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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ジュリア

2024-09-02 | 映画(さ行)


◼️「ジュリア/Julia」(1977年・アメリカ)

監督=フレッド・ジンネマン
主演=ジェーン・フォンダ ヴァネッサ・レッドグレープ ジェーソン・ロバーツ

初めて観たのは中学2年。フジテレビ系の映画番組だった。映画と名がつくものには訳もわからず食らいついていた頃だったから、ジェーン・フォンダの名前で観る気になったんだろう。2024年8月に宅配レンタルDVDでウン十年ぶりに再鑑賞。

作家リリアン・ヘルマンの自伝的な作品「Pentimento」を原作にした作品。リリアンにとって幼い頃から大切な存在だった女性ジュリアとの、幼い頃の出来事から別れまでが描かれる。この映画について触れる文章には、女性の友情物語という表現がよく使われている。でも友情という言葉では表せない、もっと強いつながりや思いがある。あこがれ、という表現が適切かわからないが、対等な立場で仲良しというよりも、リリアンがジュリアを慕っている間柄。この感情が、映画後半に危険を冒してジュリアのいるベルリンを訪れる力になっていく。

リリアンの代表作となる戯曲は「子供の時間」。「ジュリア」本編の中で、長年の恋人ダシール・ハメットから「紛れもない傑作だ」と評される場面も出てくる。この戯曲を映画化したのが、ウィリアム・ワイラー監督の「噂の二人」。同性愛だと周囲に疑われて精神的に追い詰められていく女性が忘れられない作品だ。「ジュリア」でも、リリアンとジュリアの関係をそうした性的指向を疑う言葉をかけられる場面が出てくる。決してそうではないのだが、リリアンがジュリアに向けられた気持ちが単に友情と呼ぶレベルを超えた大切な関係だということが、こうした面からも伝わる気がする。

リリアンと長年恋愛関係にあったダシール・ハメットをジェイソン・ロバーツが演じている。リリアンに暖かくも厳しい助言をしたり、睡眠の邪魔だと邪険な扱いをしたりだが、アメリカに戻る彼女をにこやかに迎える姿に、言葉にせずとも伝わる気持ちが見える。

映画後半はほぼサスペンス映画の様相。この緊張感が、それぞれが置かれた切実な状況を示していて目が離せなくなる。ジンネマン監督の代表作が「真昼の決闘」だったことを思い出させる。折しもナチスが台頭してきた時期のベルリン。ユダヤ人であるリリアンが身の危険を乗り越えて、ジュリアとの短い再会を果たす場面は観ているこっちまで待ち焦がれていたような気持ちになる。追われる身だが笑顔を絶やさないジュリア、積年の思いで胸がいっぱいのリリアン。二人の表情は対照的。

原作のタイトルPentimentoは、もともと描かれていた下絵が透けて見えてくること。映画冒頭でこれが語られるのだが、リリアンが過去を見つめ直すことを表しているのだ。改めて観て、あの頃じゃわからなかった切なさや、ジンネマン監督の巧みな見せ方を味わうことができた。ジョルジュ・ドリュリューの音楽も美しい。





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