ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

たまたま、ほんと偶然だったんだ、『魔女の宅急便』読んだってこと!

2018-09-07 08:59:09 | 本と雑誌

 そりゃ知ってたさ、角野さんが国際アンデルセン賞もらったってことくらい。だからって、読んだってわけじゃ全然ない!まして、昨日NHK「国際報道」で角野さんを特集するなんて知りもしなかった。いやぁ、まさかの偶然だったぜ、『魔女の宅急便』読んだところだったんだ。

 今頃『魔女の宅急便』?次回菜の花座作品、魔女で行く!って宣言しちまってるんでね、まっ、資料として、って言うより、無意識のうちに被ったりすると嫌だなって気持ちで取り寄せたんだ。アニメは見てるはずだけど、さっぱり覚えていないから。

 童話だしねぇ、ヒットした本や映画は本能的に避けるへそ曲がりの僕としちゃ、まっ、取りあえず読んでおくかって程度だ。実際、朝、最初に手にしたのは、同じ魔女本でも『魔女の契り』って翻訳ものだったんだが、出だしの煩雑さに起き抜けの頭が付いて行けず、童話ならなんとかなるだろうって乗り換えたって、失礼な話さ。

 コテコテのSF魔女から少女向け、正直、読み始めは、そののったり感について行くのが容易じゃなかった。そりゃそうだ、童話に夢中にになるって歳じゃないもの。それと、資料として、って意識もあるから、どうしたって、1歩も2歩も引いて、検証読み、内容チェックみたいな意地悪な読み方になってたんだろう。

 ところがねぇ、読み進むにつれて、これは容易ならざる本だぞ、って思い始めた。って言うより、面白い!作者の空想力のハチャメチャぶりにグイグイ惹きつけられた。大量の洗濯ものをつるした紐を、魔少女キキが引っ張って空を飛び回る!ええーっ!それも迷惑に思うどころか、楽しんでしまうって、なによ、これ!?突拍子もないイメージじゃないの。ナンセンスそのもの!忘れ物の楽器の緊急輸送を頼まれて、トランペットやらトロンボーンなど管楽器を吊り下げつつ空を飛ぶと、風を吸い込んで演奏になってしまう。しかも、ほうきに乗るキキは、チェロを弾き、黒猫ジジはヴァイオリンを弾きつつ優雅に飛び回る、ってんだから。どこまでぶっ飛んでくのこの人の想像力。か、と思えば、大晦日の鐘を合図に、町の人たちが一斉にマラソンしたり、隣町じゃ仲良く暮らそうと指切りしたりする。奔放だなぁ、思いっきりナンセンスだなぁ。しかも、どれもこれも絵柄として素晴らしいんだ。こりゃアニメにしたくなるよな。ナンセンス大好き人間の僕としちゃもう夢中で読みふけった。

 ただ現実離れしてるってだけじゃない。僕なんか思いつくナンセンスは、毒を含み、えげつなさを纏ったものばかりなんだが、角野さんの場合は、ほんのりと優しく温かい。ナンセンスで難しい依頼を一つ一つ片づけながら、少女と町の人たちの間に心が通い合い、そのぬくもりが少女の成長をそっと後押ししていく。こりゃ数十か国で翻訳され、世界の少女たちの愛読書になっているのも当然だろうな。うーん、良い本を読ませてもらった。資料読みも実に為になる!

 おっと、資料としても大切なヒントをもらえた。ヒントって言うより、刺激かな。それは、使える魔術が空飛ぶほうきだけだってことだ。魔女って言ったら、いろんな秘薬を調合したり、人を動物に変えたり、自分が消えたり、念力送ったりと、千変万化の超能力を思い浮かべてしまうところだ。そんなこと、舞台じゃ無理!やろうとすりゃひどく子供騙しのちゃちなものになっちまう。少なくとも菜の花座の実力じゃ。それが、一つの魔力で書ききれるってこと見せられたお陰で、気持ちはふっきれた。問題は、その力をどう多彩に使いこなせるか、そこが作者の想像力にかかってる。あとは、あんた、ガンバレ!ってことだ。

 「国際報道」の中で、角野さんが言っていた。想像力はどこへでも行ける。物語には力がある。それが何よりの叱咤激励!

コメント
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