水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

試験

2015年01月25日 | 日々のあれこれ

 

 ~ 試験とは、人類が生み出した素晴らしい制度だと思います。人種・信条・社会的身分・門地にかかわらず平等に能力を競い合い、合格すれば社会の中で活躍の場を与えられます。もしこの世に試験がなかったら、名家の生まれでない私はワクワク・ドキドキするような人生のチャレンジなどできなかったかもしれません。
 さらに、試験があるからこそ、人は能力を高めることができます。合格がもたらす栄光を求めて徹底的に頑張るからこそ、私たちは成長するのです。試験を受けることがなかったら、私は今の社会に対し、さほど大きな貢献はできなかったと思います。
 合理的な勉強法を実践することで試験に受かり、納得のいく充実した人生にしてください。 (吉田たかよし『試験に受かる「技術」』講談社現代新書) ~


 試験がある社会に生まれてよかった。
 北陸のとある温泉街に大工の息子として生まれた自分が、高校入試、大学入試がなければ全くちがった人生を送っていた。
 見方によれば、よけいな学問を積んだだけかもしれない。長男なのに実家を出て、東路の道の果てからさらに内陸に入った荒戎の住むような土地で、分不相応に人のものを教えながら禄を食むことが出来るのも、試験があったおかげだ。
 イスラムの若者たちも、こんな社会に生まれていたなら、あのもてあますほどの力を勉強に打ち込むことで発揮できたのではないか。もしくはスポーツや芸術の分野でその才能を発揮できたのではないか。
 どうしようもない貧困。努力しても階層から脱することはできない。
 男はたぶん世界中同じようにバカだから、貧しくても、せめて好きな女ができて、一緒に暮らしていける人生があるなら、生きる光を見いだすことはできる。そんな暮らしさえままならない多くの若者たち。
 いい大学を出るだけで順風満帆な人生が得られるだけでは全くないが、自分でなんとかできる可能性が、他国に比べてあまりに大きいこの国生まれ育ったことを、このごろ本当に幸せに思う。

コメント
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