映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

キサラギ

2008年09月10日 | 映画(か行)
キサラギ スタンダード・エディション

キングレコード

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この作品をお勧めする方が多いので、早く見たかったのですが、
TUTAYA DISCUSではなかなか回ってこなくて、ようやく見ることができました。

アイドル如月ミキが焼身自殺をした一年後。
彼女のファンサイトの常連5人が始めて一同に会し、一周忌の追悼集会をすることに。
ここに集まったのがと~っても個性的な面々。
みな、ハンドルネームのままで呼び合うことにします。

★家元(小栗旬)
:彼がサイトを立ち上げたので、リーダー的立場にあり、この中では最もまともそう(?)に見える。
雑誌の切り抜きなど、ほぼ100パーセント持っているのが自慢。
出したファンレターも200通。

★オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)
:適当に付けたハンドルネームの失敗例。
しかし、彼は雰囲気が怖い!
「如月ミキは自殺したのではなくて、殺されたんだ」、と言い出すのも彼。

★スネーク(小出恵介)
:調子が良くて、強いものに迎合するタイプ。
以前ロックバンドをやっていたというが・・・。

★安男(塚地武雅)
:一人だけ、カジュアルなスタイルで来てしまったり、
おなかを壊してトイレにかよったり、
一人だけみんなの話題について行けず、浮きまくり。
・・・しかし実は彼は・・・。

★イチゴ娘(香川照之)
女の子のふりしてサイトに書き込みをしていた人。
しかし、実は挙動不審なオジサン。
誰も知らないはずのミキのことを知っているこの人は、実は・・・。

映画はすべて、このみなの集まった一つの部屋の中だけで進行します。
いわゆる、ワンシチュエーション・サスペンス。
5人でミキの死の真相を推理し合っていくのですが、
次々暴かれるこの5人の正体。
めまぐるしく変わっていく、推理の状況。
全く退屈しない展開が繰り広げられます。
これはとにかく脚本の勝利ですね。
そして、この5人の個性あふれる俳優の勝利。

そして、たどり着く真相は、はじめの「焼身自殺」とは似ても似つかない、驚きの様相。
しかしそのヒントは、それまですべての会話の中に潜んでいた、ということで、
この辺の収束の仕方が実に心地よいのです。
さらには、意外な真相が現れるということだけではない。
終始の会話を通して、如月ミキって、どんな子だったのか、それが浮かび上がってくるんですね。
特にラスト、どうして彼女は物置で倒れていたのか、という真相では、
胸が熱くなってしまいました。
なんと、ハートフルな作品でもあったのです!

多くの方のお勧めというのも納得のステキな作品でした。

2007年/日本/108分
監督:佐藤祐市
出演:小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之