インド・ニューデリーでの時計の巻き戻し 2014.3.25
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デリー国際飛行場に 3月19日午前0時に到着、迎えの車で拙宅に着いたのが午前1時。
それから 日本からお土産に持ってきたバッテラ寿司などを食べながら談笑しているうちに午前3時。
日本時間 早朝6時半に就寝。 数時間体を休め、翌朝現地時間8時(日本時間11時半)に起床。
日本の家族に ”無事到着コール”をしようと思っても息子たちの携帯電話がなぜか国際電話が
急にかからなくなったと言っている。今クレームをしているところだという。
”明日まで待てば直ると思う・・”すでに彼の感覚もインド的だ。 一応着いたら、日本にいる家族に電話すると
言ってきたのだから”今でしょ!”~と言いたいのだが、なんだか、間合いがずれてしまう。
そこで 24時間後、20日昼、バックパッカーの集う安宿で有名な所、 外国人相手にチップを売る店があるという
場所へ息子たちの好意で出かけた。
昨今、インドに住民票を置いていない外国人には携帯電話のチップを一般の街中で手に入れることは
テロ防止のせいか、身分証書や煩雑な書類提出などの規定があって、面倒くさい。
車で小一時間ほど走らせる間、日本の生体時計がはめ込まれている体に徐々にインド的な悠長な時の流れの針の感覚が
戻ってきた。 さすがに かつての のどかな時代に 良く出くわした、路上の牛の群れを見かけることはなかったが
歩道で繰り広がれている風景と風情はインドに”帰ってきた”感を 味わうには十分だった。
サドゥーと呼ばれる、髪の毛も髭も伸ばし放題の修行者と親密に 一目もはばからず、座り込んで
話し合っている歩行者の姿、
片足の無い物乞いの前に置かれた 空き缶に無造作にコインを投げる人、それをすかさず、
手に取って確かめる物乞いの表情、寝ているのか死んでいるのかわからないほど動かずに体を横たえている人、
その傍らを気にも留めず歩いていく通行人、眠たいのか物思いにふけっているのか、瞬きせず、眼をうつろに大きく
開いてあらぬ方向を見つめて立っている、お屋敷の門番さん、
そんな情景に心を奪われていると、いきなり、車窓のそばで、曲芸師が踊り始めて、窓をたたいて、小銭をねだる。
少し停車している間に、すかざす、横幅すぐわきに、5CMぐらいしか間隔を置かないで ほかの車が割り込んでくる。
走行車線も何もない。 2列で時には3列なして 車が路上を走る。
実際、事故を目撃した。トラックに追突して 少し跳ね上がって止まった車。
完全にボンネットも、バンパーも 一瞬にしてグシャっと潰れた。 運転してくれている息子の同僚は
”スピードが遅くて(40K/h)もぶつかると、確かに車は刎ねるんですね” と 無表情で一言。
そうこうして、目的地近くに車を駐車させ、パールガンジと呼ばれる一画を目指して、小さな路地をいくつか左右に
曲がりながら入っていくと 7色に光るほどの、美しいクジャクの羽を持った若者が ”お土産に如何?”と付きまとう。
クジャクの羽は、デリー郊外に行けば 野原で見つけることができるし、拙宅の前のジャングルにもクジャクは
飛んでいるから、印度にいるとそうそう、珍しいものではない。
クジャクの羽は、縁起が良いものとされていて、部屋の飾りに置いておくのも 悪くない。
半分の値段に値切って交渉していると、次から次へと売り物の入った籠をを片手に ”如何?負けておくから。
いくらで買う?”とひつっこく付きまとう路上商売人達が増えてくる。
その中に、小さな太鼓を打っている行商人がいた。900RS[日本円で1,500円ぐらい)だという。
本物の”造り”っぽい。 木製の筒に皮をピンと上手く張り合わしているから、彼が弾くと良い音が響く。
かれこれ10分ほど付きまとわれて、”500RSでどう?” と 半額近くに、値を下げてきた。
思わず表情を見ると、痩せたからだに 必死な様も痛々しい。
”生活が苦しんだろうな~”と同情の心が湧く。息子たちはそうした物売りの声に立ち止まることなく、
お構いなくどんどん歩き続ける。
携帯電話の番号を入手して、目的を果たして帰路についた。 すでに、夜8時近い。
家に帰ると、埃(ほこり)にまみれた体をさっぱりしようと、さて、シャワーと水道をひねったが
一滴も水が出ない。
” この場に及んで・・・” と力が抜ける。 デリーでの断水は珍しいことではないが 今回の断水は、
感嘆ではないようだ。
翌日朝まで辛抱して、水道やを呼んでもらい、トイレのパッキンが緩んでいたせいで水が漏れていたことが
わかって、修理してもらい、ホットした。 原因がわかれば何のことはない。タンクには水がたまって来るのだから、
”漏れ”を治せばまた普通に水道の蛇口から水が出てきた。
有り難い。
インドの生活は、水一滴にも感謝のできる生活だ。こんな小さなことが、自分の感覚をジョジョにインド生活
に戻してくれているようだ。
さらにありがたいことは、10年間働き続けてくれているサントシさんが まだまだ元気で自分が帰印したことで
連日、朝から、通いで来てくれていることだ。
朝目覚めて、お祈りが終わると、彼女の温かいチャイとチャパティと、塩味のない、簡単なインド料理をいただける。
そして、目の前に広がった 草原を見ながら、自分の頭をからっぽにする。
とは言っても、この、ブログのコピーは気になるので、チェックしながら、大方の時間は一人で 部屋に籠って、
過ごしている。
何日かしないうちに、友人たちからの電話もかかってき始めた。
明日からは、お世話になった方達へのご挨拶をはじめとして、喧騒なデリーの街にくりだすことにしよう。
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