連休中日・オットが龍馬伝を見ているかたわら夕食の後片付けをしていたら玄関のチャイムがなった。
宅急便。それもクール便。
季節柄お中元だね。
差出人を見てびっくり ドラ(ムスコ)からではないか。
ブルーシールアイスクリームの詰め合わせ36個分。
「どうしてあいつがウチに送ってくるんだろう?」とワタシ
「これから誰かに配るんじゃないか?」とオット
ドラの携帯電話はずっと留守電(あとで聞いたら故障中だったらしい)
どうしたらいいのか悩む夫婦二人。素直にドラがウチで送ってきたと信じられない夫婦二人・・
このままじゃ溶ける。しかしアイス36個分のスペースを冷凍庫に空けるのは至難のわざである。
色々整理したり肉や魚を冷蔵庫におろして次の日なるべく使う算段をしたり・・・
「どうせなら一つずつ食っちゃおうぜ」とオット。
頭の中を???が占めながらもブルーシールアイスクリームは結構おいしかった。この日はドラと連絡とれず。
そして月曜日・・・
オットはある法律改正に伴う説明会に都心の会場まででかけていった。出張から帰って来たばかりの休日なのにご苦労なことである。
ムスメも出かけて一人になったのでのでジムにでも行こうと出かけて帰ってきたらうちのドアのカギが開いていてドラとM子が居間でくつろいでいる。
「あっ すみません お留守中に勝手にお邪魔して」とM子
ドラに
「どうしたの?あのアイス?」って聞いたら仕事関係の付き合いで買ったらしい。寮の自分の部屋には冷蔵庫がないのでお中元代わりにウチに送ることを思いついたらしい。
「そうならそうとあらかじめ言いなさいよ」と言ったら
「サプライズだよ。気が効くムスコだろ」と得意そうなドラ。
確かに36個ってのはサプライズだね。それなら遠慮なくいただきましょう。
改めて三人でアイスクリームを食べて一緒にWii fitで戦った(何してるんだ ワタシ)
そして
「オレたちこれから用事ないんだけどさ、おかん 今日の夕飯は何を作るの?」 何作るのってオットはセミナー後懇談会で外飯だしひとりだから昨日の残り物くらいで済ませようと思っていたんだけどね。
「オカンの手料理食べたいな~ なっ M子!」M子困ったように笑っている。
わかったよ 作りますよ
幸い作りおきのラタトューユがあったのでそれをベースに冷凍牛肉を炒めたのを混ぜ合わせ、更に冷凍ご飯をタマネギのミジン切りとバターとあわせて乾燥イタリアンパセリと混ぜ合わせたバターライスの上にぶっかけ 溶けるチーズを載せてオーブンにかけてライスグラタンにする。
ちょうどよくいただきものの志摩観光ホテルのアワビのスープの缶詰があったのでもったいないがそれを放出。
カリフラワーがあったので茹でてバルサミコとオリーブ油で和えて生ハムと混ぜ合わせる。
トマトは角切りにして NZで買ってきたチーズの角切りと昨日冷凍庫を空けるために冷蔵庫におろしておいたイカを茹でてガーリックオイルで下味をつけたのと混ぜ合わせたらちょうどいいお味。
ここまで30分の早業(荒業) M子よ、これが主婦歴25年の技であるぞ。心するように(すでに姑目線)
「わ~ おいしそ~」という二人の声に (ふふふん)と得意になりながら食卓に向かう。(写真を撮ろうと思っていたが次に発生したハプニングのために忘れてしまった)
「うまっ!」「おいしい」という賞賛に (オホホホ ざっとこんなもんよ)と思っていたその時・・・
PCの壁のすぐ上に 黒いものが横切ったのを発見。 ゴキではないか・・・
それも禍々しいまでの大きいヤツと見られる。
とっさにゴキジェットプロをむんずとつかみ窓辺に突進するワタシ・・・
ゴキの横切った先の植木鉢の後ろに向かってゴキジェットを噴射。
