ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

ナイトシアターIn書斎

2020-04-10 09:05:43 | 映画

 村上春樹のエッセー集、『遠い太鼓』読んでたら、小説以上にいろんな知識?アイディア?励まし?もらえた。面白かった情報はイタリア生活事情。あの国の人たちって、やたらおしゃべり、しかもやたらハグとキッス、だって。なるほどなぁ、で、このコロナ蔓延か、ってちょっと納得。それにしても、「食って、喋って、女口説く」それがイタリア男、って凄いなぁ。そこまで、楽天的に暮らせるって、もう、羨ましさ通り越して、崇拝の域だな。

 この本には、20年以上前まだ大ブレークする前の村上春樹が、執筆に集中したいとギリシャ、イタリアを中心に時を過ごしたその体験が書かれている。鋭い観察力と徹底した追及力、そして、持ち前の素晴らしい表現で、大いに楽しませてくれる。各地の人柄、社会事情、文化や料理、さらにはどこに行ってもランニング!なんかで、飽きさせない。その中に、夜の過ごし方についてもちょこちょこ書かれていた。

 優雅なんだなぁ!音楽会とか映画とかなんだ、毎晩じゃないんだろうが。朝イチ走って、もの書いて、夜は外食、終われば映画かコンサート。そうか、こんな贅沢な時間の過ごし方が、彼の豊潤な想像力と多彩かつ的確な表現のベースになってたんだ。そうだよなぁ、豊かな文化的体験が絶対必要なんだ。これは考えにゃいかんぜ。ネットとテレビ漬けの俺の脳髄はもう、干からびて、絞りに絞ったところで、薄っぺらな時事ネタくらいしか滴って来ない、3番絞り、番外絞りだもんな。

 そうか、動作の素早いデスクトップも買った、23.8型のモニターも揃った。ホームシアターにゃ遠いが、モニタースピーカーで音響システムも整った。ニュースとSNSで済ますなんてもったいないぜ。アマゾンのプライム会員にもなってることだしな。よしっ、夜は、映画鑑賞の時間ってことにしようじゃないか。

 以前は、リビングルームで、ノートパソコンをテレビモニターにつないで、映画を楽しんでいたのだが、どうも、神さんとの趣味の隔たりが大きい。例えば、アクションものとか戦争ものなんかは露骨に嫌悪して、そっぽを向き続ける。なんせ、常に、スマホまたはモバイルで沖縄や反原発関連の動画見てる人なんでね。こりゃお互いに、いやほとんどこっちが、気兼ねの塊になって、縮こまるわけさ。肩すぼめて見てたって面白いわけはない。自然と、テレビもドキュメンタリーとニュース、みたいに堅苦しく背筋正してしまうようになってたわけだ。

 それが、曲がりなりにも書斎らしきもの、まっ、実態は8畳一間の独身部屋、が整った。どうせ、リビングで顔つき合わせてたって、別々の興味関心で勝手なことしてるわけだし、だったら、この部屋で一人、好みの映画を楽しんでやろうじゃないの。この歳になって、共通の娯楽、でもないだろ。

 で、1週間前から、ほぼ、毎晩、映画を見る暮らしに移行した。

 まず、統合失調症の天才数学者ジョン・ナッシュの生涯を描いたサスペンス?映画『ビューティフル・マインド』。国家の秘密諜報局の一員として暗号解読に当たっているという妄想に翻弄される半生から数学者として立ち直っていくスリリングなどんでん返し、やられた。一昨日は、『美術館を手玉にとった男』。贋作の大家?マークランディスのとことん変わった贋作人生のドキュメンタリー。金も名声も興味なし、ただひたすら、名画の贋作を仕上げては美術館に寄贈し続けるお騒がせな人生。でも、見終われば、優しく見守りたくなるような、そんな人生もありだよなって静かに納得してしまう映画。昨夜は、孤独な死と対面し、その目前に迫った真っ黒な闇の不安と戦う超高齢独身男『ラッキー』の物語。うーん、近未来の俺だぜ!なんか、風変わりな人生、ばっかり選んで見てるなぁ。まだ、気兼ねとか、遠慮とかあるのかもな。

 一人、ひっそり音量絞って画面にくぎ付け、ちょっと疚しさもあるが、まっ、それもいずれ慣れるだろうさ。DTM同様、これから先、老後の生き生き人生をデザインしてかなくっちゃな。って、言っちゃいるが、この経験、なんか、劇作に生きてこないかなぁ、なんて、色気はたっぷりなんだぜ。

 

 

 

コメント
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