文藝春秋編「もの食う話」所収 「饗宴」昭和56年6月
澁澤氏といえば、日本の、いや、世界のエロティシズムの
大家である。グリモはちゃんとした名をバルタザール・
グリモ・ド・ラ・レニエールといい、1758年、パリに生
まれた。美食学’(ガストロノミー)を考える上で、外せない
人物らしい。本当にヘンテコなパーティーを開いたりして、
贅沢を尽くしたという。おもしろいと思ったのは、「食通
年鑑」という今でいうミシュランガイドみたいなみたいな
ものをつくって、家に贅沢な食材を集めて、食べまくって、
結局、独りになってしまって、それがバレて、パリをおン
出されたらしい。晩年は城で豚を相手に食事をしたらしい。
グリモは生まれたときから、両手の指が癒着していて、指の間に
あひるの水かきのような捲くがあり、爪は獣の爪のように鋭かった
というから、生まれ出たときから、フツーの人とは違っていたと
見える。人間ではなかったのかもしれない。これが歪んだ人間に
していったということらしい。
午餐会に行きたいか? いえいえ、ぼくは遠慮しておきますよ、
ぬか漬けに、お茶漬けでけっこうでございます、チーン。
(読了日 2022年10・16 19:55)