■「特攻大作戦/The Dirty Dozen」(1967年・アメリカ)
監督=ロバート・アルドリッチ
主演=リー・マーヴィン アーネスト・ボーグナイン チャールズ・ブロンソン ジョン・カサヴェテス
映画「めぐり逢えたら」の中で、女は「めぐり逢い」に涙するけど、男は「特攻大作戦」に涙する・・・というフレーズが出てくる(「ユー・ガット・メール」でもそうだったけど、ノーラ・エフロンは巧いこと言うよなぁ)。”女優で観る映画を選ぶヤツ”と言われ続けている僕ですが(恥)、男ばっかりの戦争映画楽しめましたよ。クセものの囚人12名が抜擢された部隊というだけでも面白いのに、それを率いるリー・マーヴィンがこれまたちょっと上官を恐れぬクセ者。そこが何ともいえず魅力的。え?「職場でもイエスマンにならない自分が共感したんだろう」って?はっはっはっ。図星!。寄せ集めの犯罪者集団をいろんな手で団結させていく面白さ。特に演習で上官のチームを負かすエピソードは痛快ですな。男の反逆精神に火をつける、元気をくれる映画。そういう意味でも人気があるんだろうな。
キャストが何より豪華。少将のアーネスト・ボーグナインはいかにも理解がありそうだし、対して大佐のロバート・ライアンはいかにも陰湿な感じ。囚人たちもチャールズ・ブロンソン、ドナルド・サザーランド、ジョン・カサヴェテス、テリー・サバラス・・・と有名どころがそろって楽しい。
前半の軽いタッチでの演出で個々の隊員のキャラクターにも触れる丁寧なつくりなのに対して、いざ作戦遂行してからがやや駆け足に見えてしまう。それに次々と隊員が犠牲になっていくのには悲壮感を感じるが、そのあたりがちょっと淡泊。でも”男が散るときゃ黙って散ればいいんだ!”というロバート・アルドリッチ監督の美学なのかもしれないけど。
クエンティン・タランティーノ監督はこの映画がお気に入り。「イングロリアス・バスターズ」の元ネタの1本とされている。なるほどクライマックスの映画館ホールのつくりは、作戦で踏み込む屋敷に近いものがあるし、ブラッド・ピット率いるバスターズがイカれた荒くれ者だらけなのは、この映画の影響なのだろう。