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灰色の北壁 真保裕一
山岳ミステリーの中編が3つ収録されており、そのいずれもが本格的な登山という緊迫した状況をミステリーに巧みに利用した作品である。特に表題作の「灰色の北壁」に込められた謎はかなり意外で、ミステリーとしても大変面白かった。大掛かりな登山にはチームワークが必要であるということは素人でも想像できるが、一人一人の登山家が何を考えながら行動しているのか。部外者の想像を超えるものがある。極限状態のなかでの犠牲の精神、チーム内の信頼関係というモチーフは、昨年刊行された自転車レースを扱った小説「サクリファイス」と似たものがある。松本清張など多くの作家が手がけている「山岳ミステリー」というジャンルに注目していこうと思った。(「灰色の北壁」真保裕一、講談社文庫)
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