映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「上海タイフーン」 福田靖

2008年09月11日 | 本(その他)
上海タイフーン
福田 靖
講談社

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今の上海が舞台の物語を見つけました。
たまたま、書店の店頭で目についたのですが。

この著者は脚本家なんですね。
で、このストーリーは、まもなくNHK土曜ドラマで放送開始するそうです。
その原作本。
著者の手がけた脚本は「CHANGE」、「ガリレオ」、「HERO」、「海猿」・・・
うわ、ヒットメーカーでした!!

恋にも仕事にも挫折した女性が、新天地上海へ行って、
心機一転夢をかなえようとする、サクセスストーリー。
しかし、世の中甘くありません。
気楽なつもりで上海へ行ってもそう簡単に仕事はないし、
中国といっても物価はさほど安くもない。
ことに、言葉がきちんと話せないのは致命傷。
現実に、甘い期待を抱いて上海へ渡り、
挫折して逃げ帰る日本人はかなり多いとのこと。

まあ、しかし、これは物語なので、主人公美鈴は幾度かの挫折を乗り越えて、
努力とアイデアで、上海での自分のいる場所を築いていく。
現地の人、同じ日本人、ハーフの子など、様々な人に助けられながら。
まるでSFの未来都市というような高層ビル群や、
古くから残る建物が同居する、不思議で混沌とした街。
今の上海を知るためには、良い本でした。

しかし、これを小説としてみると、やや難あり、です。
著者はやはり小説家ではなく、脚本家なんですね。
文章がそのままスバリというか、行間がないというか・・・、
わかりやすいですが、あまりにもストレート。
結局、ただストーリーを追うだけになっている。
小説家の文章とはちがうなあ・・・と、強く感じてしまいました。
映画やテレビのドラマでは、この行間を俳優さんの演技が埋めるのでしょう・・・。

また、中国人青年実業家、曹が、当初から美鈴を気に入った様子を見せるのですが、
一体彼女のどこがそんなに気に入ったのだか、どうも納得できない。
はじめの方の美鈴は、結構いやな女ですよ・・・。

というわけで、多分これは本で読むよりもドラマを見たほうが楽しめると思います。
上海の映像もたっぷり見られそうですしね。

満足度★★★