもジュディ・デンチがコスチュームプレイ的時代劇に出演すると、"エルロイ大おばさま"(「キャンディ・キャンディ」)と呼びたくなるのは僕だけだろか?(笑)

今年の10人
アンドレア・ライズボロー「オブリビオン」(2013)
エレン・ペイジ「ローマでアモーレ」(2012)
カティ・オウテイネン「ルアーブルの靴みがき」(2011)
ゴルシフテ・ファラハニ 「チキンとプラム」(2011)
サリー・フィールド「リンカーン」(2012)
ジェマ・アータートン「アンコール!」(2012)
ジュディ・デンチ「007スカイフォール」(2012)「ジェーン・エア」(2011)
ジュリアン・ムーア「キャリー」(2013)
ダイアン・クルーガー「マリー・アントワネットに別れを告げて」(2012)
ペネロペ・クルス「ローマでアモーレ」(2012)


■音楽賞=ヘンリー・マンシーニ 「ティファニーで朝食を」(1961)

毎年旧作からばかりセレクトしている気がするが、それは本当に映像と共に旋律が心に残る映画音楽が近頃少ないからだ。今改めて観るとムーンリバーのメロディが、数多くのヴァリエーションを施されて映像を彩っている。それをお洒落に使いこなすブレイク・エドワーズ監督のセンスも素敵。

今年の10人
梶浦由記「魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」(2013)
ガブリエル・ヤレド「大統領の料理人」(2012)
ジョージ・ガーシュイン「パリの恋人」(1957)
ジョン・ウィリアムズ「リンカーン」(2012)
高見優「図書館戦争」(2013)
ダニー・エルフマン「ヒッチコック」(2012)
M83「オブリビオン」(2013)
久石譲「風立ちぬ」(2013)「かぐや姫の物語」(2013)
ヘンリー・マンシーニ「ティファニーで朝食を」(1961)
ロブ&エマニュエル・ドルランド「タイピスト!」(2012)


■主題歌賞=secret base 君がくれたもの / 本間芽衣子(茅野愛衣)、安城鳴子(戸松遥)、鶴見知利子(早見沙織) 「劇場版あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」(2013)

テレビシリーズのエンディングテーマだけに、厳密には映画主題歌とは言えないかも。でもこの曲が流れた瞬間に、息が詰まる程に胸が締め付けられたのは、この作品に対して感動している純粋な気持ちに他ならない。この作品に再会できた幸福な夏の終わり。

今年の10曲
Lay Your Head Down/Sinead O'Connor「アルバート氏の人生」(2011)
Moonriver「ティファニーで朝食を」(1961)
Oblivion (feat. Susanne Sundfor) / M83「オブリビオン」(2013)
Only The Young / Journey 「ビジョン・クエスト青春の賭け」(1985)
secret base 君がくれたもの / 本間芽衣子(茅野愛衣)、安城鳴子(戸松遥)、鶴見知利子(早見沙織) 「劇場版あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」(2013)
Skyfall / Adelle 「007 スカイフォール」(2012)
Unfinished Song / Celine Dion「アンコール!」(2012)
いのちの記憶/二階堂和美「かぐや姫の物語」(2013)
早春物語/原田知世「早春物語」(1985)
ひこうき雲/荒井由美「風立ちぬ」(2013)


■ベストアクション映画=「ラスト・スタンド」(2013)

アーノルド・シュワルツェネガー復帰主演第1作は、派手な見せ物CGやドンパチやるだけがハリウッド映画じゃないことを、静かに示してくれるアクション映画。最近のアメリカ映画にはないヒーロー像が嬉しい。正月映画だった「007/スカイフォール」と迷ったが、スカッとするアクション映画となればこっちに軍配。

■ベストコメディ映画=「ローマでアモーレ」(2012)

地中海の陽光を浴びたアレン先生、最近のおとなしめの作風から一転。小洒落たセックスコメディの快作をみせてくれました。恋の指南役アレック・ボールドウィン、小悪魔エレン・ペイジ、みーんな魅力的。

■ベスト恋愛映画=「ティファニーで朝食を」(1961)

奔放な少女が窮屈と思っていた愛を受け入れるラストシーンだからこそ恋愛映画として成立している。ほんとうはホリーはまたどっかに行っちゃうかもしれないのに。それでもホリー・ゴライトリーは永遠の憧れの女性。

■ベストミステリー/サスペンス=「アルゴ」(2012)

ド派手な映画にばかり出ている役者という印象しかなかったベン・アフレック。いやはや、おみそれしました。でっちあげ映画撮影による救出劇は、シンプルな題材なのに観ていてハラハラ。そして根底に流れるのは映画への愛情。

■ベスト人間ドラマ=「許されざる者」(2013)

クリント・イーストウッド監督・主演の名作を同じ年の日本に翻案した意欲作。オリジナル以上に説得力を増したストーリーは、僕らに真っ正面から問いかける。悪人って何なのか。何が許されることで、何が許されないことなのか。

ブログランキング・にほんブログ村へ blogram投票ボタン
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

tak's Movie Awards 2012

2013-01-02 | tak's Movie Awards
中学3年で映画ファンを公言して以来、年末にその年観た映画のベスト作品を選出している個人的映画賞。雑誌「ロードショー」や「スクリーン」の真似事を友達とやってた訳ですが、毎年選ぶことが定着してしまい、この年齢になるまで、映画ファンたる僕の年中行事となってます。今年でなんと32回目。日本アカデミー賞より権威はないが、同じくらいに歴史はある。映画に対する愛情の表現手段だと思っています(2011年の結果はこちら)。
年齢も年齢なんで鑑賞本数は減る一方。今年も見逃して悔しい思いをしました。しかし、その分選球眼がものを言う。2012年に僕が鑑賞した映画から、お気に入りを発表致します。

★対象は僕が2012年に観たすべての映画(劇場、DVD、VTR、地上波、BSすべて含む)。新作、旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に撮られた映画を対象とする。いわゆるVシネマ、OVAなどビデオリリース目的のものは含まない。

■作品賞=「ミッドナイト・イン・パリ/Midnight In Paris」(2011年・アメリカ)

