おかんのネタ帳

日々の雑感や興味のあることを書いています

ケイン&アベル 大阪初日

2025-03-11 17:43:16 | 演劇・舞台
『ケイン&アベル』大阪公演。新歌舞伎座、といえば、これですよね!







一昨年、こまつ座『闇に咲く花』の時にも上がるかなと思っていたのにあがらなくて。
主演の今回はあげてくださいました、幟旗。
風でなびく青い幟に「松下洸平」の文字が映えますよね~~
毎週やってるラジオでも「写真撮りたい」っておっしゃてたけど、ちゃんと撮れたのかな。



さて、その『ケイン&アベル』大阪公演は10公演。
初日と中日、前楽と、大千穐楽に行ってきました~~~散財ですが・・ 行くよね、そりゃ!!(汗)

・・とはいえ、早々にチケット完売。東京公演の評判とチケット完売を経て、新歌舞伎座も見切り席を販売したけど、それも完売。
あげく?立見席までも販売したけどそれも完売してしまうという・・・東京初日から42公演、あっという間に、すざましい人気ミュージカルになりました。
世界初ミュージカルですよ。これってやっぱり、舞台化成功ってことですよね??



ベストセラーにもなったイギリスの、ジェフリー・アーチャーの原作。

東京初日の感想は → こちら

東京 2月6日の感想は → こちら

2回観たのに、まだ見落としてたことがあったなと、もろもろ発見が多い大阪初日でした。
原作を読んでたゆえにそのストーリーでとらえていたけど、舞台ならではの解釈、見せ方があったんなと。
原作を読まなくてもストーリーがわかるものになってたんやなと、改めて。

新歌舞伎座はシアターオーブに比べると狭いので、あの大きな白いキューブのセットを二つ、どうやって動かすのかなと思ってましたが、立ち位置などがかなり前になってましたね。
なので、初日は3階のセンター2列目で観てたんやけど、役者さんの足元が見えなかったり、お顔のあたりに手すりが被ったりで少しストレスが~。
とはいえ、客席からステージが近いから、セットの上で演じる役者さんは、まさに目の前って感じで、迫力があります。
それと、オーブではステージの奥にあったオーケストラボックスが、新歌舞伎座では奥の二階にありました。だからオケがよく見える!

大阪初日でも、リピーターの方が多かったのか、タカラヅカファンの方が多かったのか、最初の咲妃みゆさん演じるフロレンティナが登場してきたところで拍手が起こりました。
わ~、すごい、ここから拍手があるんや~って思いましたね。
「♪アメリカンドリーム」でも熱い拍手があって、ニューヨーク、ハーバード・クラブの「♪最高の時代」では手拍子が!

東京初日には手拍子はどこもなかったと思うんやけど・・・すごいね。初見の人もいると思うのに、ノリが、もう、大阪ですよ!

ちなみに、プラザの「♪ゲームのルール」は、一階席だけに手拍子があったような・・・3階席は静かでしたね(汗)
二幕の、若い二人(リチャードとフロレンティナ)が歌って踊る「♪手袋みたいに」は3階も手拍子あったかと~

洸平くんのケインが登場するハーバード・クラブのシーン、3階からはしっかり見えましたよ。奥の上手から出てきて中央へ。
アイソレーションからチャールストンのステップで踊るケイン、ほんとにしなやかですねぇ。

「♪父の名に恥じぬよう」
この歌い方が少し変わってました。台詞から歌いだすのはよりナチュラルになり、一つ一つの歌詞に力がこもっていて、ラストのロングトーンが、
「・・あの父に」一息入れて「恥じぬよ」でまた一息入れて「おぉ~~~~」になってました。(伝われ~!)
東京では、一息入れて「恥じぬようおぉ~~~」でしたよね。
喉の調子を見ながら、より確実にロングトーンができるように歌い方を変えているのかなぁと。
シングルキャストで33公演目ですもんね~ けして絶好調ではないんやろうとは思うけど・・・

狭くて横長というイメージの新歌舞伎座なので、演出が少し変わってましたね。
例えば、銀行マンになったケインとマシューのシルエットが歩いていき、移民船でニューヨークに来たアベルとジョージのシルエットとすれ違うというシルエットの動画は、オーブではセットの白いキューブに映し出されていたのが、大阪では扉幕が閉じてそこに映し出されてました。
ストーリーテラーのフロレンティナが扉幕の前、上手端でナレーションしてました。
フロレンティナの咲妃みゆさん、めちゃ近い!って感じです~

なので、その扉幕が左右に開くと、プラザホテルのレストランのシーンになるんですね。
オーブでは、暗転後に下手のテーブルにケインとアラン、マシューが滑り込んで座るというところが見えて、50秒のお着換えを妄想してましたけど、大阪では、扉幕が開いた時点で、3人は椅子にどっしり座ってました! 慌ててる様子もなく(笑)

二幕の、戦争へ行ったケインとアベルを妻たち~ケイトとザフィアが迎えますが、それぞれの家のドアが、ステージ正面に並びました。青いドアと赤いドア。
・・・・オーブでは下手、上手で舞台斜めに登場してたかと。
その前で、真正面を向いて二人が並んで歌いました~
「♪戦争からもどって」、あのお二人の歌も素晴らしかったな。キレイにハモるんですよね。ほんとに素敵!!

