インヴィジブル・タッチ ジェネシス 東芝EMI 1999-07-28 売り上げランキング : 19,540 Amazonで詳しく見る by G-Tools</span> |
僕はキーボード弾きである。大学時代音系サークルにも所属し活動していた。そもそも音楽的に雑食なのが災いしたか、あらゆるジャンルのセッションに担ぎ出された。そうこうしている頃、キーボードやってる先輩からお言葉が。「尊敬するキーボーディストは誰ね?」僕は「ジェネシスのトニー・バンクスです。」と答えた。先輩の視線はちょっと異質なものを見るようなものに変わった。・・・なんでこう”プログレ(ちょっと)好き”という表明をすると世間ではこういう反応をされてしまうのだろうか。
どの時期のジェネシスが好き?と聴かれると迷うのだけど一番聴いたアルバムはやはり「インヴィジブル・タッチ」になるんだろうな。ポップミュージックとしての完成度の高さが何といっても魅力。熱烈なプログレ好きからダメ出しされそうだけど・・・。ここでのトニーのキーボードはシンプルなようだが魅力的。ラストを飾るインスト曲 ♪ブラジリアン の壮大さも、およそシングル向きとは思えない ♪トゥナイト、トゥナイト、トゥナイト の不協和なシンセ音も。だいたいテクがないくせに、派手な音色で存在感を示すのが僕のキーボード弾きとしてのスタイル(・・・と周りは評価していた)なのでこのアルバムでの音づくりは当時参考にしたものだ。僕はこのアルバムでは ♪混迷の地 が最も好き。
他にもジェネシスのアルバムは聴き込んだものが多い。「アバカブ」はかなり好きなアルバムだったし、温故知新で聴いて ♪ウォッチャー・オブ・ザ・スカイ にハマったのは「フォックストロット」。♪ザッツ・オール が収められた「ジェネシス」もお気に入りの1枚。どれも鍵盤弾きとしてしたい曲が多いアルバムだ。トニーのキーボードプレイは、地味な白玉(全音符)に聴けても実はけっこう存在をアピールしている。僕は”白玉の美学”と密かに呼んでいた。当時僕がキーボードのセッティングをL字型にして、左手にストリングス系、右手にピアノ系とシンセ系にしていたのも、実はトニー・バンクスがお手本なのだ。