水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

況んや松井をや

2009年12月09日 | 国語のお勉強(漢文)
 試験前、ある生徒さんのノートがすごくきれいにまとめられていて、きれいにまとめてあるなあと感嘆の声をもらしたものの、一番書いてほしいことが書かれてなくて、ただちに全員に確認し、書いてもらった。
 漢文「隗より始めよ」での話だ。
 「況んや~をや」の解説をした。
 「Aすら且つ~、況やBをや」という、専門用語で「抑揚形」と言われる表現だ。
 黒板に当然この句法をまず書く。
 そして例文をあげて読めますかと問うた。
 ここで写させて、自分で訓点をつけてみなさいとするべきだった。
 「新庄且活躍、況松井乎」という例文を使った。
 これこそ、ノートしないといけないのだ。
 教科書にも参考書にも書いてないことなのだから。
 公式だけ写せばいいのなら、プリントして配った方が早い。
 大事なのは具体例だ。
 
 ちなみに今使っている問題集には、
「Aすら且つB、況んやCをや」と説明されている。
 すぐれた格闘家は、すっと対峙した瞬間に相手の技量を見抜く。
 ステージに入場してきた雰囲気でバンドの力量がわかるのと同じで。
 このページをみたとき、問題集を作っている方のおおよその技量が垣間見えた。
 次元をそろえて、または意図的にかえて、言葉をつかえるかどうかが、説明の基礎である。
 AとBとが△で、aとbとは□なんだよ、って整理してあげることを説明とよぶ。
 抑揚形は、AもBもx(エックス)なんだけど、Bの方がよりxだよね、と言わねばならない。
 代ゼミの宮下先生は「Aすら且つ~、況んやA’をや」と言うくらいだ。
 これだと差が少なすぎる気がして、A、Bを使っているが、その後にCはもってこれない。 
 「新庄すら且つ野茂、況や松井をや」になってしまうから(なんとなく通じそうだけど)。
 
 わかっているかどうかは、どれだけ具体化できるかだ。
 これはわが師、宇佐美寛先生にお教えいただいた。

 楽譜も、いかに具体化していけるかなのだろう。
 目の前にある音符の羅列はかなり抽象度が高い。
 数学に近い。
 音符を読み、フレーズを理解し、表現記号の意味をつかみ、自分でビジュアル化しという基礎作業をまずやる。
 うちの部は、ここでまずつまづく。
 さらに、そこから具体的な映像が浮かび上がるくらいになったなら、音楽が生まれてくる。
 
コメント
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