ワタシのすばやい動きに何事かと注目していた二人、ゴキブリだと悟ったらしい。
ゴキが苦手らしい(そりゃぁ好きな女の子もいないと思うが)M子 すでに中腰で逃げる体制である。
ゴキジェットに追い出されたゴキ、床を走る すかさずもう一度噴射。
物見高い犬がこちらに来そうになるのを「OOちゃんを押さえてて!」と二人に頼み、ゴキジェット大量噴射に力尽きて足を上にもがいているゴキをキッチンタオルとビニール袋を重ねたものでわしづかみにしてゴミ箱へ・・・
ざっとこんなもんさ フン
(鼻息)
石鹸で手を洗って何事もなかったように食卓につくと
「すっご~~い」と心からの尊敬って感じのまなざしと賞賛の声をM子から浴びた。そこには 「畏怖」という感情も混ざっていたと思う。ここがソンケイのしどころかい? どっちかというと料理早作りでこのソンケイのまなざしは浴びたかった・・・
ゴキブリをわし掴みにするのがそんなにたいしたものなのだろうかM子よ。
ドラが
「おかんも 20代の頃はこうじゃなかったハズだよ。M子と同じにキャーキャー言って騒いでたに決まっているよ」
なぜか フォローに聞こえるそのコメント。彼女の前でおかんがゴキブリ退治したら悪いのかい?
「これからお前もさ、ゴキブリが出たら俺に電話するよりおかんに助けを求めたほうが早いぞ」ってあんたの彼女のゴキブリまで退治に行く義理はないぞ、ドラよ。
思い返せばオットは ドラやムスメの小さい頃は殆どウチに居なかった。今も忙しいっちゃ忙しいが 当時は一週間職場に泊まりきりとか帰ってきても滞在時間5時間とか日常茶飯事であった。
両腕に幼い子を抱えてお風呂に入り、チョロチョロ動き回るドラを目で追いながら、眠くてぐずるムスメをロッキングチェアに寝かせて足で揺らしながらご飯を作ったこと。信じられないくらいの当時の薄給に加えて体育会性質で後輩にはどんとご馳走してしまうオットのおかげゆえに新聞代にことかいたので月末の集金に居留守を使い、なぜか金があるだろうって誤解してかかってくる 今と変わらぬ「マンション買いまへんか?」という悪徳不動産屋からの電話におびえ(今は鼻先であしらってるが) そりゃ~ゴキブリだって嫌だけど 自分が退治しなきゃあとは幼子だけっていう環境なら息の根を止めるまで自分で対処せざるをえない環境であった。
両親と祖父母とオトナの多い家庭で育ち、先回りして色々やってもらって育ち 大学の頃までは「おっとりした」という形容詞も似合ったワタシなのに~~!!!(と声を大にして言う)
しょうがないじゃん。おかんが強くなったのはオットのせい。父親不在であんたたちを育てたせいなんです。
今思うともっと泣き言を言えば あそこまでオットも仕事に没頭しなかったのではないかと思う。何でもっと文句言わなかったんだろう・・・
オットと同業者でももっと家族といる時間を大切にする主義の人もいたものね。(今は当たり前のような風潮ですが)
髪振り乱して殆ど一人で子育てに没頭した30代。そりゃ~それなりに楽しいこともあったけど今の目線で当時の自分を振り返ると あまりにも無知で世間知らずでどこかで空回りしていた部分もあって可哀想だったな~と思う。
それでもどうにかドラは自立して両親にお中元を贈ってくるくらいには成長してくれた。
そしてその時期があったから 今はかなり自由がきいて好きな事もできるし 家族からも文句が出ないんだけどね。(言わせないとも言ふ)
ムスコのお中元とムスコカップルとの会食から話がそれた。
ムスコのお中元を一番喜んでいるのはムスメである。寝起きに冷凍庫をあけて 「いいなぁ 朝起きるとおいしいアイスがある生活って最高!」と毎朝嬉しそうに食べている。