確かめたいなと思っていたところもいくつか確認。

老いたケインとアベルが対峙するラスト。
「♪何のために」を歌うシーンで、歌詞からすると、アベルはドイツでケインを救ったことを思い出し、プラザで会ったことがあることをケインは思い出します。
それはやっぱり、あの銀の腕輪がキーなんですよね。

あの銀の腕輪。冒頭で、幼いアベルの腕に男爵がつけてやるんですけど、白く光るんですよ。フリフラみたいに!
プラザでケインが見つけたときはピンスポ当たってたけど、それ自体も光るんです!! 
プラザでも戦場でも、確かに光ってました。そして、対決の場の銀行でも。照明さんがオンオフしてるんですかね???

で、その腕輪。ケインとアベルが初めて会うプラザのレストランで、給仕のアベルがワインをグラスに注ぐときに、ケインが腕輪に気づいて思わず目で追います。
(・・・・原作によると、高級そうな腕輪を給仕が着けてるのがケインには不自然に見えたらしいですが)

ケインに見られて、とっさに違うほうの手で腕輪を隠すようにするアベル。その時、マシューも気づくんですね。

「プラザじゃウエイターに手枷をするのかい」

「反抗的な者に限ります」 と落ち着いて応えるアベル。

思わず、マシューをけん制して、「ボクの連れが、すいませんね・・・」と謝るケイン。

「あなたのお友だちは面白い方ですね」 と応えるアベル。


この後、アベルはジョージに、「笑えない客のジョークもうまくかわす」というような歌にして給仕の心得的なことを言うんやけど。

原作でこのシーンを探したら、シチュエーションは異なるけど(ケインの祖母たちとマシューの両親が大学合格をプラザで祝ってくれる席でした)
アランが「君のお父さんが生きてたら、今日の君をさぞや誇りに思うだろうな」と言ったので、アベルは、ケインのことを(この若者は、こんな誉め言葉に値するどんな偉業をなし遂げたのだろう)と思うんですね。
そして、(世の中にいるケインのような若者と対等になれるようになろう)それを人生の目標にしようと決意します。

舞台では、この「手枷」のシーンが、後々のケインへの敵対心への種火になってましたね。
ちなみに、この「手枷・・・」の台詞は、原作ではないけど、ドラマ版(1980年代に日本でも放送された)ではあるんですよね。しかも、ケインが「手枷するのかい」って言うてるらしい~~ 

ケイン&キャボット銀行に融資を申し込みに来たアベルとケインのシーン。融資を断って言い合いになった後、アベルの手の腕輪に気づくケイン。

「その腕輪・・・どこかで見たことがある」 

「あぁ、そうだ。俺たちは前に会ってる。プラザじゃウェイターに手枷する、あんた好みのね・・・」(こんな感じの台詞でした~)

あの時「手枷」と言ったマシューとケインのことを、アベルは忘れてなかったんですね!
リロイの言い残した「あの若造」が、あの時の青年で、まさに自分とは真逆の立場にいることに、アベルは怒りが湧き上がるんです。

ちなみに、この銀行でのシーン、頭取のアランに「銀行は何人にも融資をストップする」と言い渡されていたので、ケインは銀行家として真面目にそれを実行しようとします。
アベルに渡された書類を手にしたまま、チラッと腕時計を見たりして無関心な素振り。それでもアベルに促されて書類に目を通すうちに、徐々にアベルの言葉をきくようになっていくケイン。
こいつやりよるな、ってほんとに思い始めるのがわかるんですよ。このへんの表情の変化が繊細で、ほんと、上手いんですよね~ 

アベルと決裂してからケインは葛藤します。
「救いたくないか 救えるはずだろう」と歌うケイン。「活かせなければ何が財産だ」
父からの教え、矜持、一人の人間としてやるべきことをやろうと、このとき思うんですよね~~

そして、ここからの一幕ラストの二人の歌が、ほんとにすごい。
東京初演の時は丁寧に歌うケインが、アベルのパワー負けそうな気がしたけど、さすがに33公演目、負けてませんでした。
二人の掛け合いの歌「♪命ある限り」、やや乱暴にさえ聞こえるアベルの歌をけん制するように、鋭く歌うケイン。
歌い終わって二人が帽子をかぶった瞬間、拍手とともに「Whoooo~~」という大きな歓声が大阪でもありました! (感動~!)

