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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

アガサ・クリスティ 〜謎の失踪 失われた記憶〜

2025-01-01 | 映画(あ行)



◼️「アガサ・クリスティ 〜謎の失踪 失われた記憶〜/Agatha Christie : A Life In Pictures」(2004年・イギリス)

監督=リチャード・カーソン・スミス
主演=オリヴィア・ウィリアムズ アンナ・マッセイ レイモンド・クルサード スティーブン・ボクサー

アガサ・クリスティーが11日間失踪した1926年の事件は謎に包まれている。それはミステリーファンやクリエイターの想像をかき立て、数々のドラマや映画が製作されてきた。

本作は、発見時に記憶を失っていたアガサに向き合う精神科医が、催眠療法で失踪の謎に迫ろうとするお話で、英国BBCテレビの製作によるドラマ。失踪期間がこうだったら面白いという発想で製作されたドラマ「アガサと殺人の真相」(2018)のライトなミステリー仕立てとは違って、アガサ自身の行動と心の闇に迫るドラマになっている。

本編は大きく2つのストーリーが並走する。アガサの失踪であたふたする周囲の人々、精神科医とのやり取りを描く1926年パートと、舞台「ねずみとり」10周年を祝う1962年のパーティ会場でアガサが受けるインタビュー。若き日のアガサはオリヴィア・ウィリアムズ(「17歳の肖像」の先生役が良かった)、老年のアガサはアンナ・マッセイ(ヒッチコック「フレンジー」で殺される被害者の一人)が演じている。

史実としては、アガサが大戦中看護に従事したこと、薬に詳しくなるエピソード、離婚を経て2番目の夫マックスと出会うまでが紹介される。幼い頃から繰り返しみる夢に出てくる銃を持ったうす汚い男のイメージが、ことあるごとに彼女を精神的に苦しめる描写は、ホラー映画のテイスト。全体的にはどよーんと暗い雰囲気で娯楽作ではない。だが2000年代に入ってもこうした作品が製作されるのは、クリスティに対する人気と興味が衰えを知らない証でもある。




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