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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

セブン・イヤーズ・イン・チベット

2008年09月18日 | 映画(さ行)
セブン・イヤーズ・イン・チベット〈ニューマスター版〉

角川ヘラルド・ピクチャーズ

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この作品はかなり以前、テレビ放映で見たんですね。
今年、チベットのラサで暴動事件がありました。
北京オリンピックの聖火リレーのときにも国際問題として取り上げられたりもしました。
で、この映画を思い出しまして、ぜひもう一度見てみようと。
しかし、誰しも考えることは同じようです。
例によってTUTAYA DISCUSに予約を入れたものの、なかなか回ってこない!!
届くまで数ヶ月かかりましたね。
しかし、待った甲斐あって、とても上質な作品。

これはオーストリアの登山家ハインリヒ・ハラーが、
現チベットの亡命政府指導者ダライ・ラマの少年時代、
家庭教師として交流した実話を元にしています。
私が記憶していたよりも、このハラーがチベットにたどり着くまでの道のりはすごく長い。

1939年オーストリアはナチスの統治下。
ハラーはヒマラヤのナンガ・パルバット登山のため、妊娠中の妻を残して国を出発します。
ところが登山は天候不順や雪崩のため失敗。
そんなうちに、イギリスとドイツが開戦。
すると、イギリスの植民地にいた彼らは、インドの捕虜収容所に入れられてしまう。
そこで数年が過ぎ、ついに耐え切れず脱走。
しかし、この地では西洋人は目立ちますからね・・・。
ハラーは一緒に脱走したアウフシュナイダーとともに、これも長くつらい逃亡生活。
ボロボロになってラサにたどり着いたのは1945年。
そこは彼らにとってようやく安息の地となりました。
外国人の入国を認めていなかった国だったのですが、
人々は思いものほか親切にこの放浪の二人を受け入れる。
聡明で好奇心に満ちた少年ダライ・ラマの希望で、
ハラーは家庭教師となるわけです。
ヒマラヤ付近の雄大で険しく、そして美しい風景の中をとぼとぼ歩きつづける二人。ようやくたどり着いたところは平和を愛する穏やかな街、ラサ。
ここにたどり着くまでの長く厳しい道のりをやはり、省略はできないでしょう。

ハラーは、家庭を顧みず帰ってこない夫に愛想をつかした妻に離婚されてしまったのですが、
まだ見ぬ息子をいつも思っています。
そんなわが子をダライ・ラマに重ね合わせるのですね。

ドイツ降伏で、二次大戦は終わるのですが、
そんなところで、中国軍がチベットへ侵略を始める。
ミミズの死さえ悼むチベットの人たちには、ろくな武器の蓄えもありません。
ひとたまりもなく、中国の侵入を許してしまう。
以来ず~っと、チベットは中国に支配されている・・・というわけなんですね。
暴動を起すのも無理はないじゃないですか。

さて、このように事実なのに、ドラマのような劇的なストーリー。
まさに圧巻です。

しかしまた、この作品は、ハラーの友情をテーマに描かれた物語でもあるのです。
ハラーはどうも人付き合いがあまりうまくなく、親しい友人もなく、孤独なんですね。
登山にはアウフシュナイダーとチームを組むのですが
お互い信頼できず、うまくいかない。
そのようなしこりを持ったまま、収容所脱走、長い逃避行となる。
ラサについてみれば今度は二人とも同じ女性に恋を抱き・・・。

しかし、最後の最後ハラーが帰国する時に、二人はお互いの信頼・友情を確信します。
ここも、なかなか胸が熱くなるシーン。
孤独なハラーが、ダライ・ラマとアウフシュナイダーという親友を得る。
これはそういう物語だったのです。

金髪をさらりと流したブラピはステキだなあ・・・。
今のブラピは精悍なイメージだけど、こういうのもオバンサンは好き・・・。
いかにもナチスが好きそうな感じではあります・・・。

チベットにいたのは7年でも、その前に5年くらい収容所と近辺をさまよっていたので、
結局帰国は12年後くらいなんですよ・・・。
そりゃ奥さんに離婚されますよね。

1996年/アメリカ/136分
監督:ジャン・ジャック・アノー
出演:ブラッド・ピット、デイヴィット・シューリス、B・D・ウォン、ダニー・デンソンパ