水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「 「間」の感覚 」の授業 5  第4段落の読解

2015年10月22日 | 国語のお勉強(評論)

 

第四段落〈 15~17段落 〉 「間」の感覚

15 このように、〈 目に見えない形で内外の区別が成立する 〉ためには、鳥居や関守石の意味についての〈 共通の理解 〉を前提とする。その共通の理解を持った集団、ないしは共同体が日本人にとっては「身内」であり「仲間」であって、その外にいる者は「よそ者」ということになる。日本の家がしばしば「うち」と呼ばれるように、家族は「身内」の代表的なものであるが、時と場合によっては、それは地域社会であったり職場の組織であったりする。サラリーマンが「うちの会社」と言うときは、会社全体が「身内」である。つまり「身内」は、ある関係性の中で成立するもので、〈 そのこと 〉が、〈 日本人の行動様式を外国人にわかりにくいものにしている 〉と言ってよいであろう。関係性は時によって変わるものだからである。


Q25 「目に見えない形で内外の区別が成立する」とあるが、そのために必要なものは何か。
A25 心理的な境界についての共通理解

Q26 「共通の理解」とあるが、「鳥居」についてはどのような「共通の理解」が存在するのか。20字以内で記せ。
A26 鳥居の内側は聖なる空間であるという理解。

Q27「そのこと」とは何か。50字以内で述べよ。
A27 日本人にとっての「身内」とは、時と場合によって変化するある関係性に基づいて成立するものであること。

Q28 「日本人の行動様式を外国人にわかりにくいものにしている」とあるが、なぜ「わかりにく」くなるのか。20字以内で記せ。
A28 「身内」の指す範囲が一定でないから。


 心理的境界への共通の理解を持った集団・共同体
         ∥
 (日本人にとっての)「身内」・「仲間」 ←→  「よそ者」
         ∥
 具  家族  地域社会  職場の組織
         ∥ つまり
 「身内」 … ある関係性の中で成立する   
       関係性(x)は時によって変わる
    (ある人が身内になったりよそ者になったりする)
                ↓
  外国人にわかりにくい行動様式


16 空間的な内部を意味する「うち」という言葉が「身内」のように人間どうしの〈 関係性 〉を意味したり、あるいは「朝のうちに仕事をする」という具合に、時間的広がりにも用いられたりすることから明らかなように、日本人にとっては人間社会も空間も時間も関係性という共通した編み目の中に組み入れられている。同じ一つの部屋が、外から人が来れば客間になり、夜になれば寝室となるというのは、住居の空間もまた、人間や時間との関係で意味を変えることを物語っているであろう。


 「うち」 … 空間的な内部を意味する
    ↓
 「身内」 … 人間どうしの関係性
 「朝のうち」 … 時間的広がり
    ∥
  人間社会
   空間  → 組み入れる → 関係性という共通した編み目
   時間

 具 一つの部屋 → 客間 or 寝室
        ∥
     住居の空間 … 人間や時間との関係で意味を変える


Q29 「関係性」とはどのようなものか。25字以内で記せ。
A29 時と場合に応じて変化する心理的な内と外との区別。
   時と場合に応じて判断される対象との心理的な距離感。


 人間社会、空間、時間の様々な対象(b)
   … 心理的にどの程度自分に近いのか、どの程度つながりがあるのか
     ∥
 自分(a)との関係性


Q30 「関係性という共通した編み目の中に組み入れられている」とはどういうことか。
A30 日本人はあらゆるものを自己との心理的な距離感によって意味を規定し、
   行動のよりどころにしようとするということ。


17 日本人は、そのような関係性の広がりを「間」という言葉で呼んだ。「間」とは「広間」「客間」のように空間の広がりでもあり、「昼間」「晴れ間」のように時間的広がりでもあり、また「仲間」のように人間関係の広がりでもある。読み方はさまざまだが、「空間」も「人間」も、そして「世間」も、いずれも「間」という文字を含んでいるのは、決して偶然ではない。そのような関係、つまり「間合い」を正しく見定めることが、日本人の行動様式の大きな原理である。その計測を誤ると「間が悪い」ことになり、「間違い」を犯すことになる。現在、我々の生活様式は大きく変わりつつあるとはいえ、この〈 「間」の感覚 〉はなお日本人の間に生き続けており、住居の構造や住まい方をも規定している。それはおそらく、日本人の美意識や倫理とも深く結びついているもので、その本質と構造を解明することが日本の文化を理解する大きな鍵となるであろう。


(あらゆるものを自分との関係性という観点でとらえる感覚)
     ∥
 そのような関係性の広がり
     ∥
        「間」
     ∥
  「広間」「客間」   …  空「間」
  「昼間」「晴れ間」 …  時「間」
  「仲間」         …  人「間」
     ↓
「間合い」を正しく見定めること … 日本人の行動様式の原理
          ∥
  「間」の感覚
     ↓
 日本人の間に生き続けて、住居の構造や住まい方をも規定する
 日本人の美意識や倫理とも深く結びついている
     ↓
 その本質と構造の解明 → 日本の文化を理解する大きな鍵となる

                      物理的 近い
                               ↑
             D   ↑   A
                   遠い  ←←   →→ 近い 心理的
                           C  ↓   B
                               ↓
                              遠い

   一緒に暮らしている親 … A(Dかもね)
   中学校時代の友人 … B
   電車で隣に座った人 … C
   全然知らない人 … D
   Dだった人も、ワールドカップの応援席に隣になり一緒に応援していると一気に身内になる

 


Q31 「「間」の感覚」とはどのような感覚か。50字以内で説明せよ。
A31 その時々の状況に応じて対象と自己との距離感を見定め、
   自分の行動を決定する基準にしようとする感覚。

  y=f(x)
       y … 行動  x … 「間」 x=a(自分)-b(対象)

コメント
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