様々な個性をもった秀作が多かった2012年。ハリウッド100周年の今年に往年クラシックへの敬意を示した仏映画「アーティスト」は素晴らしかったが、アメリカがこういう映画を撮れなかったことが実に悲しい。一方でスピルバーグが往年のハリウッド映画の良心を感じさせる「戦火の馬」を世に送り出してくれた。「永遠の僕たち」はノーマークだったが心に残る映画になりそう。
そして僕が今年ベストワンに選ぶのは、ウディ・アレン監督作「ミッドナイト・イン・パリ」。自分が好きなことを素直に好きと言えないもどかしさ、自分を抑えてしまう経験誰にでもあることだろう。結局いちばん近くにいてくれる人は、自分のそうした好みを理解してくれる人がいい。そんな男と女の出会いって、人生において本当に素敵なこと。ウディ・アレン作品は、いつも男と女のあり方をいろんな形で示してくれる。肩の力の抜けた楽しさと、名作「マンハッタン」を思わせるオープニングの美しさ。笑顔で映画館を出て行くことができる素敵な映画。ラストシーンの主人公のように、できればこの感動を理解してくれる誰かと観られればもっと幸せなんだが・・・。残念ながら、わが配偶者はウディ・アレン映画を好まない(泣)。

今年の10本
「アーティスト」(2011年・フランス)
「永遠の僕たち」(2011年・アメリカ)
「エリザベスタウン」(2005年・アメリカ)
「おおかみこどもの雨と雪」(2012年・日本)
「桐島、部活やめるってよ」(2012年・日本)
「ゴーストライター」(2010年・フランス=ドイツ=イギリス)
「最強のふたり」(2011年・フランス)
「戦火の馬」(2011年・アメリカ)
「劇場版魔法少女まどか☆マギカ 前編・後編」(2012年・日本)
「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年・アメリカ)

■特別賞(ベストアニメーション)=「劇場版魔法少女まどか☆マギカ」(2012年・日本)
今年は劇場版アニメに大作、秀作が多かった。見逃したものも多かったが、世間の評判を聞いて「これだけは!」と意気込んで映画館へ。前編&後編を一気に鑑賞するなんて初めてとった行動かも。


■監督賞=吉田大八 「桐島、部活やめるってよ」(2012年・日本)

「桐島~」は今年の日本映画ベストワン。こんなに胸を痛くする青春映画を僕は観たことがない。映画部のエピソードは原作にはなく監督が加えたものだが、加わったことで悩みながらも懸命に生きる僕らを肯定してくれる優しさが映画にあふれることになった。
今年の10人
ウディ・アレン 「ミッドナイト・イン・パリ」(2011)
ガス・ヴァン・サント 「永遠の僕たち」(2011)
キャメロン・クロウ 「エリザベスタウン」(2005)「幸せへのキセキ」(2011)
新藤兼人 「北斎漫画」(1981)
スティーブン・スピルバーグ 「戦火の馬」(2011)
デビッド・リーン 「戦場にかける橋」(1957)
細田守 「おおかみこどもの雨と雪」(2012)
ミシェル・アザナヴィシアス 「アーティスト」(2011)
吉田大八 「桐島、部活やめるってよ」(2012)
ルカ・グァダニーノ 「ミラノ、愛に生きる」(2009)

■主演男優賞=フランソワ・クリュゼ & オマール・シー 「最強のふたり」(2011年・フランス)

東京国際映画祭と同じダブル受賞にした。だって二人があっての映画だもの。人生がクロスすることがなさそうな二人の偶然の出会いと絆に感動。エンドクレジットで席を立つ人がいなかったのも忘れられない。それはこの二人の演技あってこそ。
今年の10人
アレック・ギネス 「戦場にかける橋」(1957)
オーウェン・ウィルソン 「ミッドナイト・イン・パリ」(2011)
オーランド・ブルーム 「エリザベスタウン」(2005)
オマール・シー 「最強のふたり」(2011)
クラーク・ゲーブル 「深く静かに潜航せよ」(1958)
ジャン・デュジャルダン 「アーティスト」(2011)
スティーブ・マックイーン 「ゲッタウェイ」(1972)
フランソワ・クリュゼ 「最強のふたり」(2011)
マット・デイモン 「幸せへのキセキ」(2011)
レオナルド・ディカプリオ 「J・エドガー」(2011)

■主演女優賞=ミア・ワシコウスカ 「永遠の僕たち」(2011年・アメリカ)

ノーマークだった映画に感激することが毎年何本かある。今年の筆頭は何と言っても「永遠の僕たち」だ。死を迎えることを受け入れて、死に取り憑かれた主人公に寄り添うヒロイン。しかしそこには悲壮感もお涙ちょうだいな過剰な演技もない。「アリス・イン・ワンダーランド」のクールな印象とは違った等身大のヒロインを演じて好印象。
今年の10人
カトリーナ・スパーク 「女性上位時代」(1968)
キルスティン・ダンスト 「エリザベスタウン」(2005)
沢尻エリカ 「ヘルター・スケルター」(2011)
ジェニファー・ティリー 「バウンド」(1996)
ソフィー・マルソー 「アンナ・カレーニナ」(1997)
ティルダ・スウィントン 「ミラノ、愛に生きる」(2009)
ニコール・キッドマン 「ラビット・ホール」(2010)
ペネロペ・クルス 「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(2005)
ベレニス・ベジョ 「アーティスト」(2011)
ミア・ワシコウスカ 「永遠の僕たち」(2011)

■助演男優賞=ジェームズ・クロムウェル 「アーティスト」(2011年・フランス)

「アーティスト」は芸達者な役者に支えられた映画。サイレントだけにやや過剰な演技が要求されるものだろうが、主人公の運転手を演じた名優クロムウェルの存在は映画をビシッと引き締める。犬も主役二人を引き立てたけれど、この人も忘れてはいけない。
今年の10人
アーミー・ハマー 「J・エドガー」(2011)
アーロン・エッカート 「ラム・ダイアリー」(2011)「ラビットホール」(2010)
アレック・ボールドウィン 「ロック・オブ・エイジズ」(2012)
加瀬亮 「永遠の僕たち」(2011)
ジェームズ・クロムウェル 「アーティスト」(2011)
トーマス・ヘイデン・チャーチ 「幸せへのキセキ」(2011)
トム・クルーズ 「ロック・オブ・エイジズ」(2012)
早川雪舟 「戦場にかける橋」(1957)
マイケル・ファスベンダー 「プロメテウス」(2012)
ランベール・ウィルソン 「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(2005)「恋するシャンソン」(1997)

