ベートーヴェン第九交響曲
2015年8月10日(月)
演奏が終わった瞬間、非常に「力強い第九」だと感じました。
実は、率直に言って、3楽章までは、心に響くものがありませんでした。(期待が大きかったせいもあります。)むしろ、3楽章はもっと耽美的に謳って欲しいという気がし、期待外れかとも思っていたのです。
ところが、4楽章で一変しました。フェルマータでも余り伸ばさずスパッスパッと次へ展開する指揮振りになり、「vor Gott」には、ぶっ飛びました。ここは、歌っていてどうしてもデクレッシェンドになるのですが、クレッシェンドで「神よ!」と神様の胸倉を掴みかからんばかりの迫力になるのです。私は、今のきな臭い政治状況の基で、(国民に対して)「目覚めよ!」というメッセージという風に受け止めました。
合唱団のレヴェルがむちゃ高いのに、ビックリしました。80人程度だったと思うのですが、バンバン音が前に出ていました。冗談ポク言うと、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」の成否は「合唱」にかかっている、ということでしょうか。
余談ですが、私は第九を合唱団の一員として20回程度歌った経験がありますので、合唱が上手いか下手かはある程度見極めが付きます。私がこれまで聴いた第九では間違いなく、最高でした。
エンディングの部分、合唱が歌い終わって後の数小節は、もう何が何だか分からない様な興奮状態になってしまって、身体がガタガタと震えました。「ブラーヴォォ!!!」。
冒頭、「力強い第九」と書きましたが、これまで自身が歌った時を含めて20数回聴いた第九の中では、このような解釈の演奏はなかったような気がします。間違いなく、広島の第九演奏のエポックメイキングになると思います。