■「カフェ・ソサエティ/Cafe Society」(2016年・アメリカ)
監督=ウディ・アレン
主演=ジェシー・アイゼンバーグ クリステン・スチュワート ブレイク・ライブリー スティーブ・カレル
最近のウディ・アレン監督作は、気楽に観られるロマコメ路線ばかりではない。
男と女の関係について考えさせるビターな味わいを持つものも少なくない。
「それでも恋するバルセロナ」では結婚って何なんだろう、
「ブルー・ジャスミン」では幸せってなんだろう、と思わずにはいられなかった。
この「カフェ・ソサエティ」、
前半のコミカルなやり取りや粋な台詞で、スリリングな恋模様を描いている。
クラシック映画への敬意も感じさせて、玄人好みな雰囲気が。
ところが舞台をニューヨークに移した後半は脇役キャラの面白さに加えて、
未練という名の切なさがスリリングに漂ってくる。
世間も認める成功や結婚をしても、心に残る過去の残像を人は消すことができない。
恋する楽しさを楽しむ映画もいいけれど、
この映画のラストで味わう物言わぬ切なさは年齢を重ねてこそ心に響くのでは。
自分にとって何が幸せだったのかは誰にもわからない。
ただ今があるだけ。
誰にも当たり前のことだけど、それを振り返らせてくれる。
映画のラスト、ふた通りに使われる「夢は夢なんだよ」という台詞が、なんとも切ない。
これまでのビターなアレン映画とは、どこか違う。
それは映画でしか描けない大恋愛やバカをしたんだから当然の結末だよね、と観る側に思わせるだけじゃない。
僕らはふたりのヴェロニカに、ボビーに自分を重ねてしまう。
「夢は夢なんだよ」はあきらめの響きじゃなくて、誰もが思うことなんだって優しい響きがある。
ビターだけど、ほのかにスイートな大人の愛の映画。
往年のハリウッドの名作「愛情物語」でも使われた、
大好きなカーメン・キャバレロの曲Manhattanが流れる嬉しさ。
映画『カフェ・ソサエティ』予告編
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