■助演女優賞=エル・ファニング 「幸せへのキセキ」(2011年・アメリカ)

ゼダ・ジョーンズの姉御に助演賞!と思ったけれど、いざ選出する年末になって、銀幕の片隅でほんとうに心に残った笑顔を放った女優さん・・・と考えたら、エル・ファニングを選ばずにいられなかった。窓越しの告白シーンはキャメロン・クロウ監督らしい素敵な場面。
今年の10人
エル・ファニング 「幸せへのキセキ」(2011)
キム・キャトラル 「ゴーストライター」(2009)
キャサリン・ゼダ・ジョーンズ 「ロック・オブ・エイジズ」(2012)
キャシー・ベイツ 「ミッドナイト・イン・パリ」(2011)
ジェーン・バーキン 「恋するシャンソン」(1997)
ジーナ・ガーション 「バウンド」(1996)
スカーレット・ヨハンソン 「幸せへのキセキ」(2011)
田中裕子 「北斎漫画」(1981)
ナオミ・ワッツ 「J・エドガー」(2011)
マリオン・コティヤール 「ミッドナイト・イン・パリ」(2011)

■音楽賞=斉藤和義 「ゴールデンスランバー」(2009年・日本)

旧作から選出。公開当時映画館で"幸せな朝食、退屈な夕食"を聴いてシビれたのを覚えている。あの曲を初めて聴いたので歌詞をメモして帰宅したっけ。今年になって本編を観てカッコよさにまたシビれた。
今年の10人
アルマンド・トロバヨーリ 「女性上位時代」(1968)
梶浦由記 「劇場版魔法少女まどか☆マギカ 前編・後編」(2012)
サー・ゲオルグ・ショルティ 「アンナ・カレーニナ」(1997)
斉藤和義 「ゴールデンスランバー」(2009)
ナンシー・ウィルソン 「エリザベスタウン」(2005)
林光 「北斎漫画」(1981)
ブリュノ・フォンティーヌ 「恋するシャンソン」(1997)
ヨンシー 「幸せへのキセキ」(2011)
ルドヴィック・ブルース 「アーティスト」(2011)
ルドヴィコ・エイナウディ 「最強のふたり」(2011)

■主題歌賞=Don't Stop Believin'/Diego Boneta, Julianne Hough, Mary J. Blige, Tom Cruise, Alec Baldwin, Catherine Zeta-Jones and Russell Brand 「ロック・オブ・エイジズ」(2012年・アメリカ)

80年代育ちにはたまらない映画だった。どっかの映画評論家が「ゴミのような映画」とコメントしたらしいが、そんなん知るかっ。ラストを飾るDon't Stop Believin'に、ジャーニーファンの僕は涙せずにいられなかったよ。
♪Don't Stop Believin'/Diego Bonetaほか「ロック・オブ・エイジズ」(2012)
♪Down To Earth/Peter Gabriel 「ウォーリー」(2008)
♪Mr. Robot/五十嵐信次郎とシルバー人材センター 「ロボジー」(2011)
♪September/Earth, Wind, & Fire 「最強のふたり」(2011)
♪Two Of Us/The Beatles 「永遠の僕たち」(2011)
♪幸福な朝食、退屈な夕食/斉藤和義 「ゴールデンスランバー」(2009)
♪なごり雪/イルカ 「チルソクの夏」(2003)
♪人はそれを情熱と呼ぶ/サンボマスター 「恋の門」(2004)
♪陽はまた昇る/高橋優 「桐島、部活やめるってよ」(2012)
♪蛹化(むし)の女/戸川純 「ヘルタースケルター」(2011)

■ベストアクション映画=「エクスペンダブルズ」(2010年・アメリカ)

年末までに「007/スカイフォール」が間に合わなかった(泣)。んでテレビで観た「エクスペンダブルズ」を選出。これも80年代育ちにはたまらない映画。スタローンかっこよすぎ。

■ベスト恋愛映画=「エリザベスタウン」(2005年・アメリカ)

キャメロン・クロウ監督作品は大好きなのだが、これも素敵な素敵な映画。キルスティン・ダンスト主演作、僕にはハズレがないようだ。夜通しの長電話、手作りのガイドマップとBGM。そして赤い帽子の彼女との再会。きゃーっ!こういう映画でキャアキャア言えるオレ、まだまだイケてるはず(苦笑)。

■ベストミステリー/サスペンス=「バウンド」(1996年・アメリカ)

「マトリックス」を生んだウォシャウスキー兄弟の出世作。ハードボイルドな雰囲気、密室劇の面白さ。そして主演女優二人の色香に酔いしれる大人のサスペンス映画。

■ベスト人間ドラマ=「戦場にかける橋」(1957年・アメリカ)

これまで観る機会がなかったのが恥ずかしい・・・いやはや不勉強でした。登場人物それぞれの思いが交錯するクライマックスの緊張感。こういう映画、今はないよなぁ。

■ベストコメディ=「ロボジー」(2011年・日本)

わが街北九州ロケ映画、今年もいろいろありました(いろいろ見逃したりもしましたが・汗)。矢口史靖監督らしい楽しい楽しい映画でしたね。

ブログランキング・にほんブログ村へ blogram投票ボタン
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

tak's Movie Awards 2011

2012-01-01 | tak's Movie Awards
日本アカデミー賞よりも権威はないが、同じくらいに歴史はあるわが映画賞tak's Movie Awards。そもそもは中学3年のときに、 友達と「ロードショー」や「スクリーン」の真似して始めたもの。習慣とは恐ろしいもので何と31年目になりました。 「歌は世につれ」とよく言うが、この記録は少なくとも僕の自分史。その頃に考えていたこと、その年に仲良くしていた人々、映画を語り合っていた人々、そんな思い出がそれぞれの年にある。

それでも毎年選んでて、いつまでやってるんだろう・・・とつくづくバカだと思う。しかしこれも映画への愛情表現。 映画賞なんて、批評家の年中行事と皮肉る人もいますけど、映画を観ることで感じるさまざまな愛に対する感謝祭だと思っております。鑑賞本数は減少の一途ですがその分自分の選球眼が試されているような気も する。さて、2011年に僕が鑑賞した映画から、今年のお気に入りを発表しまする。

