水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

エア・ラーメン

2015年06月08日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「エア・ラーメン」


 「アツい」とは、具体的にどういうことか――。諦めないこと、粘ること、妥協しないこと、勇気をもつこと、こだわること、リアクションが大きいこと … 。
 いま日本でアツい男と言われる松岡修造氏を特集した「金スマ」をみながら、その本質は「対象に対する思いの強さ」ではないかと感じた。 
 そして、その「強い思い」は、対象に対する「徹底した準備」という形に具現化する。
 食べる物にもアツい松岡氏は、自宅で天ぷらを食べるときも、一品ずつ揚げたてをもってきてもらう。食卓で箸をかまえてそれを待ち、自分の皿に置かれた瞬間に天つゆにつけて食べる。
 マックでさえ気を抜かない。まずレジ近くの席をとる。ポテトが揚がる瞬間を計算し、そのタイミングで注文する。ラーメンを食べるときも、こうふるまう。

 

 ~ まず複式呼吸を何度か繰り返します。次に空気を吸い込んだ瞬間、食べ物が入ってくる胃を意識しながら「ハッハッ、ハッハッ」と声を出して息を吐き出します。そうすると、胃の中がおいしく食べるための最高の状態になります。
 ラーメンの食べ方も独特だといわれます。食べる前から割り箸を握って、麺をすする動きを繰り返すエア・ラーメンをしています。    (松岡修造『人生を変える修造思考』アスコム)
 ~


 アツいにもほどがある。みなさんも、今日学食でチャレンジしてみたらどうだろう。
 想像したら、笑ってしまう人もいるかもしれない。
 なぜ、そこまでやらないといけないの? ネタじゃないの? と思った人もいるかもしれない。
 この本を一冊読み通してみたなら、多分笑えなくなるはずだ。
 そして、自分も何かやらなきゃという気持ちがわいてくる可能性もある。
 ここまでやったら、修造氏は食べる前に勝っていると思わないだろうか。
 「おいしく食べることは僕にとっての勝負です」と修造氏は言う。
 その店との勝負ではない。自分が、いかにいいコンディションで食べることができるか、いかにいい食事ができるかの勝負をしているのだ。
 一週間後にフランス料理を食べる機会があったとしたら、その日に向けて体調を整える。
 当日は、朝食、昼食には脂っこいものをひかえてお腹に負担をかけないようにしておく。
 一食にかける準備さえ、ここまで徹底する。
 況わんやテニスの試合において、修造氏がどれだけの準備をしてきたかは、想像するまでもない。
 翻って、自分はどうだろう。
 エア・ラーメンまでせよとは言わないが、たとえば授業を受けるにあたって、せめて割り箸を割って待っているくらいは出来るのではないか。
 授業が始まって初めて「おれは何を食べようとしてるんだっけ?」という人があまりに多いように見える。それでは、おいしく味わえない。自分の実にならない。
 試合がはじまった瞬間に、勝つか負けるかはすでに決まっているのだ。

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「羅生門」の授業 第1場面 設定

2015年06月08日 | 国語のお勉強(小説)

 

1 ある日の暮れ方のことである。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
2 広い門の下には、この男のほかにだれもいない。ただ、所々丹塗りのはげた、大きな円柱に、きりぎりすが一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二、三人はありそうなものである。それが、この男のほかにはだれもいない。
3 なぜかというと、この二、三年、京都には、地震とか辻風とか火事とか飢饉とかいう災いが続いて起こった。そこで洛中のさびれ方はひととおりではない。旧記によると、仏像や仏具を打ち砕いて、その丹がついたり、金銀の箔がついたりした木を、道端に積み重ねて、薪の料に売っていたということである。洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、もとよりだれも捨てて顧みる者がなかった。するとその荒れ果てたのをよいことにして、狐狸が棲む。盗人が棲む。とうとうしまいには、引き取り手のない死人を、この門へ持ってきて、捨てていくという習慣さえできた。そこで、日の目が見えなくなると、だれでも気味を悪がって、この門の近所へは足踏みをしないことになってしまったのである。

Q1「この男のほかにはだれもいない」のはなぜか。
  (a)30字以内で説明せよ。
  (b)60字以内で説明せよ。

A1(a)羅生門が、誰も足を踏み入れないほど不気味な場所だったから。
    (b)災害で洛中がさびれるとともに、羅生門が死人の捨て場所になるほ
     ど荒れ果て、誰もが不気味に思い近づこうとしなかったから。

Q2「きりぎりすが一匹とまっている」という描写にはどういう効果があるか。
A2 本当に人がいないことを印象づける。

Q3 この場面の「不気味性」を高めている要素は何か。
A3 「雨」という天気 「暮れ方」という時間帯

 小説は、最初に物語を進めていく場面が設定されます。
 場面は、時間・空間・人物によって規定されます。
 センター試験の場合、前書き(リード文)部分で、必要な情報を説明してくれることが多いです。

  時の流れが変わった時
  場所(空間)が変わった時 →  場面が転換する
  新たな人物が登場した時

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