Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

サムライ

2024-09-10 | 映画(さ行)


◼️「サムライ/Le Samourai」(1964年・フランス)

監督=ジャン・ピエール・メルヴィル
主演=アラン・ドロン フランソワ・ペリエ ナタリー・ドロン カティ・ロジェ

アラン・ドロンの訃報で、いつか観ようと録画していた「サムライ」に手を出した。まだ若造だった頃に一度挑んでいるはずだが、冒頭の台詞なしの10分間に飽きたのか、ついて行くのに疲れたのか、親が観ていたのを断片的に観ていたのか、ともかくきちんと最後まで観るのは今回が初めて。あれ、もしかしてジャン・ピエール・メルヴィル監督作を観るのも初めてかも?

その冒頭10分間で心を掴まれた。殺風景な部屋には鳥カゴがひとつ。ベッドでタバコを吸う男が一人。彼はダブルのトレンチコートに中折れ帽を身につける。ジャケット写にある鏡の前で帽子のつばを整える。それらは武道家の型がある所作と同じように、裏社会の仕事に向かう前の儀式に見える。

かっけー😆

かつて「カサブランカ」でボギーのコート姿にイカれた過去がある僕。なんで「サムライ」を今まで観てなかったんだろ。グレーのスーツに細いタイをきちんと着こなし、映画後半は落ち着いた色調のチェスターコート。身なりをちゃんとする大人のカッコ良さ。近頃はなんちゃらビズのせいで、スーツをきちんと着る機会は少なくなったけど、こんなん観たら真似したくなる💦

一匹狼の殺し屋ジェフは、心を許せる相手がいない。「武士道」の一節とされる言葉のように言いようのない孤独だ。

クラブの経営者殺害後の取調べシーンから先、ずっと緊張が途切れない。殺害現場で鉢合わせしたジャズピアノ弾きの女性が「彼ではない」と嘘をついたことで難を逃れたジェフ。その理由が知りたかったジェフは再びクラブに向かう。警察はジェフを犯人と断定し、執拗な捜査網で追い詰めようとする。しかしパリの地下鉄を知り尽くしたジェフはその追手から逃れ続ける。この追いつ追われつだけでも面白いのに、ジェフが殺人を依頼したボスに迫ろうとする二重のサスペンス。よくできたサスペンス映画は、ただの追いかけっこでは終わらない。

メルヴィル監督作、他にも挑んでみようかな。今年はフランス映画に手が伸びるw




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