★対象は2011年に観賞したすべての映画(映画館・VTR・DVD・BS・地上波全て含む)。新作・旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に製作された映画を対象とする。いわゆるVシネ・OVAなどビデオリリース目的の作品は含まない。

■作品賞=「英国王のスピーチ」(2010年・イギリス=オーストラリア)

この地味なイギリス映画が今年のオスカーを獲得した。この映画には人が忘れてはいけないことが数多く刻み込まれている。 主人公の英国王は、映画史上初めて一人の懸命に生きている人間として描かれる。 決して威厳を示したり、家来の首をはねたり、国家を力強く率いたりしない。コンプレックスと戦う一人の男だ。また、吃音矯正の専門家ライオネルは、資格や権威を持たぬが 、揺るぎない信念を持つ者として描かれる。 ジョージ6世から感じる「あきらめないこと」の大切さは、今年様々な事件やスポーツを通じて僕らは目にしてきた。そして、これからも続く震災復興支援。ライオネルのように、勇気づけながら長く支え続ける心。僕らはそれを持てるようにならねば。

ベスト10
「あぜ道のダンディ」(2010年・日本)
「英国王のスピーチ」(2011年・イギリス=オーストラリア)
「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」(2011年・アメリカ)
「しあわせの雨傘」(2010年・フランス)
「スーパーエイト」(2011年・アメリカ)
「セラフィーヌの庭」(2008年・フランス=ベルギー=ドイツ)
「ソーシャルネットワーク」(2010年・アメリカ)
「瞳の奥の秘密」(2009年・スペイン=アルゼンチン)
「ぼくのエリ 200歳の少女」(2008年・スウェーデン)
「マネーボール」(2011年・アメリカ)

■特別賞(オリジナル&リメイク)=
「ぼくのエリ 200歳の少女」(2008年・スウェーデン)
「モールス」(2010年・アメリカ)

 
2011年最初に映画館で観たのは「ぼくのエリ 200歳の少女」。ホラーでありファンタジーであり、主人公二人が抱える孤独感、北欧の冷たい空気感が伝わってくるような映像に心揺さぶられた。何とも言えない余韻を残すラストシーン。 単なるエンターテイメントとは違う、それぞれの登場人物の寂しさが突き刺さるような映画。新年早々すごいの観ちゃった・・・と思い、周囲の人々に勧めていた。まぁ本編の内容からすると 邦題に問題はあるけれど、それはこの際置いておこう。
そのハリウッドリメイクが「モールス」。「トワイライト」の後だったし、きっとお気楽なバンパイヤ映画にあるかと思っていた。ところが、このリメイクはオリジナルの精神を大切にした”わかってる”人の手によるリメイク。 マット・リーヴス監督はオリジナルのよき理解者だった。原題にあるように、まさに"正しき者"だったわけだろう。 どちらもよくできた映画でそれぞれの良さや表現の工夫がある。いずれにせよ、オリジナルがいろんな意味で魅力的な作品だったということだ。

■監督賞=フアン・ホセ・カンパネラ「瞳の奥の秘密」(2009年・スペイン=アルゼンチン)

昨年から世間の評判を聞き、「観たいー!」と思い続けて数ヶ月。北九州ではやっと5月にありつけた。冒頭の駅のホームを見つめる瞳のアップからぐいぐい引き込まれた。あっという間の上映時間。なんという完成度!。ミステリーの要素、サイコサスペンスの要素、そして何よりも愛の映画。様々な色の糸が紡ぎ合う上質な織物の様な映画。気の利いた台詞や小道具、脚本の巧さ。それを紡いだのはこの監督の力量なんだろう。暴力描写や事件の結末は確かに後味が悪いが、それを補って余りある見事なラストシーン。
今年の10人
J・J・エイブラムス  「スーパーエイト」(2011年・アメリカ)
ダーレン・アノロフスキー 「ブラック・スワン」(2010年・アメリカ)
ダンカン・ジョーンズ 「月に囚われた男」(2010年・イギリス)
デビッド・フィンチャー 「ソーシャル・ネットワーク」(2010年・アメリカ)
トーマス・アルフレッドソン 「ぼくのエリ 200歳の少女」(2008年・スウェーデン)
トム・フーパー 「英国王のスピーチ」(2011年・イギリス=オーストラリア)
根岸吉太郎 「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」(2009年・日本)
フランソワ・オゾン 「しあわせの雨傘」(2010年・フランス)
フアン・ホセ・カンパネラ 「瞳の奥の秘密」(2009年・スペイン=アルゼンチン)
マルタン・プロヴォドス 「セラフィーヌの庭」(2008年・フランス=ベルギー=ドイツ)

■主演男優賞=ブラッド・ピット「マネーボール」(2011年・アメリカ)

成功する自信があるわけじゃない。自分自身も失敗してきた人間。だが信じていることを貫くことは、人生において大切なこと。それを理解してくれる人は少ないかもしれないが、きっといる。孤軍奮闘が伝説を生み出す物語を、自らプロデュースし、その役柄を演じきって僕らに示してくれたブラッド・ピット。ますます師匠ロバート・レッドフォードに似てきた気がする。
今年の10人
小出恵介 「風が強く吹いている」(2009年・日本)
高良健吾 「おにいちゃんのハナビ」(2010年・日本)
コリン・ファース 「英国王のスピーチ」(2011年・イギリス=オーストラリア)
サム・ロックウェル 「月に囚われた男」(2010年・イギリス)
ジェシー・アイゼンバーグ 「ソーシャル・ネットワーク」(2010年・アメリカ)
ジェフ・ブリッジス 「トゥルー・グリット」(2010年・アメリカ)
ハンフリー・ボガート 「脱出」(1944年・アメリカ)
光石研 「あぜ道のダンディ」(2010年・日本)
ブラッド・ピット 「マネーボール」(2011年・アメリカ)
リカルド・ダリン 「瞳の奥の秘密」(2009年・スペイン=アルゼンチン)

■主演女優賞=ヨランド・モロー「セラフィーヌの庭」(2008年・フランス=ベルギー=ドイツ)