腕輪でいうと、二幕のドイツの戦地。
アベルはケインと気づかず助けて、ケインも、ここで銀の腕輪に気づくそぶりはなかったんですけどね。
でも、アベルと同行してた兵士が、「そんなものを着けて、それは規約違反だ」みたいなことを言うんやけど、これは腕輪のことですよね?
そして、ケインがソロで歌う歌詞ですよ。
「光る何か」が見えたようで、「天国への道なのか、違う、だれかだ」 というのがあるんですよ。これって、やっぱり、腕輪のこと??アベルのこと?

だから、老いてからの二人が歌う「♪何のために」で、すれ違う時に気づく、「あれはドイツだ」「プラザでも会った」につながるのかなと。

ほかに気づいたところは・・・
原作にある経済小説の部分が薄まって、家族の物語にしたんやな、というところです。
原作では、頭取の地位を下ろされ、体を壊し、息子リチャードの家族と和解して会おうとする前に亡くなってしまうケインがこの戦いの敗者で(ほんま可哀そう~)、ヘンリーが自殺したことで収監を免れ、銀行の株を取得することでケインを頭取から下ろすという目的を果たしたアベルが勝者のようなイメージでした。
(原作では、アベルは最終的な勝利の満足感があまりに小さいことに驚いた・・とあるけど・・・)

でも、舞台では、ケインもアベルも家族の信頼をなくす、息子や娘が去っていくという、敗者として描かれてるんですね。
「家族のために」戦っていたはずなのに、その「家族を失ってしまう」という結果。

終盤の見開きで描かれる二人。
ケインが汚職をリークしたことで銀行内での人望を失い、アベルに誰かが株を売ったことで、ケインは筆頭株主ではなくなり頭取の座を下されます。
アベルは、ケインのリークからポーランド大使推薦の話がなくなり、片腕だったヘンリーも逮捕される前に自殺していまいます。人を死に追いやってしまったことに、アベルはショックを受けるんですね。

アランはケインに、ジョージはアベルに言うんです。

「金は残っただろうけどな」

「何てことをしたんだ」 というケインとアベル。

ケインだけが自滅していたのではなくて、アベルも傷ついていたんやね。

そういえば、アベルがリロイを失って、ザフィアが「♪あなたならできる」と励ますところ。
アベルの優也くんが涙を流してるのを初めてはっきり見ましたね(東京では気づかず~)
ザフィアの知念ちゃんが、歌いながら指でその涙をぬぐってるんですよ、それ見て、もらい泣きしそうに。
すごいな、役者さんて~~

知念ちゃんといえば、フロレンティナのお店のオープン記念パーティで、娘であるフロレンティナが「♪私ならできる」を歌ってるときに涙を流してましたね。
隣に並んでる夫のリチャード役の竹内くんもフロレンティナを見て泣いてるんやけど、知念ちゃんもです。母親ですもんね。
それを見て、私も涙が…だって、この後のシーンが・・・
役者さんに泣かされる作品ですよ、ほんとに。

友だちに言われて気づいた「葉巻を渡すところ」、ここも東京でちゃんと観られてなかったなと思って、大阪でチェック。

子どもが生まれたところも、上手と下手で、それぞれが同時に描かれます。
ベビーを抱いたザフィアと医者が出てきて(看護師もいたかな??) スーツ姿のアベルが内ポケットから葉巻を2本取り出し、医者に渡します。医者は1本の葉巻を鼻に持っていって匂いを嗅ぐんですね。なので、葉巻だということに気づきます。
ケインも、産科医者に、胸ポケットから葉巻を1本出して医者に渡します。(内ポケットやないのね~)

・・・・調べてみたら・・・欧米では自分の子どもが生まれたお祝いとして、父親が葉巻を近所や知り合いにふるまう習慣があったらしい。男の子なら葉巻、女の子ならチョコというのもあるようです。今はそういう風習もなくなってるみたいですが。

それと、さすがに知念ちゃんのベビーの抱き方がナチュラルでした。(息子さん二人いるからね~)
アベルのぎこちない抱き方は、それはそれでよかったです! 
ケインは、わりとうまい抱き方でしたよね。お人形ではあるけど、ベビーが見えましたね。

