「もの食う話」所収。 昭和53年
口述筆記を泰淳さんのためにしたのが修行になったらしく、死後、
随筆家としてデビューした。百合子さんと言えば、この「枇杷」
というほど有名な作品だ。料理でいえば、カニクリームコロッケかな。
歯のなくなってしまった泰淳さんのために枇杷を薄く切って口に入れ
てあげる。その切なさ、やるせなさ、でも、そんな姿になった泰淳さ
んをいつくしんでもいる。けど、オチの「あの人の指も手も食べてし
まったのかな」にはよく読んでみると? しかない。
(読了日 2022年10・12 16:10)
(鶴岡 卓哉)