自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

異質なものへの受け入れ[ルーマニア編~前]

2014年03月09日 | 神秘と神の大地”インドの香り”
日頃からの気持ちのつながりを大切に・・・・2014・3・09
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異文化間の違いを受け入れ、自ら現地の文化を楽しむ姿勢で 
ビジネスの成功を導いた 元ソニー韓国社長糸木氏の
エピソードをご紹介している。   

糸木氏からは、取り上げる際の許可を得るとき、
“自然治癒力セラピーに興味を持っている方たちが、ビジネス論
として書かれた内容に魅力を感じるだろうか?“というご質問を
いただいた。
 
それに対して、“日常の中に本物の生き方や真理の道が
隠されているから、糸木氏の体験はそれに深くつながる要素が
あるのでご紹介させていただきたい。“と返答し、主旨を理解
していただいた。


 
”人を信用できる人が一番強い”、それは 異国での企業戦士に
糸木氏が贈るメッセージ。
人間 生きて行くうえで、あるいは 自分自身を見つめる上でも
最も大切な姿勢の一つであるように思う。

糸木氏はインドからルーマニアへ拠点を移す。
そこでの体験が今日のお話しとなる。
著書から抜粋してキーワードを取り上げてみると・・・

著者の言葉 ”学び~そのⅠ”
“必要なときにロジカルなアプローチを有効に機能させる
ためにも日頃からの気持ちの上でのつながりをしっかり
作っていくことが大切だと思います。“

糸木氏がルーマニアを担当されたとき、まず最初の仕事
として、販売店のショーウィンドーの埃を払うことから
始めようと思った。 

以下引用・
“ルーマニアの販売店では テレビが店の入り口に
どんと置かれていたり、ウォークマンが硝子ケースに
厳重に守られていたり、ショーウィンドウの商品が
うっすら埃をかぶっていたりと、日本ではあるまじき
光景がいたるところに見られました。


これはある意味、国・地域による商売のスタイルの‘違い’
です。違いを尊重し、現地に合わせる姿勢は大切ですが、
この場合は逆に、異なる観点を取り入れることで、
現地が得られるメリットが大きいと思われました“
(引用終わり)

そこで 販売店の陳列方法を改善させようと糸木氏は
固く決心する。
日本にいれば、気が付いた人が、ちょっとした片付け
や掃除をするというのは 組織の立場上下関係にかかわらず、
抵抗なく行われることかもしれない。

ところが、ここで糸木氏が”決意した”と語るには、それ相応
の異国文化の価値観の相違があったからのようだ。

話しは多少飛んで恐縮だが、このことで思いだした。
私自身、2年足らずではあったが、デリーの小さな日系会社で
働いたことがある。

毎年5~6名のエンジニアが日本の本社の工場で技術を
修得しに 半年間ほど研修に出かける。
日本から社長が来て、インドに帰国したばかりの、彼らに
漏らした言葉があった。
”アロック(スダ注:日本研修したエンジニアのひとり)
達は、日本では 機械の周辺や仕事場を毎朝、自主的に
綺麗に掃除していたのに、インドに帰ってきてからは、
自分の机の下が汚れていても知らぬ存ぜぬとは・・・”
机の下に落ちているゴミも拾わなくなった彼らを見て、
その変わりように驚いたのだ。

でも、これは当然といえば当然だった。
インド社会では 床掃除といえども、カースト(階級)
にいよって、それを ”していい人”と ”してはいけない
人”のけじめが社会生活の中にあった。 

社長の言葉に対して、たぶん彼らはこう理由を言うだろう。

”もし自分たちがゴミを拾って掃除したら、その仕事しか
就けない人達の働くチャンスを奪ってしまうことになる
でしょう。”

さて、糸木氏の、”店頭のクリーニング”という決意が
ルーマニアの現地社員に与えた戸惑いは少なくはなかった
だろう。

上役からの命といえども 従業員たちは、プライド高き、
国際企業のエリートという自負があるから、何故、自分が、
”店の掃除を?” と 抵抗があったことは、想像に難く
ない。

実際 その様子が以下のように書かれている。

糸木氏は社員にクリーニングキットを与えて、商品の埃を
払うように言ったところ・・・以下引用。

“彼らは当惑しました。‘それは販売店の人たちがする
べき仕事です。私たちの仕事じゃない。’と”


そこで、糸木氏自ら、率先して、クリーニングキットを
持ち歩いて 気が付いたところから、掃除することにした。
その上で理論的に次のように、彼らに言い聞かせたという。

“同じ商品であっても埃をかぶっていると、価値が違って
見える。”
“できるのだから、手伝ってあげればよい。きれいに
見えた方が良いだろう?“ 

指示を与えることは誰にでもできるだろう。
たとえば、日常生活の中で、子供に親が“~すべきだ”と
教えても 親がそれに準じた行動をとっていなければ、
子供は親の命令をスルーする。
説得力に欠けるからだ。

このエピソードを読んで 同様の話を、鈴木おさむ氏から
聞いたことを想いだした。
印度の商工会議所主催の講演会に機会があって出席した
時のこと。

スズキマルチの会長 鈴木おさむ氏の講演だった。
当時(2005年) スズキ社はインド国内の車の需要
で小型車にかけては ダントツに他社を引き離し、
優勢をはかっていた。

しかし、会長の話では、就任した当初は インド社会
の社会的上下関係が根強く存在していたので 
なかなか社内での効率が上がらなかったそうだ。

そこで まず、会長自ら率先して、社員食堂でランチ
をとり、誰彼となく、役職や仕事に分け隔てなく、
隣に座った社員とコミュニケーションを平等に
とる努力から始めた。

すると、社員たちに、当惑した表情が浮かんだという。
社長自ら、同じテーブルで部下と一緒に同じ食事を
とるという 前代未聞な話は、階級(カースト)のルール
では理解できなかったのかもしれない。

社長自ら、部下と、同じ作業服を着て、一緒の食事を、
社員たちのカーストに関係なく、皆でとり、楽しく談話
する。
こうした努力は、少しずつ、会社の空気を変えていき、
縦関係から 縦横関係へと 結びつきができてきて、
相互理解と伝達に役立ったという話だった。

この鈴木社長の話と糸木氏のエピソードに共通する
ところがある。
(以下引用)

*他者に自分の望む態度を押し付ける以前に、自ら率先
してそれを実行すること、
*そして、実行しながらも、論理的になぜ、その行為が
必要なのか説明を加えて 納得してもらう(引用終わり)


 
学び(1)の言葉を実践された糸木氏はこう述べている。
(以下引用)
“販売店での店頭をきれいにする取り組みは、すぐに
劇的な変化が現れるものではありませんでした。
しかし、一年ほど継続し、お店の側にも合理的な陳列への
意識が浸透し始めたころから、各販売店での売上げが眼に
みえて伸び始めたのです。

ルーマニアでのビジネスは 長めの助走期間を経て一気に
離陸したのでした“(引用終わり)


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引用箇所:”日本人が海外で最高の仕事をする方法” 
糸木公博著 英治出版、2013・11・25 

 糸木公廣氏について)
1957年東京都生まれ。
1990年ソニー入社。
1993年から20年間にわたり、9か国に海外赴任。
社長(3か国)、欧州本社マネジメント歴任。
ベトナム、韓国では
本社より社長賞(優秀業績賞]受賞。
2012年8月ソニー退社後、現場の観点に基づく
コンサルティング・研修を主軸にした
シンクグローブ・コンサルティング設立。
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