映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ララピポ

2008年09月15日 | 本(その他)
ララピポ (幻冬舎文庫 お 13-2)
奥田 英朗
幻冬舎

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この方の作品は大好きなんですが、この本は読んですぐ、失敗か?と思ってしまいました。
何しろ、思い切り下半身ネタ・・・。
う~む・・・、でもせっかくなのでしばし、読み進むうちに、じわじわと面白くなってきました。
この本はリレー短篇とでも言いましょうか、
一つの話で、一人の物語が語られますが、
その中にちょっぴり出てきた別の人が、次の話で主人公になっているのです。
そんな風に順番に語られる男女6人の物語。

対人恐怖症のフリーライター、
NOと言えないカラオケボックス店員、
AV・風俗専門のスカウトマン、
恐るべきAV女優?のおばさん・・・・
女子高生に溺れる官能作家、
デブ専裏DVD女優のテープリライター、

みな、犯罪スレスレだったり犯罪そのものだったり、
どうしようもない事件を引き起こしたり、巻き込まれたり、
そんな顛末が描かれています。
ぜんぜんかっこ悪いです・・・。
どちらかといえば底辺に近い猥雑で雑多な人々が、
でもそれぞれのシアワセを求めながらじたばたと生きている・・・。
悲しくて、そして滑稽なのであります。
・・・しかし、そういう自分も似たようなものか。
生きていくことって、こんな風にかっこ悪くて悲しくて滑稽で・・・、
でも、まあいいか、
みんなそうやってがんばって生きているんだから、と、
そんなストーリー。

さて、この本の題名「ララピポ」は何かといいますと、
文中にあるのですが、人ごみの中で白人男性がつぶやくセリフなんですね。
ハミングするように、「ララピポ」。

世の中には成功体験のない人間がいる。
何かを達成したこともなければ、人から羨まれたこともない。
才能はなく、容姿には恵まれず、自慢できることは何もない。
それでも、人生は続く。
この不公平に、みんなはどうやって耐えているのだろう。

・・・このように、登場人物が考えながら歩いている矢先でした。
「トウキョウ、人ガタクサン」
・・・つまり「a  lot of people」だったんですね。 
まさにこういうことがテーマのストーリーなわけで、その点では上出来です。
だから風俗ネタばっかりだけど、まあ、たまにはいいか、ということで・・・。
でも、やっぱりオンナノコには拒否感があるでしょうし、
映画化しているようですが、私は見ません!

満足度★★★