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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

死刑台のエレベーター

2024-09-15 | 映画(さ行)


◼️「死刑台のエレベーター」(2010年・日本)

監督=緒方明
主演=吉瀬美智子 阿部寛 玉山鉄二 北川景子

「死刑台のエレベーター」邦画リメイクに挑むの巻。ルイ・マル監督のオリジナルはサスペンスの秀作。学生の頃に初めて観た時は音楽と、短い上映時間に凝縮した面白さに夢中になった。大人になって改めて再鑑賞、雨の中をさまようジャンヌ・モローに、これは愛の映画だという感想を持った(「死刑台のエレベーター」のレビュー参照)。

一方でオリジナルは、多くの方の感想にもあるように、サスペンス映画としての物足りなさや納得できない部分もあれこれ。このリメイク版の緒方明監督らスタッフも同じ思いだったのか、様々な要素を盛り込んでいる。オリジナルでモーリス・ロネが回収し損ねたロープは、本作ではちゃんと回収される。警備員に笹野高史を配したユーモラスな味付け、裏社会のダーティなエピソード、舞台となる横浜を印象づける国際色。

さらに登場人物それぞれのキャラクター描写が色濃くなっている。社長夫人と社員、若いバカップルの2組の男女。それ以外の情報が乏しくて話に集中できたオリジナルに対してかなり情報過多。阿部寛の過去は長々と語られ、北川景子演ずる美容師の純真さ、付け加えられた暴力団組長と情婦の関係性など、人間ドラマ部分が手厚くなっている。吉瀬美智子演ずるヒロインの心理描写に至っては特撮も駆使する手の混みようw

オリジナルでは出番の少ない刑事は、柄本明演ずる古参刑事に。職場のデスクには折り紙が並び、窓際族のような印象を与える。その頼りなさそうな印象がラストでキリッとして、黙って立っている吉瀬美智子の心情や、愛し合う二人が映った写真の意味まで克明に解説してくれる。あーっ柄本刑事、それよ!僕がオリジナルを愛の映画だと思った理由。よくぞ言ってくれました。でも、それをここまで語ってしまったら解釈や感想の押し付けになっちゃうのでは。

ところが、玉山鉄二演ずる警察官(バカップルの男)の行動や感情が最初から最後まで意味不明。「何にもできねぇんなら権力の犬でいりゃいいんだよ」と組長に諭される始末。組長の情婦との過去も唐突でよくわからない。

オリジナルへの愛着は感じられるが、話を盛って心理描写まで説明し尽くして、観客を受け身にしてしまったのが残念。「あの人と一緒にいないのに、私は老けていくのね」と繰り返されるラスト。その悲しい気持ちはわかるけど、吉瀬美智子の絶望した表情と、「二人の写真が欲しい」という台詞で十分ではなかろうか。

とにかく台詞が聞き取れない。テレビのボリューム上げまくって、ボソボソ喋る阿部寛の台詞を拾ったら、次の場面では平泉成が怒鳴る👂⚡️。どうにかならないもんか。

👇オリジナルはこちら

死刑台のエレベーター - Some Like It Hot

■「死刑台のエレベーター/AscenseurPourL'Echafaud」(1957年・フランス)監督=ルイ・マル主演=ジャンヌ・モロ-モーリス・ロネジョルジュ・プールジュリイリノ...

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