統帥権
2015年8月14日(金)
「統帥権」を広辞苑で調べてみると、「軍隊の最高指導権。大日本帝国憲法第11条はこれを天皇の大権と定めた。」とあります。
12日の朝日新聞を見ると、実に恐ろしいことが書かれていました。
「戦争法案」が成立したと想定し、南スーダンのPKOについて「年明けの2月から今度の法制に基づく運用を開始する」と書いてあるのです。これを国会で暴露した共産党の小池議員は、戦前の軍部の独走と同じと言っていますが、そこまで感じなくとも、殆どの人はそのことを連想すると思います。
余談ですが、「いろんなことを想定して、準備を行う必要がある」という説明は、この場合通用しません。確かに多くの法案は成立を前提に行政でも事務的準備を進めていますが、この「戦争法案」については、大多数の国民が憲法違反と言っている法案であり、安直に成立を前提にということは許されません。また、準備をするためには経費がかかりますので、成立しなかったら、それはドブに棄てたも同然になります。一体、それは誰が損害賠償するの?という問題もあります。
三権分立が日本の統治機構の基本ということは、中学校の社会科で学んだ記憶があります。その元で、国会で法律を審議している最中に、成立を想定して事を進めているという事態は、行政権の立法権に対する侵害です。のみならず、国民主権を蹂躙するものでもあります。三権の中で行政権が肥大しているという指摘は以前からありましたが、正に行政権の暴走です。重要なことは行政権の長は与党政治家ということです。本来、行政は法律の執行ですから、政治的には中立の立場である必要があります。しかし、実際は与党政治が支配しているという構造が表れたとも言えます。与党が行政府に統帥権を与えているという、超飛躍的なことを連想するのが、私なのであります。
余談ですが、ヤベー首相がこの資料の存在を知っていたかどうか、週明けの国会で明らかにされると思います。仮に知らないとしたら、この事態は一体どのように説明されることになるのでしょうか。行政府に統帥権を与えた与党の支配さえも及ばない所で、「戦争の準備」が行われていたということですから。与党が与えてしまった「統帥権」が一人歩きをし出した。本当はこれが一番恐ろしいのですね。与党政治家は選挙により落とすことができますが、行政は国民は直接関与することができませんので・・。
戦前は、天皇に統帥権があり、これが一番恐ろしかったのですが、現在は、ギョ!政に統帥権があるような気がします。(ヤベー首相が本当に知らないのであれば。)
余談ですが、共産党がどこからこの資料を入手したのか、非常に興味深いです。資料は「秘密」扱いになっていたのですから・・。「特定秘密保護法」なるものができていますが、国民主権に反するような情報は、暴かれる可能性が高いと思います。