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映画篇 金城一紀
独立した短編のそれぞれの主人公や舞台が、別の短編に少しだけ登場したりしていくことで、ゆるい関連を形成する、今流行の形式の短編集なのだが、読み終えて、そのような工夫とか小説上のテクニックなど、どうでも良いことのように思えた。そのくらい最後の話「愛の泉」が、面白くて感動的なのだ。おばあちゃん思いの5人の孫たちが、意気消沈したおばあちゃんを勇気付けるために奮闘するという話だが、孫たちのキャラクターの面白さ、最後の「あれれ」というオチ、最後に登場人物のその後を簡単に紹介していく終わり方等、正に最高に面白い映画を観ているような気分だった。上映会に他の短編の主人公が集まってくるさりげない文章もいい。最初の短編が、著者の「GO」を想起させる重たい話で、やや身構えて読み始めたのだが、このように心温まる話が最後に待っているとは思わなかった。意外でもあり、救われるようでもあり、やはり作者はすごいと再認識させられた。(「映画篇」金城一紀、集英社)
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