監督=グ・スーヨン
主演=松田龍平 山田優 ARATA 田村高廣
食べ物に優劣をつけるなんて間違っている。上手いものは上手いし、舌が違えばそれは異なる。だからテレビ番組「どっちの料理ショー」は、完成するまでのプロセスは楽しんでいるけど、勝敗をつけるラストは見る度にイライラする。負けたシェフが「おいしいのにねぇ」と言いながら迎えるエンディングは許せない!とさえ思う(笑)。
映画「プルコギ」も焼肉バトルのテレビ番組で、連戦連勝を続ける焼肉界のプリンス虎夫を紹介するところから始まる。大焼肉チェーン店虎王を仕切る有名人。ところが、そのチェーン店は北九州でだけは苦戦を強いられていた。それは白肉(要するにホルモンやモツ系)の人気店プルコギ食堂があったからだ。虎夫はここに目をつけて、勝負を挑もうとするが、プルコギ食堂の老焼肉名人は相手にしない。突然プルコギ食堂に現れた虎夫を快く思わないタツジ。そしてタツジと虎夫は番組で対決することに・・・。
僕が生息する北九州市がロケ地となっているもので、そうした興味もあって観た。若戸大橋、小倉駅前・・・見慣れた風景が綺麗に上手に撮られているなぁ・・という印象。リバーウォーク横の噴水から北九州市役所を見上げた構図、すごくいい。モダンなリバーウォークの建物を見せないところがいいね(・・・地元民しかわからんか)。虎王のチェーン店にされちゃった若松区の旧古河鉱業若松ビル(こちらの記事の写真は建物前で撮っている)には唖然・・・。一番すげぇ!と思ったのは、虎王のチェーン店の売り上げを見る場面。明らかにそこは「福岡県」と出るべき場所なのに、「北九州」・・・。主張しまくりです。
主演の若手たちもいいんだけど、脇役が名演、怪演をみせる映画でもある。タツジの師匠を演じ、これが遺作となった田村高廣が素晴らしい。「人と仲良くなりたいと思ったら、まず飯を食え。そうすれば、友達になり、恋人になり、そして家族になれる。」この台詞は心に響いた。助演賞ものだ。テレビ番組焼肉バトルのDJを務める竹内力がまたド迫力。こんな不思議な津川雅彦の姿は見たことないし、桃井かおり、田口トモロヲも持ち味活かした見事なキャスティング。バトルを終えて、うずくまる松田龍平に後ろから抱きついく山田優。キスの雨・・・あ~羨ましい(こら)。まっ、お気楽に観るにはもってこいの映画。最後まで倍賞美津子演ずる下町の焼肉屋が出てくる意味がよくわかならなかった。あーっ!誰か焼肉食べに行こうよ!。