■「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国/Indiana Jones And The Kingdom of The Crystal Skull」(2008年・アメリカ)
監督=スティーブン・スピルバーグ
主演=ハリソン・フォード シャイア・ラブーフ ケイト・ブランシェット
常日頃、僕は今のハリウッド映画は苦手・・・と言ってる。しかしそんな僕でも、「娯楽映画はこうでなくっちゃ!」と拍手したくなる。だってこのインディ・ジョーンズのシリーズ三部作は、ちょうど僕が中学3年~高校~社会人なりたての頃。映画を観ることに最も貪欲であった時代。古代文明や超常現象を主たるテーマとしていることに興味をかきたてられたし、ハリソン・フォードが好きだったのもあり、このシリーズには愛を感じてやまない。特に一作目「レイダース/失われた聖柩(アーク)」は、もう何回観たかわからない。
公開当時の映画雑誌で、このシリーズの楽屋落ちや裏事情などトリビアを色々覚えているだけに、今回もニヤリとしてしまう場面や設定の連続。カレン・アレン扮するマリオン再登場、父ヘンリー・ジョーンズのポートレート・・・底なし沼に落ちかかったインディを、大蛇で助けようとするなんて!まさにお約束。パラマウントのマークを意識した冒頭の場面は「またかい!」と思わず笑ってしまう。
この映画は前作から19年後になっている。舞台となる1950年代の空気を感じさせるために、あれこれ工夫がなされている。冒頭のエルビス・プレスリー、赤狩り、リーゼント組とスタジャン組がカフェで喧嘩なんてルーカスの監督作「アメリカン・グラフィティ」を思わせるし。シャイア・ラブーフが最初に登場する場面はマーロン・ブランドの「乱暴者」。
あのおぞましき軍隊蟻の場面はチャールトン・ヘストンの「黒い絨毯」。この映画は深夜放送で観たけど、とっても怖かったね。
・・・こだわりを感じさせるディティールは古い映画ファンをも唸らせるに違いない。そして改めて思うのは、やはりこのシリーズがやりたかったのは「007」だったということ。危機また危機の連続やゲテモノ趣味な演出も健在で、スピルバーグが本当に楽しんで演出しているのがわかる。
でもあの頃と違って、僕らはどうしても冷ややかにみてしまう。それは今ドキのCG技術のせい。これまでの三部作は、CGがない時代に低予算(実際今回の制作費は1作目の4倍だとか)で工夫を凝らして撮った映画だった。でも今は視覚効果じゃ何でもできる時代。今回のクライマックスの超常現象にも驚かなくなっている人も多かろう。だが、この映画は生身のアクションを大事にしているのを評価すべきだ。形勢が二転三転する密林の逃走シーンには思わず手に汗を握ってしまう。こういう映画的興奮は今じゃなかなか味わえない。年齢を感じさせず頑張っているハリソン・フォードが、ますますかっこよかった。1作目の時、ルーカスが「ハンフリー・ボガードのかっこよさが出せる俳優」として彼を選んだことを本当によかった思う。
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