家政婦として働くセラフィーヌ・ルイは、神のお告げを受けて絵を描き始める。偶然の出会いが彼女の運命を変えていく。ジャン・ピエール・ジュネ作品など、バイプレイヤーとして印象的な存在であるヨランド・モロー。台詞だけでなく全身でセラフィーヌの精神そのものを演ずる。この映画の感動をシェアして誰かに鑑賞してもらうことは、美術館で画家の偉業を知ってもらうことに等しい。
今年の10人
エレン・ペイジ 「ローラーガールズ・ダイアリー」(2009年・アメリカ)
カトリーヌ・ドヌーブ 「しあわせの雨傘」(2010年・フランス)
クリスティン・スコット・トーマス 「ずっとあなたを愛してる」(2008年・フランス)
クロエ・グレース・モレッツ 「モールス」(2010年・アメリカ)
ジェーン・シーモア 「ある日どこかで」(1980年・アメリカ)
ジェーン・フォンダ 「獲物の分け前」(1966年・フランス)
ジャンヌ・モロー 「死刑台のエレベーター」(1957年・フランス)
ナタリー・ポートマン 「ブラック・スワン」(2010年・アメリカ)
松たか子 「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」(2009年・日本)
ヨランド・モロー 「セラフィーヌの庭」(2008年・フランス=ベルギー=ドイツ)

■助演男優賞=ジェフリー・ラッシュ「英国王のスピーチ」(2011年・イギリス=オーストラリア)

人に自信をつけさせることって難しい。しかし、ジェフリー・ラッシュ演ずるライオネルは相手を勇気づけることを知っている。それは専門的な知識・技術というよりも人間として小さな自信を積み重ねさせていけるかなのだ。国王のスピーチを黙ってうなづきながら聴くライオネル。人を導くとはどういうことか、それを僕らに示してくれる。ほんとうにこの映画は役者のいい仕事に支えられている。
今年の10人
ヴァンサン・カッセル 「ブラック・スワン」(2010年・アメリカ)
ジェフリー・ラッシュ 「英国王のスピーチ」(2011年・イギリス=オーストラリア)
ジョナ・ヒル 「マネーボール」(2011年・アメリカ)
ジョン・リスゴウ 「猿の惑星 創世記」(2011年・アメリカ)
チュ・ジフン 「キッチン~3人のレシピ」(2009年・韓国)
ティモシー・スポール 「デザート・フラワー」(2009年・ドイツ=オーストリア=フランス)
テレンス・スタンプ 「アジャストメント」(2011年・アメリカ)
トム・ウィルキンソン 「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(2011年・アメリカ)
ハリソン・フォード 「カウボーイ&エイリアン」(2011年・アメリカ)
マット・デイモン 「トゥルー・グリット」(2010年・アメリカ)

■助演女優賞=ローレン・バコール 「脱出」(1944年・アメリカ)
この映画に出演した当時、ローレン・バコールは20歳。共演したハンフリー・ボガード(当時45歳!)に夢中になり結婚し、ボギーが死ぬまで一緒だった・・・というのは映画史上有名なお話。実際に「脱出」のバコールは、妙な落ち着きがあって、それでいて妖しげだし、世話女房だし、それでいて歌わせたら上手いし。「私に用があったら口笛を吹いてね」の台詞もかっこいい。 実生活では、夫ボギーの葬儀のとき彼に口笛を吹いたというエピソードもあるとか。どこまでかっこいいんだ!
今年の10人
エルゼ・ジルベルスタイン 「ずっとあなたを愛してる」(2008年・フランス)
ケイト・ブランシェット 「ハンナ」(2011年・アメリカ)
ジュリエット・ルイス 「ローラーガールズ・ダイアリー」(2009年・アメリカ)
ジョアン・チェン 「小さな村の小さなダンサー」(2009年・オーストラリア)
バーバラ・ハーシー 「ブラック・スワン」(2010年・アメリカ)
広末涼子 「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」(2009年・日本)
ヘイリー・スタインフェルド 「トゥルー・グリット」(2010年・アメリカ)
ヘレナ・ボナム・カーター 「英国王のスピーチ」(2011年・イギリス=オーストラリア)
ミラ・クニス 「ブラック・スワン」(2010年・アメリカ)
ローレン・バコール 「脱出」(1944年・アメリカ)

■音楽賞=ジョン・バリー「ある日どこかで」(1980年・アメリカ)

3年連続旧作に音楽賞・・・それだけ今の劇伴は、映画音楽として心に残るようなものが少ないということなのかな。先頃他界したジョン・バリーによるこの映画のメロディーは本当に心に残る。本編で使われているラフマニノフも印象的。エンドクレジットが終わる頃には、ジョン・バリーのメインタイトルはラフマニノフに劣らない記憶を残してくれる。これこそ映画音楽だろう。
今年の10人
カーター・バーウェル 「トゥルー・グリット」(2010年・アメリカ)
川井憲次 「ワイルド7」(2011年・日本)
クリント・マンセル 「ブラック・スワン」(2010年・アメリカ)
ケミカル・ブラザース 「ハンナ」(2011年・アメリカ)
ジョン・バリー 「ある日どこかで」(1980年・アメリカ)
武部聡志 「コクリコ坂から」(2011年・日本)
フィリップ・ロンビ 「しあわせの雨傘」(2010年・フランス)
マイケル・ジアッキノ 「モールス」(2010年・アメリカ)
マイケル・ジアッキノ 「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(2011年・アメリカ)
マイルス・デイビス 「死刑台のエレベーター」(1957年・フランス)

■主題歌賞=♪Singing(放課後ティータイム)「けいおん!」(2011年・日本)