東京千穐楽から1週間ぶりのケインでした。
その間に、おそらくレギュラーのラジオとwithMUSICの収録、があったと思うんやけど、(BSTBSの「美しい日本に出会う旅」もあったかも)元気な姿で舞台の真ん中にいてくれたことがうれしいですね。

つくづく、年齢を重ねていくケインを丁寧に演じていった洸平くんがすごいなと思うし、そこが、ほんとにたまりません。
若いころのケインは歌い方も若々しく、台詞も可愛いしゃべり方なんやけど、中盤から変わっていくんですよ。
アベルに対する憎悪が高まって、キューブの上でマスコミにリークするあたりは、ちょっとニヒルで、コワいくらいの言い方でした。
息子の結婚を認めないところも、はっ、とか、けっ、というような表記しにくい言葉まで言ってましたしね。
あまりに力が入りすぎて、一瞬台詞が詰まってしまったところもありましたね。

二幕のソロも、東京初日とはまた違う歌い方ですよね。感情がこもっているというか。
ミュージカルの歌い方とはちょっと違うのかも知れないけど、台詞を言うように歌うんですよ。

そして、東京の2階席でまぶしい~~って思った照明が、あまり感じなかったですね。劇場の特性なのか、照明の位置が低いようで、光が客席より高いところに行ってたような気がしました。

それから、アラン役の益岡さん、ハーバード・クラブで、ケインとマシューを紹介するときに、マシューの名前ををめっちゃ間違いましたよね?
周りの人がなんか言って(思わず突っ込んで?)言いなおしてましたけど、わざと間違えたかのように?めっちゃジョークにしてしまうあたりが、さすがベテランです(笑)

大阪初日のカーテンコールは3回でしたね。
東京は2回が定番で、最後はオーケストラの演奏で終わる、というパターンでした。
東京千穐楽は、さすがに4回出てきてくれたそうですけど。

最初のカテコで、優也くんが下手から歩いて出てきたけど途中から駆け出して、洸平くんが駆けて出てきたからですよね?
洸平くん、ガッツポーズしてましたよね??
0番で2人が笑顔で力強く握手。拍手と歓声~~ 優也くんがおじぎして、洸平くんが前に。三階席まで見てくれて深くおじぎ。
そのままハケて、2回目。
全員が登場し、洸平くんリードで全員がおじぎ。全員が上下にハケて、上手で洸平くんと優也くんが肩を組んでおじぎ、洸平くんの手が優也くんの方をポンとして、手を振ってハケる。
オーケストラがテーマ曲を演奏、合わせて客席の手拍子、ジャン!で演奏が終わったのに、手拍子がまだまだ続いたんですね。
客電がついてアナウンスが流れてたけど、その手拍子に応えてキャストの皆さんが出てきてくれました~~
盛大な拍手・・・中央、0番に立った洸平くんが、両手を上から下へ抑えるようにジェスチャー。
すると、客席が静かになって・・・なにかご挨拶してくれるの??? って思ったら。
「ありがとうございました~!」 とおじぎ。つられて全員がおじぎ・・・ハケていきます。ハケ際に、優也くんが洸平くんに何か言ってましたね。
二人方組んで上手に並ぼうとしたとき、ジョージ役の上川くんも、なんか言うてました。
おそらく二人とも、「なにも言わないの??」 やったと思う~~ (苦笑)

拍手が続く中、二人が上手端で並んだ時、今度は優也くんが、両手を上から押さえるようにして客席を鎮めて~~(ウケるで~ 期待も高まるで~)
「ありがとうございました!」 と洸平くんのように挨拶。(それだけかい~)
肩組みながら二人が手を振って上手に退場しました~

初日挨拶、座長からのもう一声があっても良かったと思うけど、この流れも悪くないです。はい。
  
この日は、神戸の観劇友だち(洸平くんファンではない)と待ち合わせたんやけど、チケットを確認したら隣同士で笑ってしまった。同じところで買ってたとはいえ(事務所の先行抽選)
レミぜなどミュージカル通の彼女が、言うてました。

「洸平くん、こんなに歌えるなんてびっくり。『スリルミー』(二人芝居のミュージカル)にも出てたとはいえ、こまつ座さんのような舞台が似合う人やと思ってたからね。もっとミューージカルに、というか舞台に出たらいいと思う」

ケインとアベルの原作も読んでる彼女なので、「あの小説を、うまいことまとめてるよね~」と感心しきり。

外に出たら、大阪上本町も雪がちらついてました。
さっぶ~~~



大阪の友だち(洸平ファンの!)と会えたので、軽く一杯飲んで帰宅。



大阪で雪が降るって、珍しいですよね~~