自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

真の自分につながらない限り不安は残る

2013年04月19日 | 自然治癒力・生命力・発揮する考え方

その不安やアンバランスな感情が病を併発していく 

平成25年4月19日

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自分を求めるということ。自分の内に眼を据えてみること。

英国の哲学者、アーノルド・トインビー(*1)は 

“現代人は外にばかり、眼が向いていて、内には眼がついていない“

という。

私たち誰もが、"自分自身になる勇気"を持つことが難しい時代になって

いるのかもしれない。

他人の価値観に合わせ、他人がどう思うか? 

社会に受け入れられるか?

自分の評価はいかなるものか? 

それを、自分の中の自分の眼ではなく、無意識に他者の眼

とおして行う。

自己の、本来性を見失う、それが、現代の人の心の病の根源

でもあり、自然治癒力の発動の妨げになっている とも考えられる。

                          

大人の発達障害会社などの社会的環境と人との関係になじめず、

鬱になったり、昼休み、トイレの個室に入って、

一人で昼食をとる。昼休みのわずかな間も、他人との言葉がけや 

人間関係が苦痛になっている。ある意味、

自己喪失、あるいは、本来の健全な”自分への自信”の喪失といって

いいかもしれない。なぜ発症するのか?・

                        

人は、ほんとうは、本来の価値ある自己の存在を知っていて、

それを求めているのだと池見博士は言う。 

たとえ無意識であるにせよ・・・そして、求めることに疲れたり、

求めるまでのエネルギーが 他の日常の業務の

ために消えてしまうと、やはり、無意識に、満たされない感覚

心の隙間に覚える。満たされない感覚は一時的に

楽しい、愉快な、刺激或る感覚的な体験にすり替えることで

忘れて行く。

池見医師は、それを”失われた自己に対しての、無意識の苛立ち” 

著書の中で逝っている。

現代人はその 苛立ちを”隠す”ために、もしくは、紛らわせ

 ”一時的に吹き飛ばす” ために

都合の良い、”近代文明の隠れ蓑”を使うことを知っているとも言う

(以下引用)。

 

“近代文明は多くを発明している。

動物的な本能を刺激する俗悪な映画、LSD(麻薬ではないが、

幻覚を起こす化合物)なんかなくても、甘いひと時の興奮と

幻想に誘いこんでくれる、流行歌手あぶくのような、

射幸心をそそる。


競馬や競輪、そんな金がなくても、たっぷり時間を

浪費させてくれる、テレビがある。

深い茶の心や花の心などは教えなくても、中年婦人の欲求不満

のはけ口になる、婦人文化サークルなども盛んである。“

 

と 著書の中で、池見博士は、述べる。


これは大変厳しい、観方だ。

求道者からみた俗人の世界観への忠告のようにも感じる。

お茶やお稽古事や映画鑑賞、競馬競輪などの庶民の楽しみは、

実は失われた本来の自己意識に繋がっていないために

生じる不安感などの解消に過ぎないという、池見博士の意見に

私は在る意味同感である。


が、様々な段階がそれぞれの人の人生にはあるので、

それが生きがいになっている人たちもいる限り、一概に、

”欲求不満のはけ口”として見ることは、誤解を生みやすい

ではないだろうか。

 

さて、このように、真理への求道者でもあった

池見博士は、こうした形で欲求不満を抱える、

現代人の心身症的になりかねないストレスの多い

現代において、医師の立場から、心身療法の方法を発案した。


それを、“セルフ・コントロール” と名付け、博士は、

提唱していく。

人は、自然と、本質的な自己を求める” という意識を持ち

自覚し始めると、セルフコントロールの道に一歩近づくという。

 

池見博士は次のように言う。(以下引用)

“何かを食べていると、そのような心の苛立ちと空しさを、

ごまかせることに気がついてくる。 

やがては、食物を喉まで詰め込まないと落ち着かなくなる。

食べては吐くという繰り返しになる。 

病的になっていく場合もその根源には、心に

満たされない何かがあるからだ” 

                         

こうした心身症の症状が出た背景には、心の声に蓋をしてきた

という心理的要因がある。

たとえば以下がそうだ。


1.  胃潰瘍の患者の場合~“何のための事業なのか?”

という意味を考えずに事業欲、物質欲だけが独走して、胃潰瘍

の再発を繰り返している。

心理的背景に、幼児期に家が没落して、祖母から人生の

出世コースを行くように、厳しく、言われ続けてきた。

今でも、その患者の心に、祖母の叱咤激励の声が心に、

響いているという。


際限なく事業の手を広げたために(祖母の教えを守って)

子供たちは非行にはしり、妻は忍従一筋の、冷たい

家庭しか築くことはできなかった。

家庭を顧みる余裕もなかった。                             


2.  慢性下痢の患者の場合 ~ アメリカに留学した学生。

医師は患者の下痢を神経性の下痢と診断したが、本人は、

納得がいかないという。友人たちも多くでき、学校も面白く、

恋人ともうまくいっ ているという。


環境適応が十分にできていて、神経的になることは何

もないという・しかし、結局、慢性の下痢は、適応すぎること

による“不適応と診断された。日本と異なる、アメリカの

文化に対して、せっかちに表面的に適応しようとしたあまり、

本当の自己(内面)の本質を忘れ、外的適応による

不適応”と判断された。(以上引用)

 

このように多くのメンタルな要因をかかえて様々な症状が体の

現れてきているという。

 

 

*1: アーノルド・J・トインビー

(Arnold Joseph Toynbee, 

1889年4月14日 - 1975年10月22日)

イギリスの歴史学者。

*     池見 酉次郎(いけみ ゆうじろう)博士について:、

大正4年(1915年)612 - 平成11年(1999年)625日)

日本の心身医学、心療内科の基礎を築いた草分け的な日本の医学者。

旧制福岡中学(現福岡県立福岡高等学校)、

九州帝国大学医学部卒業。

戦後、アメリカの医学が日本に流入した際、

心身医学の存在を知る。昭和27

1952年)にはアメリカミネソタ州のに留学し、

帰国後、日野原重明、

三浦岱栄らと共に昭和35年(1960年)

日本心身医学会を設立し、初代理事長になる。

翌昭和36年(1961年)九州大学に

国内最初に設立された精神身体医学研究施設

(現在の心療内科に当たる)教授に就任し、

内科疾患を中心に、心と体の相関関係に

注目した診療方法

を体系化、実用化に尽力した。

九州大学医学部名誉教授、自律訓練法国際委員会

名誉委員長、日本心身医学会名誉理事長、

国際心身医学会理事長、 

日本交流分析学会名誉理事長などを歴任。

書に「心療内科」、

「セルフコントロールの医学」などがある。

平成11年(1999年)625日肺炎のため、

福岡市内の病院で死去。84歳。 

参考)

”セルフ・コントロールの医学” 

s・57年9月1日 日本放送出版協会

 

画像提供:yahoo

 

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