今に始まったことではないが、アニメーションが大好きだ。ここ2、3年は京都アニメーションやマッドハウスの作品群に夢中になってた。特に「けいおん!」は社会現象とも言える大人気作。ついに劇場版まで製作されてしまった。バンド経験者だからこそグッとくる部分もあり、高校時代を思い返してしまう部分もあり、それに適度な”萌え”が実にバランスよし。ここまで一緒にバカやったり、一緒に物事に打ち込んでくれた友達っていただろうか・・・。何でもない日常を共にする人がいることが、とっても幸せなことなんだ。そんな気持ちがこの劇場版EDテーマには込められている 。
今年の10曲(挿入歌含む)
Baby You're A Richman (The Beatles)  「ソーシャル・ネットワーク」(2010年・アメリカ)
Chase (L'Arc~En~Ciel) 「ワイルド7」(2011年・日本)
My Sharona (The Knack) 「スーパーエイト」(2011年・アメリカ)
Singing (放課後ティータイム) 「けいおん!」(2011年・日本)
Time (Culture Club) 「モールス」(2010年・アメリカ)
Twist And Shout (The Beatles)  「フェリスはある朝突然に」(1986年・アメリカ)
Unmei♪wa♪Endless (放課後ティータイム) 「けいおん!」(2011年・日本)
Viens Faire Un Tour Sous La Pluie  (Il Etait Une Fois) 「しあわせの雨傘」(2010年・フランス)
愛を止めないで (倖田來未) 「セカンドバージン」(2011年・日本)
さよならの夏~コクリコ坂から (手嶌葵) 「コクリコ坂から」(2011年・日本)

▲ベスト活劇=「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(2011年・アメリカ)

トム・クルーズ嫌いを宣言しているのにまた映画館で観てしまった・・・。正直なところ、トム一人がええかっこしいだった前作よりも、チーム各員の活躍が観られて僕は好き。高所恐怖症の僕には心臓に悪い映画でした・・・はい。理屈抜きに楽しむべし。

▲ベスト恋愛映画=「キッチン~3人のレシピ」(2009年・韓国)

昨年の「四月の雪」に続き2年連続韓国映画。ドロドロしそうな三角関係を題材にしながらも、洗練された演出ですっきりとみせているのがナイス。 人を好きになることって、やっぱり抑えられない感情。それにしてもチュ・ジフン!男性観客も彼には勝てねぇ、と思うこと必至のかっこよさ。

▲ベストコメディ映画=「しあわせの雨傘」(2010年・フランス)

作風が変幻自在のフランソワ・オゾン監督。 置物のように扱われてきた社長夫人が、夫不在となった会社に関わったことから運命の扉が大きく開かれていく。家族それぞれが自分の価値観を主張する人間模様。そのすったもんだが面白い。笑わせてくれながらも、美しき人生について考えさせる秀作。

▲ベストミステリー/サスペンス=「瞳の奥の秘密」(2009年・ スペイン=アルゼンチン)

僕らが目にするのは事件の真相、司法の現場、出来事の裏に隠された現実、そして年月を越えて心に秘められた思い。すべてが明らかになるラストシーンまで、気が抜けない完成度の高い傑作。いつも開け放たれていた扉が閉まるラストで大感激。

▲ベスト人間ドラマ=「ソーシャル・ネットワーク」(2010年・アメリカ)

ネット上のコミュニケーションの場であるSNSという最先端の素材を取り上げながら、実は現実世界のソーシャル・ネットワークを描いた意欲作。人間関係が崩壊していく様は「市民ケーン」のように古典的にみえる。エンドクレジットで使われたビートルズの選曲は絶妙なセンス。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

tak's Movie Awards 2010

2011-01-01 | tak's Movie Awards
日本アカデミー賞よりも権威はないが、同じくらいに歴史はあるわが映画賞tak's Movie Awards。 中学3年のときに、「ロードショー」や「スクリーン」の真似して始めたものが、もう30年目になっちまった。つくづく僕もバカだと思うのだが、これも映画への愛情表現。作り手がその映画に込めた愛情、観客が銀幕に向けた愛情、過去の作品へのオマージュも作り手の愛情。映画を観ることで様々なことに気づかされたり、知ったり。そして知識となったことにまた愛を感じたり。この年齢になると観る映画がかなり限定されてくるだけに、選ぶ努力をせねばならないというのも現実。 そんな中鑑賞した映画から、今年のお気に入りを発表しまする。

★対象は2010年に観賞したすべての映画(映画館・VTR・DVD・BS・地上波全て含む)。新作・旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に製作された映画を対象とする。いわゆるVシネ・OVAなどビデオリリース目的の作品は含まない。

■作品賞=「(500)日のサマー」(2009年・アメリカ)

2010年 最初に行った映画館でこの映画の予告編を観た。ビビッ!ときた。友達が恋人に発展する展開の映画は昔から大好き(例えば「恋人たちの予感」とか)だったけど、この映画には斬新なアイディアと映像があるとともに普遍的な恋愛の確信がある。「すべては偶然の産物。運命と感じるかは自分次第。」予告編でビビッときたことも、大好きなホール&オーツが銀幕から流れたことも、この映画を一緒に楽しんでくれた友達と出逢えたことも、ましてや千円で観られる映画館で上映されたこともすべては偶然。それらを嬉しく、大切に思えるのは、すべて自分自身の心の問題。二つの画面で恋愛の理想と現実を見せられた場面には、これまでの自分の心を見透かされたようで胸があつくなっちまった。「これは恋愛映画ではない」と前置きしている映画でありながら、ここまで恋愛を深く掘り下げた映画はこれまでなかった。

以前に知り合いの元校長先生に「映画をたくさん観る人は恋愛ができる人です。takさんもその一人。」と言われたことがある。(毎年のように言ってる気がするが)こういう映画を観てドキドキできる自分を発見することは、もしかしたらそんなエナジーを補給することなのかもしれないね。

ベスト10
「インセプション」 (クリストファー・ノーラン/2010年・アメリカ)
「インビクタス 負けざる者たち」 (クリント・イーストウッド/2009年・アメリカ)
「カティンの森」 (アンジェイ・ワイダ/2007年・ポーランド)
「(500)日のサマー」 (マーク・ウェブ/2009年・アメリカ)
「17歳の肖像」 (ロネ・シェルフィグ/2007年・イギリス)
「ジュリー&ジュリア」 (ノーラ・エフロン/2009年・アメリカ)
「チェンジリング」 (クリント・イーストウッド/2008年・アメリカ)
「ハートロッカー」 (キャサリン・ビグロー/2009年・アメリカ)
「抱擁のかけら」 (ペドロ・アルモドバル/2008年・スペイン)
「ロシュフォールの恋人たち」 (ジャック・ドゥミ/1966年・フランス=アメリカ)

■特別賞(アニメーション作品賞)=「涼宮ハルヒの消失」(2010年・日本)

