新潮文庫 昭和44年
山口氏と開高氏が直木賞と芥川賞を獲られた後、
一番脂の乗った頃に書かれたサントリー社史。
山口氏の方は一度、挫折したが、休ませて、
最後まで読み通した。開高氏の語り口は絶品
芸巧、堪能させられる文章で、いつも開高氏
を読む度にマネしようと試みるのだが、なかなか
それは難しく、難儀することになる。創始者鳥井
信冶郎氏の話から、二代目佐治敬三氏まで、戦前
は山口氏、戦後は開高氏が担当する。同社宣伝部
出身の二人が放つ、独自の視点から描いた社史なの
だが、そこはやはり読み応え十分。破壊、破裂、
撃破の漂う二人の社長を追うわけだから、おもし
ろくないわけはない。まあ、令和のぼくなんかには
参考にならないほどの破天荒な人たちで会社であった
ようだ。うーん、こんな会社、楽しそうだけど、
一日とぼくはもたないだろうなあ、という予感は
しないでもない。
(読了日 2024年2・10(土)23:30)
(鶴岡 卓哉)
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