Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

僕の村は戦場だった

2012-07-07 | 映画(は行)
■「僕の村は戦場だった/Ivanovo Detstvo」
(アンドレイ・タルコフスキー/1962年・ソ連)

●1962年ヴェネツィア映画祭 金獅子賞

主演=ニコライ・ブルリャーエフ ワレンティン・ズブコフ エフゲーニー・ジャリコフ

 アンドレイ・タルコフスキー監督30才の長編処女作。第二次大戦中のドイツ-ソビエト戦を背景に戦争に巻き込まれる少年の運命を描く。タルコフスキー監督作、実は「ソラリス」しか観たことがなかったのだが、本作はよりストレートな作風でありながら”らしさ”を既にしっかり備えている。水面が光る様子や明暗の使い分けが印象に残る。暗い沼地と白樺林の明暗。明暗のコントラストは同時に戦時と平時のコントラストでもある。ドイツ兵に殺された母親を思う場面、リンゴを積んだトラックの荷台で少女と雨に濡れる場面、浜辺を走る場面・・・・それらは戦時という現実がいかに厳しいものかを強く印象づける。

 そして演ずるブルリャーエフ少年の瞳がそれぞれのシーンで全く違う。回想シーンの穏やかな眼差しが、現実ではすべてに怯えにらみつけるような厳しい視線になる。子供の心までこうまですさんだものにしてしまう戦争。ラストはかなり悲惨だ。その少年の瞳から光が消え、物言わぬ少年の遺体のクローズアップ。戦争さえなければ・・・・そんな思いが観ていてとても強くなる。それにしてもゴロゴロと転がる死体や、人が次々に撃たれる戦闘場面などなくても反戦の意図は十分に伝わる。そんな”戦時の人の心”に主眼を置いた作風は見事だ。

 ★

この文章を書いたのは2002年。この年学生に映画を見せて感想を書かせる映画授業なる試みを初めてやった。なにか反戦映画をみせたいよなぁ・・・と、100分以内という制約の下であれこれ物色して観た一本だったっけ。結局これはセレクトしなかったのだけど、心に残る映画でした。

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