ここ数年ほどアニメやコミックに夢中になった時期はない。 職場の何事にもお詳しい同僚やちょいヲタな若い子たちと接していた環境が理由のひとつ。中でも「涼宮ハルヒの憂鬱」にはとにかくハマった。萌え?・・・それも理由のひとつだろうけど(汗)、僕にとっては現実を超越した設定が、高校時代に夢中になった「うる星やつら ビューティフルドリーマー」を思い起こさせたことが何よりも大きい (詳しくはこちら)。ライトノベルはほぼ読破したし、「ハルヒ」と名がつけばとりあえず興味をもってしまう・・・ダメな40代男子になってしまった。いやいや、好きなことを好きと言えないことはよくないことだ !。劇場版単独で「ハルヒ」の世界を理解するのは困難だろう。ハルヒ初心者には、せめてテレビ版の七夕エピソードだけは見ておくことをおすすめするが、それでもきっと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のようなドキドキ感を得られるのではなかろうか。もちろん映画はファンの期待を裏切らず、原作の行間からにじみ出てくる感情を見事に映像化してくれている。原作の「消失編」が大好きな僕は、不覚にも3回泣いてしまった(「グリーンマイル」を観たスピルバーグのコメントみたいだ・笑)。京アニ、グッジョブ!。

■監督賞=クリント・イーストウッド
「インビクタス 負けざる者たち」(2009) 「グラン・トリノ」(2008) 「チェンジリング」(2008)


「今、最も長生きして欲しい映画人は誰?」と尋ねられたら、僕は迷わず「クリント・イーストウッド」と答える。 繰り返し書いてきたことだが、打ち上げ花火のような見世物だらけの現代ハリウッドで、きちんと人間を見つめた映画を撮ることができる監督。しかも国境や時代を超えて、世界に語るべき物語があるうちは死ねない!とばかりに次々と秀作を生み出していくその意欲。そして、僕らはイーストウッド監督のメッセージをきちんと受け継いでいける映画ファンでありたいと思っている。

今年の10人
アンジェイ・ワイダ 「カティンの森」(2007年)
神山健治 「東のエデン 劇場版」(2009年)
キャサリン・ビグロー 「ハート・ロッカー」(2009年)
クリストファー・ノーラン 「インセプション」(2010年)
クリント・イーストウッド 「インビクタス 負けざる者たち」(2009年)「グラン・トリノ」(2008年)
ジム・ジャームッシュ 「リミット・オブ・コントロール」(2009年)
ジャック・ドゥミ 「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
中島哲也 「告白」(2010年)
マーク・ウェブ 「(500)日のサマー」(2009年)
ニキータ・ミハルコフ 「12人の怒れる男」(2007年)

■主演男優賞=モーガン・フリーマン「インビクタス 負けざる者たち」(2009年・アメリカ)

社会科の教科書でネルソン・マンデラ氏や南アフリカのことを知っていても、マンデラ氏がいかに祖国を愛していたか、その為に人種間の対立を深めてはいけないと考えていたことを、僕ら日本人は知らない。イーストウッド監督は、そのエピソードを単なる美談に終わらせない。人種や国境を越えた敬意を込めて人を賛美している。そんな監督の気持ちを、銀幕で表現したのはこの人の演技あってこそ。この映画を、モーガン・フリーマンが演ずるマンデラを多くの人に観て欲しい。

今年の10人
クリント・イーストウッド 「グラン・トリノ」(2008年)
ジェレミー・レナー 「ハート・ロッカー」(2009年)
ジョセフ・ゴードン・レヴィット 「(500)日のサマー」(2009年)
ジョニー・デップ 「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)
スティーブ・マックィーン 「ブリット」(1968年)
ダニエル・ディ・ルイス 「NINE」(2009年)
モーガン・フリーマン 「インビクタス 負けざる者たち」(2009年)
ラッセル・クロウ 「3時10分、決断のとき」(2007年)
リー・マーヴィン 「特攻大作戦」(1967年)
レオナルド・ディカプリオ 「インセプション」(2010年)

■主演女優賞=ペネロペ・クルス「抱擁のかけら」(2008年・スペイン)

今年の女優賞はほんっとに悩まされた。アンジェリーナ・ジョリーの絶叫"Did you kill my boy?"は今でも耳に残っているし、バーグマンが年下男性との別れに"I'm old!"と叫ぶのも涙した(NHKドラマ「セカンドバージン」にハマっていたのもその理由か?)。松たか子の淡々とした怖さ、愛を貫くマルティナ・ゲデック、ひっくり返りそうな裏声のメリル・ストリープ、ケイト・ウィンスレットの熱演・・・誰を選んでもよさそうだし。でもそこから選べといわれたらペネロペ!。「抱擁のかけら」の彼女は、ほんとうに輝いている。ファムファタル、わがまま女、恋に燃える女。ペネロペ・クルスの実力と魅力に心から浸れる映画。

今年の10人
アンジェリーナ・ジョリー 「チェンジリング」(2008年)
イングリッド・バーグマン 「さよならをもう一度」(1961年)
カトリーヌ・ドヌーブ 「インドシナ」(1992年)
キャリー・マリガン 「17歳の肖像」(2007年)
ケイト・ウィンスレット 「愛を読むひと」(2008年)
ソン・イェジン 「四月の雪」(2005年)
ペネロペ・クルス 「抱擁のかけら」(2008年)
松たか子 「告白」(2009年)
マルティナ・ゲデック 「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(2008年)
メリル・ストリープ 「ジュリー&ジュリア」(2009年)

■助演男優賞=スタンリー・トゥッチ「ジュリー&ジュリア」(2009年・アメリカ)

成功を収めた人の陰には必ずよき理解者とよき協力者がいる。料理の伝道師として成功し人気者になった主人公には、赤狩りという時代の荒波にもまれ続けた外交官の夫の支えがあった。優しく妻を見守る視線、一緒に感動を共有すること、励まし続けること。女性の成功物語である映画で夫婦のあり方を考えさせられてしまったのは、この人の好助演あってこそ。

今年の10人
アンソニー・パーキンス 「さよならをもう一度」(1961年)
稲垣吾郎 「十三人の刺客」(2010年)
ヴァンサン・ペレーズ 「インドシナ」(1992年)
ジーン・ケリー 「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
ジェーソン・ロバーツ 「大
統領の陰謀」(1976年)
ジェフリー・ドノヴァン 「チェンジリング」(2008年)
ジョセフ・ゴードン・レヴィット 「インセプション」(2010年)
スタンリー・トゥッチ 「ジュリー&ジュリア」(2009年)
デヴィッド・シュリース 「縞模様のパジャマの少年」(2008年)
マット・デイモン 「インビクタス 負けざる者たち」(2009年)

