菜の花座恒例、ってえか、菜の花座くらいしかやってない全編セリフ収録が終わった。1時間46分!いいとこだねぇ。途中、とちって録音し直しも何度かあったが、歌の部分と動きの間は省いたので、本番はほぼ2時間丁度ってことになるのかな。
なんだって全員集合で通し録音するのか、って言ったら、そりゃセリフの暗記のためさ。残念というか、だらしないというか、セリフの入りが滅法遅いメンバーがいるんだな、これが。シニアだろう?ってそれがそうでもないのよ。若い連中、いつもぎりぎり、悪しき伝統から抜け出せないでいる。まっ、働きながら合間見てのセリフ覚えだから、同情の余地はないわけじゃないんだがな。
いつもだと、とてもそんなセリフ回しじゃダメだから、って途中止めたくなることが多いんだが、今回は稽古始めて1か月半ってこともあって、まずまずのレベルには達しつつあるようだ。もちろん、こっちの要求水準には達しちゃいないけど。でも、まあ、苛立つことも少なく、静かに聞いていられた。
ただ、聞いてるだけじゃもったいない。演出として、できるだけ舞台をイメージしつつ追うようにした。動きを思い描いたり、演技エリアを決めたり、照明を考えたりしながらね。そうそう、場転についてもイメトレした。
で、ちょっと気になったのが、二つの物語入れ替わりだ。『異聞・巷説「安寿と厨子王」』タイトルにある通り、巷説=説経節の語るストーリーと異聞=山椒大夫方の言い分の二つが交互に入れ替わりながら進行する。ただ、どちらも登場するのは、安寿と厨子王であり、大夫と息子三郎なのだ。だから紛らわしい。説経節の定本を奪い合って、それを手にした方が、自分の物語を語るという工夫にはしてあるのだが、果たして見る側は正しく追いかけてくれるかどうか。菜の花座としても初めての試みだし、おそらく大部分の観客も見たことも聞いたこともない舞台構成だと思う。この新しい仕組みを早くくみ取ってもらうには、演出として何をすればいいのか、これは大いに思案のしどころだなぁ。場合によっちゃ、プログラムで暗示するなんて禁じ手も必要になるかもしれない。そんなこんなを思いつつ、役者たちのリーディングを聞いた。
後は、音響担当さんが上手くつないで、CDに仕上げてくれる。これもらったら、もう、セリフが入らなくってぇぇぇ、なんて言い訳は通用しない。台本放して、バンバン立ちに入っていくからね。おっと、演出としても動きや振りや音や光や、いろんなこと、決断して行かなくっちゃ、またまた、忙しくなるなぁ。田植えも近づいてくるしぃぃぃぃ。