長州ファイブ ケンメディア このアイテムの詳細を見る |
尊皇攘夷の嵐吹き荒れる幕末。
長州藩の五人が幕府の禁を破って密航し、イギリスへ向かう。
これは史実に基づいたドラマです。
攘夷、すなわち外国人を排斥し撃退しようとする考え方なんですね。
そのような風潮が広まっている時代。
長州藩は、その最先鋒。
しかし、彼らは、まず敵を知らなければいけないと考える。
イギリスへ渡って、いろいろな技術を学び、
自分たちは生きた機械となって帰ってこよう。
その上で外国人と対するのだ
・・・そのような志を抱いて、命がけの渡航をしたわけです。
余談ですが、長州藩の彼らの言葉にはなまりがありまして。
「わしらは、生きたキケイになるんじゃ」
このセリフが何度も出てくる。
生きたキケイ???
キケイって何???
だいぶ後になって、ああ、「機械」といっているのか、とやっとわかりました。
難儀であります・・・。
さて、蒸気船での旅。
一体日本からイギリスまでどれくらい日数がかかったのでしょうね・・・。
何ヶ月もですよね・・・。
留学費用はイギリス滞在の費用も含めて一人1000両といっていました。
今の価値では検討もつきませんが、ものすごい金額であろうことは想像がつきます。
しかし、そのような時に、気前良く援助する人がいたというのも、すごいことです。
本当のお金持ちはこういうお金の使い方をするもんです・・・。
そしてまた、このような彼らを受け入れ、
きちんと科学技術を教えてくれた英国人にも敬意を表します。
その頃の彼らから見たら、
日本人なんて、とんでもない野蛮人に見えたかも知れないのに。
彼らは船の中で必死に英語を勉強し、
ついた頃には相当のことが話せるようになっている。
このことがかなり、プラスになっていたのでしょう。
そしてようやくたどり着いたイギリスで、
彼らが見た蒸気機関車、造幣の技術、街並み・・・。
彼らはすっかり圧倒されてしまう。
このような国と戦おうとするなど、全く愚の骨頂、と自覚する。
とにかく、この最先端の技術を何とか日本に持ち帰ろうと、かれらは必死に勉強するのです。
この5人とは、伊藤博文、井上馨、井上勝、遠藤謹助、山尾庸三。
・・・あまり知名度が高くない方もいますが、
どの人も帰国して後、日本の近代化推進の中心人物となったのです。
この、心意気、夢を実現する力、バイタリティー・・・、
今の日本人にはないものなのかなあ、と思います。
とにかく、この情熱、ひたむきさに心打たれてしまう。
そんな作品なのであります。
しかし、この日本の近代化の歴史は
同時に血塗られたアジアの歴史の始まりでもある・・・、
というのは先日読んだ「戦争論」の通り。
なかなか複雑な心境だなあ・・・。
2006年/日本/119分
監督:五十嵐匠
出演:松田龍平、山下徹大、北村有起哉、三浦アキフミ