■ 助演女優賞=マリオン・コティヤール「インセプション」(2009) 「NINE」(2009)
 
最近アメリカ映画での活躍がめざましいマリオン・コティヤール。 この2本の映画はどちらも主人公の妻という役どころ。片や主人公を時間の狭間という深い闇に沈み込ませる運命の女。片や女癖の悪い主人公に泣かされる耐える女。どちらでも強烈な印象を残してくれる。「NINE」のラストシーンで、それでも主人公を見守る彼女の姿は優しくそして美しい。次点の菅野美穂が演じた先輩花魁も見事だった。「エコエコアザラク」の頃からいい女優だなぁと思ってたけど、脇役でここまで神々しさを感じたのは初めてだったかも。

今年の10人
エマニュエル・ベアール 「天使とデート」(1987年)
エレン・ペイジ 「インセプション」(2010年)
菅野美穂 「さくらん」(2007年)
シャーロット・ランプリング 「ある公爵夫人の生涯」(2008年)
ジャクリーン・ビセット 「ブリット」(1968年)
ジュディ・デンチ 「NINE」(2009年)
ペネロペ・クルス 「NINE」(2009年)
マリオン・コティヤール 「インセプション」(2010年)「NINE」(2009年)
ダニエル・ダリュー 「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
メラニー・ロラン 「オーケストラ!」(2009年)

■ 音楽賞=ミシェル・ルグラン「ロシュフォールの恋人たち」(1966年・フランス=アメリカ)

映画が与える夢は人を幸せな気持ちにしてくれる。「ロシュフォールの恋人たち」を観ることの幸福感は、言葉で表現することがとても難しい。オープニングから恋のゆくえにハラハラするラストまで、もうウットリしっぱなし。今年はミシェル・ルグランの楽曲がCMに使われたりもしたし、僕はルグランのベストアルバムを愛聴したし、魅力を再発見した年でもあったかな。

今年の10人
アルベルト・イグレシアス 「抱擁のかけら」(2008年)
カイル・イーストウッド&マイケル・スティーブンス 「グラン・トリノ」(2008年)
椎名林檎 「さくらん」(2007年)
ジョルジュ・オーリック 「さよならをもう一度」(1961年)
ステルヴィオ・チプリアーニ 「ラストコンサート」(1976年)
セシル・コルベル 「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)
マルコ・ベルトラミ 「3時10分、決断のとき」(2007年)
ミシェル・ルグラン 「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
モーリー・イェストン&アンドレア・グエラ 「NINE」(2009年)
ラロ・シフリン 「ブリット」(1968年)

■主題歌賞=♪Cinema Italiano(Kate Hudson)「NINE」(2009年・アメリカ)

10年前、「あの頃ペニーレインと」でバックステージの女神だったケイト・ハドソンが、今度はステージの上でこの上ない輝きをみせる名場面!。ミュージカル「NINE」を代表するこの曲はとにかくかっこいいし、映画への愛情にあふれている。

今年の10曲(挿入歌含む)
♪Alice (Avrill Lavine) 「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)
♪Alietty's Song (セシル・コルベル) 「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)
♪Chanson Des Jumelles (Catherine Deneuve (dubbed by Anne Germain) and Françoise Dorléac (dubbed by Claude Parent)
「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)
♪Cinema Italiano (Kate Hudson) 「NINE」(2009年)
♪futuristic imagination (school food punishment) 「東のエデン 劇場版Ⅰ」(2009年)
♪Gran Trino (Jamie Cullum & Don Runner) 「グラン・トリノ」(2008年)
♪Light Prayer (school food punishment) 「東のエデン 劇場版Ⅰ」(2009年)
♪Non, Je Ne Regrette Rien (Édith Piaf) 「インセプション」(2010年)
♪カリソメ乙女 (椎名林檎) 「さくらん」(2007年)
♪優しい忘却 (茅原実里) 「涼宮ハルヒの消失」(2010年)

▲ベスト恋愛映画=「四月の雪」(2005年・韓国)

ヨン様主演作なので顔見せ映画のように思われがちだけど、僕はフランス映画を観ているような錯覚に陥った。台詞は気が利いているし、ストーリー上で大事なところは映像だけでじっくり見せる演出は見事。僕が「スポットライト」「恋愛時代」と、今年ソン・イェジンに夢中になったのはこの映画のせいだ。ほんとうにラストシーンがいい映画は、きっと忘れられない映画になる。

▲ベストコメディ映画=「ミックマック」(2009年・フランス)

異形なる者、はぐれ者への愛情を描き続ける映画作家ジュネ。ティム・バートンも同様のテーマを追いかけている人だけど、ハリウッドのシステムに属さない分だけジュネ監督は本当に好きな題材を好きなように撮っていると感じる。武器商人をこてんぱんにやっつける痛快さと、フランス映画らしい優しさにあふれた佳作。

▲ベスト活劇=「十三人の刺客」(2010年・日本)

東映時代劇のクラシックといういい素材を、やりたいように大人が遊んで作り上げた快作。華麗な殺陣がみられる映画ではないけれど、武士としていかに生きるか、男としていかに筋を通すかを徹底したエンターテイメント作品として完成させた三池監督の職人芸に映画愛を深く感じてしまうのだ。

▲ベストミステリー/サスペンス=「インセプション」(2010年・アメリカ)

ハリウッド大作を嫌う僕だが、この映画は別モノ。ノーラン監督の個性がエンターテイメントとして見事に活かされていて、これまでにない斬新なSFサスペンスになっている。複雑な多層構造がわかりにくいという声もあるが、ノーラン監督作が 理解しやすかったらそれこそ返金ものでさぁ!。

▲ベスト人間ドラマ=「インビクタス 負けざる者たち」(2009年・アメリカ)

人が人を変える、政治を変える、国を変える・・・マンデラ氏が いなかったら南アフリカってどうなっていたのだろうか。イーストウッドはどこの国を舞台にしてもそこへの敬意を忘れない。単なる美談に終わらない。

ブログランキング・にほんブログ村へ blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする