◾️「誰もがそれを知っている/Todos lo saben」(2018年・イタリア=スペイン=フランス)
監督=アスガー・ハルファディ
主演=ペネロペ・クルス ハビエル・バルデム リカルド・ダリン バルバラ・レニー
妹の結婚式の為にアルゼンチンからスペインに里帰りしたラウラと子供たち。幼なじみパコや家族との再会を喜んだが、結婚式後のパーティーの最中に娘イレーネの姿が見えなくなってしまう。そして身代金を要求する連絡が。アルゼンチンから夫も駆けつける。時間稼ぎの策を講じる中で、次第に家族が隠してきた秘密が明らかになっていく。
ハルファディ監督の映画は、「彼女が消えた浜辺」を観たことがある。「誰もがそれを知っている」と同様に、楽しい時間の中で誰かがいなくなり、不安な空気の中で次第に複雑な人間関係が露わになっていく物語だ。「彼女が消えた〜」が悶々とした気持ちで終わりを迎えるのに対して、こちらは一応の決着を迎える。娘の為に隠してきた事実を口にする妻、ラストシーンで問いかけに答えられない無言の夫、そして幼なじみのパコが思いがけず知ってしまう事実。とにかく切なく、痛々しい。そんな3人をとりまく人々が、事件の背景と次第に重なる展開にハラハラする。
エンドクレジットを迎えて、タイトルにいろんな意味が受け取れる。「それ」とは事件の真相、夫婦が隠してきた事実、貧しい村の現実、過去。ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムの夫婦共演。「瞳の奥の秘密」のリカルド・ダリンは無表情なのに、感情が伝わるいい演技。
(2019年12月)
『誰もがそれを知っている』日本版予告編
誰もがそれを知っているBlu-ray | |
ペネロペ・クルス,ハビエル・バルデム,リカルド・ダリン | |
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